嫉妬

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■概要
人数:2人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
雨宮 さくら
川岸 七海

■台本

七海の部屋。

七海「……」
さくら「ちょっと、七海。何怒ってるの?」
七海「あのさ、さくら。私たち、親友だよね?」
さくら「あー、うん。まあ一応」
七海「なんで、そこ濁すの!?」
さくら「冗談だよ、冗談」
七海「……冗談の目じゃなかったんだけど」
さくら「それで? 怒ってる理由は?」
七海「私に彼氏ができたら、どう思う!?」
さくら「彼氏できたの? おめでとう」
七海「え?」
さくら「あれ? 私、変なこと言った?」
七海「……おめでとうって言う? 普通」
さくら「えーっと、親友ならおめでとうって言うんじゃない? 普通」
七海「あれー? そうなの?」
さくら「ちょっと、よくわからないんだけど、七海、彼氏できたんだよね?」
七海「ううん。できてない」
さくら「……じゃあ、今のやりとり、なんだったの?」
七海「だから、親友に彼氏ができたら、どう思うって話」
さくら「……いや、だから、おめでとうって言うでしょ、って話じゃないの?」
七海「うーん。そこはダメだって言うんじゃないの?」
さくら「……彼氏ができたのをダメって言うのは親友じゃないと思うけど」
七海「えー! そうかなー」
さくら「なんでダメなの?」
七海「だってさ、彼氏ができたってことは、彼氏を優先するよね?」
さくら「まあ……そうなるね」
七海「私よりも」
さくら「んー。まあ、そうなるかな」
七海「でしょ!? なら、親友として、自分より優先される人間の存在を否定するのが友情ってやつじゃない?」
さくら「……随分、歪んだ友情だね。私はそんな友情は嫌だな」
七海「えー、じゃあ、さくらは私に彼氏ができて、彼氏を優先してもいいって言うんだ? なんか薄情じゃない?」
さくら「じゃあさ、七海。仮に、あんたに彼氏ができたとするよ?」
七海「うん」
さくら「私が、反対したらどう思う?」
七海「えー、なんで祝福してくれないの!? って思う」
さくら「でしょ?」
七海「……あっ!」
さくら「別に彼氏を優先するってだけで、友情自体は変わらないと思うよ」
七海「んー。でも、納得できないっていうか、納得したくない!」
さくら「……あのさ、さっきから、例え話で機嫌悪くしてるけど、そんなの意味なくない?」
七海「例え話じゃないもん!」
さくら「へ?」
七海「うう……。さくらは、さくらだけは私が彼氏っていうか、結婚するまで彼氏を作らないって信じてたのにぃ」
さくら「……なに、その理不尽な状況」
七海「うわーん! 今、さくらにいなくなれたら、私のメンタル崩壊だよー」
さくら「あれ? ちょっと待って。その口ぶりだと、私が彼氏作ったように聞こえるけど」
七海「うん。だから、そう言ってるんだけど」
さくら「……なんのこと?」
七海「もういいよ。しらばっくれなくても! ぜーんぶ、知ってるんだから」
さくら「……あんたの妄想の話じゃなくて?」
七海「妄想するなら、自分が彼氏できた妄想をするよ!」
さくら「……それはそれで痛々しいけどね」
七海「先週の日曜日! さくら、私の誘い断って、どこ行ってたの!?」
さくら「へ? 先週? ……あー、あれかな? もしかして」
七海「彼氏と一緒に買い物してたでしょ!」
さくら「あれ、いとこだよ」
七海「へ?」
さくら「いとこの正敏(まさとし)くん。ちなみに、結婚してるよ」
七海「じゃ、じゃあ……彼氏じゃないの?」
さくら「違うよ」
七海「よかったぁー」
さくら「それはそれで、ちょっとイラっとするかな」
七海「ねえ、さくら。今度はさ……いとこでも、私の方を優先してほしいな」
さくら「んー。聞きようによっては、かなりこじらせてるね」
七海「さくらのいとこに嫉妬したくない」
さくら「……変な嫉妬だね。わかった。今度は七海も一緒に誘うよ。それでいい?」
七海「え? いいの? やったー! さくらのいとこ、結構、格好良かったから、狙っちゃおうかな」
さくら「……聞いてた? 正敏くん、結婚してるから」

終わり。

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