究極の選択

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■概要
人数:1人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
ケリー

■台本

ガチャリとドアが開いて、ケリーが入って来る。

ケリー「はあ、はあ、はあ」  

ドサリと倒れこむケリー。

ケリー(N)「ようやくここまで辿り着いた。10万人に1人の確率でしか合格できない、特別A級エージェント。様々な試験を潜り抜けて、最終試験の場に辿り着いたんだ。ここまで来たら、どんなことをしてでも、合格して見せる!」

立ち上がるケリー。

ケリー「……ん? おい! 最終試験を早くしてくれ!」

すると、ウィーンという音が出て、壁の中から机が出てくる。
その机の上には2つの皿が載っている。

ケリー「なんだ、これは? 皿が2つ……? なんだ? 紙が載っている……」

カサッと紙を手に取り、読み上げる。

ケリー「えーっと、なになに? 究極の選択。一皿を完全に食せ? なんだ? こんな簡単なことが最終試験だと?」

考え込むケリー。

ケリー「……あっ!」

紙の裏を見る。

ケリー「やはり、追加の情報があったか。紙の裏って、意外と盲点だよな。えーっと、なになに? 一皿はうんこ味のカレーで、もうひと皿はカレー味のうんこ……だと?」

じっと皿を見るケリー。

ケリー「うんこ、うんこ、うんこ! くだらない。本当にくだらない。子供の発想だ」

イライラして壁を蹴るケリー。

ケリー「だが、実際にやられると、これほどキツイものはない。……まさか、こんな選択を強いられることが、生きているうちにあるとは……」

ガンガンと壁を蹴るケリー。

ケリー「普通に考えれば、うんこ味のカレーか? だが、どうだ? 一皿を食べきると考えると、カレー味の方が容易か?」

考え事をするケリーがコンコンと壁を叩く。

ケリー「落ち着け。落ち着くんだ。プライドを捨てるわけにはいかない。そう。俺は超A級エージェントを目指したときに決めたはずだ。どんなときでも、プライドは捨てない。……今まで、そうやってきたんだ」

テーブルの方へ歩くケリー。

ケリー「……」

皿を手に取る。

ケリー「いくぞ……。うっ! だ、ダメだ! 無理だ! くそ! くそ! くそ!」

一度、皿をテーブルの上に置く。

ケリー「まさか、あの超難関な試験の最後が、こんなくだらないこととは思わなかった……」

ガンガンガンと壁に頭を打ち付けるケリー。

ケリー「くだらない! くだらなすぎる!」

そのとき、ピタリと動きを止める。

ケリー「待て。待てよ。考えてみるとおかしい。今までの試験は頭をフルに使った試験ばかりだった。それなのに、最後だけ、こんなくだらない試験なのか?」

ガサガサと紙を取り出して、もう一度見る。

ケリー「……試験の内容は一皿を完全に食す……。そ、そうか! わかったぞ!」

バンと紙をテーブルに叩き付ける。

ケリー「危うく、罠にはまるところだったぜ。内容には、一言も、『どちらかの皿を』と書いていない。つまり、第三の選択ができるってことだ!」

肩を震わせて笑うケリー。

ケリー「ふふふふ。まさか、こんな土壇場で、二択ではなく、三択を選べるかを見る試験だったのか。見破れる奴はそれほどいまい。ならば、選ぶのは一つ。……ふん。この俺がうんこなんて食ってたまるか!」

思い切り、バンと机を叩く。

ケリー「俺が選ぶのは、うんこ味のうんこだ!」

シーンと辺りが静まり返る。

ウィーンと壁からもう一つ皿が出てくる。

ケリー「しまったーーーー! 言い間違えたー!」

終わり。

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