西田家の受難 クリスマスプレゼント 

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■概要
主要人数:4人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、学園、ラブコメ

■キャスト
西田 正志(にしだ まさし)
高坂  陽菜(こうさか あきな)
西田 総士(にしだ そうし)
おじさん

■台本

西田家。

正志「総士、金くれ」
総士「……兄貴。なに突然、最低な発言してんだよ?」
正志「いいだろ? くれよ」
総士「なんで、俺が兄貴に金をあげないとならないんだよ?」
正志「クリスマスプレゼントだ」
総士「……だから、なんで俺が兄貴にクリスマスプレゼントをしないとならないんだよ?」
正志「じゃあ、貸してくれ」
総士「嫌だよ」
正志「わかった。じゃあ、お前がこの前買ってたゲーム貸してくれよ。来年返すからさ」
総士「……売る気でしょ。どう考えても」
正志「頼むよー! マジで頼む! かねないんだよ!」
総士「知らないよ。大体、この前、シュークリームを見せつけながら食べる金があるのに、何言ってんだよ」
正志「いや、あのときは忘れてたんだよ」
総士「なにを?」
正志「クリスマス」
総士「……誰かにプレゼントでもするの?」
正志「陽菜に」
総士「うっそー、マジで? 兄貴が? そっかそっか、ついにかー。うんうん、陽菜ちゃん、喜ぶんじゃない?」
正志「いや、喜ぶっていうより、機嫌を直してもらわないといけないんだ」
総士「……なんかしたの?」
正志「あいつが、大切にしてたっていう、風鈴を割っちまってさ」
総士「風鈴?」
正志「なんか、すげーいびつな形してやつでさ、なんだよこれって、触ってたら落としちゃったんだよ。そしたら、ガチギレされてさ」
総士「……それって、兄貴が小学校の頃、陽菜ちゃんにプレゼントしたやつじゃね?」
正志「は? んなわけねーだろ。何年前のだよ」
総士「いやいや、俺、はっきり覚えてるよ。クリスマスプレゼントを買う金がないからって、手作りの風鈴を作ってただろ?」
正志「……記憶にない。それに、なんで、クリスマスプレゼントに風鈴なんだ?」
総士「それは……俺も当時、不思議だった。……まあ、あれじゃね? 兄貴のことだから、何も考えてなかったんじゃね?」
正志「お前、喧嘩売ってんのか?」
総士「まあ、とにかく陽菜ちゃんが大切にしてたっていうのには変わらないからな。ちゃんと弁償しないと」
正志「そうだな。じゃないと、今年の冬休みの宿題を写させてもらえん……」
総士「……兄貴ってさ、ほんとしょうもないよね」
正志「なにがだよ?」
総士「とにかく、金じゃないって」
正志「ん? 何がだ?」
総士「プレゼントだよ。手作りのものを壊したんだから、手作りのものをあげなくっちゃ」
正志「いや、俺が作っても変なのしか作れんぞ。それなら、ちゃんとしたものを買った方が……」
総士「そういうんじゃないんだって」
正志「……」

場面転換。
トボトボと道を歩く正志。

正志「くそ、総士のやつ、体よく断る理由を付けやがって、貸したくないなら貸したくないって素直に言えばいいのに」
おじさん「あれ? 正志くんかい?」
正志「ん? あ、光一のおじさん。どうも久しぶりです」
おじさん「いやあ、おっきくなったねぇ」
正志「最後にあってから4年くらい経ってますからね」
おじさん「懐かしいなぁ。確か、4年前も今頃だったなぁ。風鈴を作るんだっていってさ」
正志「……風鈴、ですか?」
おじさん「そうそう。クリスマスプレゼントにするんだって言って、うちの作業場、貸して欲しいっていったじゃないか」
正志「……そうでしたっけ?」
おじさん「そうだ。どうせなら、また何か作ってくかい?」
正志「いいんですか?」
おじさん「おうよ! 寄っていきな!」

場面転換。
インターフォンを押す正志。

陽菜「はーい」

ガチャリとドアが開いて陽菜が出てくる。

陽菜「あっ! 正志!」
正志「よ、よう、陽菜。メリークリスマス」
陽菜「言っとくけど、許してないからね」
正志「……悪かったって。これ、クリスマスプレゼント」
陽菜「え?」

正志がプレゼントの箱を渡す。

陽菜「開けていい?」
正志「ああ」

陽菜が箱を開ける。

陽菜「……なんで、また風鈴なのよ? もしかして、割った代わりって言うんじゃないでしょうね?」
正志「いや、違うよ」
陽菜「なら、なんで真冬に風鈴?」
正志「夏に使うものだからだよ」
陽菜「どういうこと?」
正志「夏になったら、一緒に聞けるだろ?」
陽菜「それって……夏も一緒にいようってこと?」
正志「あー、いや、夏休みの宿題もよろしくってこと」
陽菜「……はあ、あんたってホント、デリカシーないわね」
正志「なんでだよ」
陽菜「まあいいわ。これで許してあげる」
正志「よかった。留年するかと思ったぜ」
陽菜「……ちょいちょい、雰囲気壊さないでくれない?」
正志「なにがだ?」
陽菜「とにかく、上がってく? 料理あるけど」
正志「マジで?」

陽菜が正志を家に招き入れる。
廊下を歩く二人。

陽菜「ねえ、正志」
正志「ん?」
陽菜「クリスマスプレゼント、ありがとね」
正志「お、おう……」

終わり。

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