ハロウィンで肝試し
- 2022.10.09
- ボイスドラマ（10分）
■概要
人数：4人
時間：10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
大翔（ひろと）
悠真（ゆうま）
春人（はると）
楓（かえで）
■台本
休み時間の教室内。
春人「俺、好きな人が出来た！」
大翔「お前はいつも、いきなりだな」
悠真「まあまあ、大翔。まずは聞いてやろうぜ。で？ 春人、誰なんだ、好きな人って」
春人「え？ いや、それは……言うの恥ずかしい」
大翔「面倒くせえ奴だな！」
悠真「まあまあ。よし、じゃあ、俺の好きな人も教えてやるから、春人も教える。これでどうだ？」
春人「え？ 悠真の？ ……うん。それならいいよ」
悠真「よし、じゃあ、先に春人から言え」
春人「えっとね……楓ちゃん」
大翔「うおお。マジか。斜め上でビックリした」
春人「悠真は？」
悠真「まだいないよ」
春人「え？」
悠真「出来たら、教えてやるよ」
大翔「やっぱりな」
春人「ええー、ズルい！」
悠真「まあまあ。それより、春人はどうするつもりなんだ？」
春人「へ？ どうするつもりって？」
大翔「いやいや、わざわざ、好きな人が出来たってだけで、あんな神妙な顔してたのかよ？」
春人「え？ そうだけど」
大翔「……お前なぁ」
悠真「まあまあ。それより、春人。そのまま好きって思ってるだけじゃ、進展はしないぞ。何か、行動を起こさないと」
春人「いや、でも、そんなの恥ずかしいし」
大翔「そんなんじゃ、いつまで経っても、片思いのままだぞ」
悠真「そうそう。ここはいっちょ、勝負するべきだよ」
春人「しょ、勝負って、何をするの？」
悠真「俺にいい秘策がある」
大翔「……俺は悪い予感がする」
場面転換。
春人の家の倉庫。
春人「えーっと、針金、新聞紙、粘土……。言われたもの、集めたけど、どうするの？」
悠真「春人って、物を作るの、上手かっただろ？」
大翔「楓に何かプレゼントを作るってことか？」
春人「ああー、なるほど」
悠真「違う違う。そんなんじゃ、普通過ぎる。それだと意味がない」
大翔「じゃあ、どうするんだ？」
悠真「楓さんは怖いものが好きって知ってるか？」
大翔「ああ。有名だもんな。夏になったら、肝試しの旅に出てるって」
悠真「そうそう。それを使う」
春人「使うって、どうやって？ もう、夏は終わっちゃったよ」
悠真「ふふふふ。あるじゃないか。この時期に、もう一度だけ、心霊系のイベントが」
大翔「……あったか、そんなもん？」
春人「……わかった！ ハロウィン！」
悠真「おお、正解だ！」
大翔「いや、それは心霊系じゃなくて……」
悠真「まあまあ、いいだろ。お化けが集まるイベントなんだからさ」
大翔「……お前、面白がってるだろ？」
悠真「ん？ なんのことかな？」
大翔「……で？ なにするつもりなんだ？」
悠真「ズバリ、ハロウィンで肝試しだ」
大翔「は？」
悠真「だから、ハロウィンの日に肝試しをやるんだよ」
大翔「無茶苦茶だな」
悠真「まあまあ。楽しければいいじゃないか」
春人「で？ 何を作ればいいの？」
大翔「おい、春人、聞いてたのか？ 悠真はお前で遊ぶつもりだぞ」
春人「……俺、楓ちゃんのためなら、頑張れる！」
大翔「いや、そういうことじゃなくて……」
悠真「偉い偉い！ さすが春人だ。……それで、作る物なんだが……」
場面転換。
廃墟前。
悠真「……ドキドキしてきた。ついに本番だな」
