俺の鼻は世界一
- 2023.02.09
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5以上
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
琥太郎(こたろう)
浩平(こうへい)
教師
女子1~2
■台本
琥太郎(N)「俺の鼻は世界一だ。鼻の高さとか形とかじゃなく、匂いをかぎ分けれると言う能力として世界一だ。多分。ほら、よく言うだろ。五感の1つを失うと他の感覚が鋭くなるって。あれだよ。俺は……えっと、俺は……。そう。眼鏡をかけるくらい目が悪いし、味覚も貧乏舌って言われてる。2つの感覚が鈍いから、その分、鼻が良くなったんだと思う」
場面転換。
教室内。
琥太郎「(くんくんと匂いを嗅ぐ)これはラベンダーかな」
女子1「すごーい! 当たり!」
女子2「これはこれは?」
琥太郎「(くんくんと匂いを嗅ぐ)ガーベラでしょ」
女子2「正解!」
周りでおおーという歓声が上がる。
琥太郎「ふっふっふ。凄いだろ。俺の鼻は世界一なんだ」
女子2「うんうん。すごいすごい」
浩平「……ちっ」
場面転換。
教室内。ホームルーム。
教師「えっと……。今日の体育の時間に樺山(かばやま)さんのストラップが盗まれたそうです。誰か、心当たりありませんか?」
教室内が静まり返る。
教師「あー、じゃあ、その、みんなに目をつぶってもらって、手を上げてもらう形にしましょうか。みんな、目をつぶって」
教室内の生徒が目をつぶる。
教師「ストラップ盗ったって人は手を上げてください」
シーンと静まり返る。
教師「……ダメですか」
浩平「当たり前だよな。今時、こんな方法で自首するやついないって。それで手を上げるやつなら、最初から盗らないって」
教師「……うう。そ、そうですよね」
琥太郎「あの、先生。俺に考えがあるんですけど……」
教師「な、なんでしょう?」
場面転換。
教師「言われた通り、樺山さんのカバンと、みんなから集めた、それぞれの持ち物ですけど……。何に使うんですか?」
琥太郎「じゃあ、失礼して……」
琥太郎が色々と臭いを嗅ぎまくる。
琥太郎「ふんふん。なるほどなるほど」
教師「……」
臭いを嗅ぐ琥太郎。
琥太郎「あー、なるほどね」
教師「……何かわかったんですか?」
琥太郎「犯人がわかりましたよ」
教師「え?」
場面転換。
職員室。
ガラガラとドアを開けて、琥太郎が入ってくる。
琥太郎「先生、来ました」
教師「ああ、ご苦労様。えっと、言われた通り、佐藤さんに話したら、やっぱり持ってたよ。ストラップ」
琥太郎「やっぱり」
教師「一応、みんなには佐藤さんのことは黙っておいてくれませんか? 犯人がちゃんと返してくれたってことにしたいんです」
琥太郎「わかりました」
場面転換。
教室内。
ワーッと、歓声が上がる。
女子1「すごいすごい! ストラップのこと、当てたんだってね」
琥太郎「ははは。まあ、ね」
女子2「ねえねえ、誰が犯人だったの?」
琥太郎「それは言えないかなー」
女子2「でも、ホントすごいなー」
琥太郎「ふっふっふ。俺の鼻は世界一だ!」
場面転換。
廊下を、鼻歌を歌って廊下を歩く琥太郎。
そこに浩平がやってくる。
琥太郎「俺の~鼻は~世界一~」
浩平「ふふふ。本当にそうかな?」
琥太郎「ん?」
浩平「確かにお前の鼻は凄いと思う。けど、匂いっていうのは前情報も関係してくるんじゃないか?」
琥太郎「……どういうことだ?」
浩平「お前はある程度、予測を立ててやってるってことさ。匂いを当てるときに、その色や誰のものかを考えてるんじゃないのか?」
琥太郎「そ、そんなことないぞ」
浩平「じゃあ、俺と勝負しろ」
琥太郎「なんでだ?」
浩平「え? そ、それは……その……。別にお前が女子にチヤホヤされてるのがムカつくってわけじゃないぞ」
琥太郎「ある意味正直な奴だな」
浩平「とにかく、受けるのか? 受けないのか?」
琥太郎「いいぜ。俺の鼻が世界一だと証明してやるぜ」
場面転換。
誰もいない空教室。
浩平「目隠しはしたか?」
琥太郎「ああ」
浩平「見えてないよな?」
琥太郎「そっちが用意したんだろ。見えねえよ!」
浩平「よしよし、じゃあ、まずは手始めに。これ、なんだ?」
琥太郎「(臭いを嗅ぐ)……トイレの消臭剤。ラベンダーの」
浩平「正解だ。けど、こんなのは俺にだってわかるぜ」
琥太郎「次は?」
浩平「じゃあ、これ」
琥太郎「(臭いを嗅ぐ)……消しゴムだな」
浩平「……へー、やるな。じゃあ、次はアロマだ。何の匂いか当ててみろ」
琥太郎「(臭いを嗅ぐ)……ジャスミン」
浩平「……やるな。じゃあ、次はこれだ」
琥太郎「(臭いを嗅ぐ)レモンユーカリ」
浩平「……ちっ!」
琥太郎「どうだ? 俺の鼻は凄いだろ? もう、降参しろよ」
浩平「……これが最後の勝負だ。目隠しを外してくれ」
琥太郎「え? ……わかった」
琥太郎が目隠しを外す。
浩平「……最後は、これだ!」
パサッと机の上にブルマが置かれる。
琥太郎「こ、これは……ブルマ?」
浩平「ふっふっふ。これはある女子から借りてきたものだ」
琥太郎「……誰のかを当てろってことか?」
浩平「さすがに女子全員の中から当てろっていうのは難しいだろ? だから、3択だ」
琥太郎「……3択」
浩平「1番、美山香織(みやまかおり)。2番、幸田麻沙美(こうだまさみ)。そして、3番は手塚みのりだ」
琥太郎「なっ!? みのりちゃんだと!?」
浩平「さあ、当てられるかな?」
琥太郎(N)「俺的にはみのりちゃんがいいんだけど……。でも、まあ、他の2人もクラスで人気の女の子だ。つまり、外れがないクジみたいなもんだな。くっくっく。この勝負、勝っても負けてもある意味、俺の勝ちだ」
琥太郎「うおおおおおおお! (凄い勢いで匂いを嗅ぐ)」
浩平「……」
琥太郎「おえええ!」
浩平「っ!? ど、どうした?」
琥太郎「あ、あ……明らかに女の子匂いじゃねえ」
浩平「す、すげえな。引っかからなかった」
琥太郎「え?」
浩平「それ、俺が履いたやつ」
琥太郎「おえええええええええ!」
浩平「ふふ。お前は本物だ。負けたぜ」
琥太郎「ふざけんなー!」
浩平「ぶへっ!」
琥太郎が浩平を殴り飛ばす。
琥太郎(N)「こうして、俺の鼻は凄いということが証明された。……けど、これからは気を付けて匂いを嗅ごう……」
終わり。
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