お祭り男

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■概要
人数:3人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
奏太(そうた)
美海(みう)
男子生徒

■台本

お祭りで活気に包まれている。

神輿を担いでいる奏太。

奏太「わっしょい! わっしょい! それ、わっしょい! わっしょい!」

場面転換。

奏太が地面に座る。

奏太「ふう……」

美海「はい、奏太。ジュース」

奏太「サンキュー、美海」

受け取ったジュースをゴクゴク飲む奏太。

美海「よかったね、今年はお祭りできて」

奏太「ああ。1年も祭りがお預けなんて、絶望そのものだったぜ」

美海「ったく、大げさよ」

奏太「美海も参加すりゃいいのに」

美海「冗談。あんな暑苦して、しんどいのなんて嫌よ。お祭りは見るくらいが丁度いいわ」

奏太「ふーん。そんなもんか? 参加した方が絶対面白いと思うんだけどな。まあいいや。それより、他にまた祭りがないか、調べておいてくれねーか?」

美海「あのねぇ。たまには自分で調べれば?」

奏太「俺、スマホ持ってねーもん」

美海「買いなさいよ。高校生にもなって、スマホ持ってないの、クラスであんたくらいのもんよ」

奏太「んー。別に、なくても不便じゃねーしな」

美海「いや、実際に、祭りのこと調べられないじゃない」

奏太「それは美海が調べてくれるだろ?」

美海「はあ……。はいはい。わかったわよ。その代わり、その祭りのときは、驕りなさいよ」

奏太「サンキュー、助かる。ありがとな」

場面転換。

学校内の教室。

奏太「おーっす! おはよー」

奏太が自分の机の方まで歩いて行く。

男子生徒「マジかよ、祭りじゃねーか」

奏太「え? なになに? 祭り? なんの?」

男子生徒「ああ、これは……」

場面転換。

ガラガラと教室のドアが開き、奏太が入って来る。

奏太「あ、いたいた、美海―」

美海「ちょ、奏太! クラスに来ないでって、言ってるでしょ!」

奏太「悪い悪い」

美海「あんた、全然、悪いって思ってないでしょ……」

奏太「それより、美海はエスエヌエスってやつ、やってるか?」

美海「SNS? まあ、何個かやってるけど」

奏太「それ、使わせてくれねーか?」

美海「なに? やっと、ネットに興味持ったの?」

奏太「ああ。ちょっと祭りをやりたくて」

美海「……?」

奏太「とにかく、貸してくれよ」

美海「ちょっと待ちなさい。サブ垢で作ってあげるから、そっちを使いなさい」

奏太「なんだかわからんが、わかった」

美海「えーっと……」

色々とスマホを操作する美海。

美海「はい。ログインしてあるから、ここに文字を打って送信するだけ」

奏太「サンキュー。ちょっと借りるな」

奏太がスマホを持って行ってしまう。

美海「ちょちょちょ! 持ってくなんて聞いてな……。まあ、いいか。どうせ、私の裏垢なんて、見れるわけないし……」

場面転換。

廊下を歩く美海。

美海「……ふふふふ。奏太の奴、どんなこと、呟いてるのかな? ログインして、見てみよっと……え?」

場面転換。

教室のドアがバンと勢いよく開く。

美海「ちょっと! 奏太!」

奏太「うわっ! な、なんだよ、美海。俺のクラスには来ないって言ったのは、お前だろ」

美海「いいから、ちょっと来て!」

奏太「いて! ちょっ、いてて! 離せって」

場面転換。

屋上。

美海「あんた! いったい、何やってんのよ! ものすごいお祭り騒ぎになってるじゃない!」

奏太「おお! 始まったか! どうだ? 盛り上がりそうか?」

美海「盛り上がるも何も、大炎上よ! 大炎上!」

奏太「よし、あいつの言った通りだな。で、どこに行けばいい?」

美海「は? 行くってなにが?」

奏太「祭りだよ。どこでやってるんだ?」

美海「あんた……まさか……」

奏太「いやー、楽しみだな。自分でお祭り作れるなんて、最高だな! 早く、参加したいぜ!」

ゴンと頭を殴られる奏太。

奏太「いって! 何すんだよ、美海!」

美海「バカ! あんたねー! 祭りは祭りでも、ネットの話なの!」

奏太「祭りは祭りだろ?」

美海「すごい怖い祭りなのよ! 下手したら、人生が終わるくらいの!」

奏太「え? そ、そうなのか……?」

美海「何人も、それで人生台無しになったんだから」

奏太「……ど、どうしよう?」

美海「はあ……。まあ、いいわ。幸い、個人情報は何も入れてなかったから、アカウント消せば何とかなるわ」

奏太「そ、そうなのか?」

美海「ったく! 私の人生、終わるところだったわよ!」

奏太「ごめん……」

美海「……罰として、これからの週末は私に付き合ってもらうからね」

奏太「わかった」

美海「……お祭りも悪くないかも」

奏太「なんか言ったか?」

美海「な、なんでもない。それより、デートでどこ行くか、ちゃんと考えておきなさいよ!」

終わり。

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