大翔「……お前、これ、上手くいくと思うか？」
悠真「ふふ。やってみないとわからないだろ？」
大翔「やっぱり、自分が楽しみたいだけじゃねーか」
悠真「じゃあ、段取りを確認するぞ。もうすぐ、楓さんが、来るから、俺と春人の３人で廃墟に入る。で、大翔が、そのお化けの格好で、楓さんを脅かす。怖がる楓さんを、春人が助ける。……わかったな？」
大翔「いや、お前も、お化けの格好しろよ。なんで、俺だけなんだ？」
悠真「最初から春人だけだと、何するかわからんからな。上手く誘導できるのは俺だけだ」
大翔「うっ！ 確かに、それはそうだけどさ」
春人「じゃあ、俺、用意してくる！」
春人が走り出す」
悠真「いやいや、話を聞いてたのか！？ お前は俺と楓さんと一緒に……って、行ってしまった」
大翔「うーん。やっぱり、あいつの行動は読めないな」
悠真「まあ、さすがに土壇場になったら出て来るだろ。じゃあ、大翔、準備してくれ」
大翔「はいはい。……結局、お前が楽しんで終わりかよ」
大翔が廃墟に入って行く。
と同時に、楓がやってくる。
楓「あ、悠真くん、いたいた」
悠真「やあ、楓さん。時間ピッタリだね」
楓「あれ？ 春人くんも一緒って言ってなかった？」
悠真「ああ、いや、ちょっと用事があるらしくて。じゃあ、先に入ろうか」
楓「うん。すっごく楽しみ。よく、こんな穴場の心霊スポット知ってたね」
悠真「まあ、ね。……楓さんはあんまり怖くないの？」
楓「怖いどころか、楽しみで楽しみで。昨日はあんまり寝られなかったよ」
悠真「そ、そうなんだ」
楓「それにしても、ハロウィンに肝試しかぁ。……盲点だったなぁ。確かに、ハロウィンだと幽霊が出そうだもんね。来年も、やろうっと」
悠真「は、ははは……。じゃあ、行こうか」
楓「うん」
悠真と楓が歩き出す。
場面転換。
廃墟の中を歩く、悠真と楓。
楓「うーん。やっぱり、ハロウィンでも、本物は出ないのかな……」
悠真「いや、まだわからないって。先へ進もう」
歩き続ける２人。
そのとき――。
大翔「トリックオアトリート！」
物陰から、大翔が出てくる。
楓「……」
悠真「……」
大翔「……（小声で）おい、悠真、どうなってるんだ？ 全然、怖がらないぞ」
悠真「うーん……失敗か」
楓「すっごーい！」
大翔「え？」
楓「ジャックオーランタンだ！ うふふふ。すごい！ 本物？」
大翔「あ、いや、えーと」
そのとき、物陰から、春人が現れる。
春人「そ、そこまでだ！ 楓ちゃんから手を離せ！」
楓「……」
大翔「いや、どっちかっていうと、俺の方が掴まれてるんだけど……って、なんで、お前は、なまはげの格好してるんだよ！」
春人「え？ いや、お化けにはお化けで対抗しようと思って」
大翔「まあいいや。とにかく、話を進めてくれ」
春人「えーっと……。悪い子いねえかー！」
大翔「そこはトリックオアトリートだろ！」
悠真「いやいや、ある意味、合ってる」
大翔「まあ、そりゃそうだけど、今日はハロウィンだろが……」
楓「きゃー！」
大翔「お？ なんだ？ 春人のなまはげの方にビビったのか？ 確かにリアル過ぎてこえーけど」
楓「なまはげ、素敵―！ すごーい！ 本物よりも本物っぽい！」
大翔「いや、どういうこと？」
楓「ねえねえ、なまはげさんは彼女いるの？」
春人「いや、あの……」
楓「携帯持ってる？ 番号交換してよ」
大翔「……」
悠真「……」
大翔「どうすんだ、これ？」
悠真「まあ、これはこれで成功でいいんじゃないか？」
大翔「グダグダじゃねーか」
終わり。
