干支レース

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■概要
人数:5人以上
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ・演劇、童話、コメディ

■キャスト

ナレーション
ネズミ


ウサギ







イノシシ
神様

■台本

ナレーション「昔々、遥か昔。神様が言いました。新年のあいさつに早く来た動物から1年ごとに動物たちの大将にしよう、と。そして、動物たちは神様の言う通りに、新年のあいさつのレースを張り切っていました。ですが、猫はそのレースの日を忘れてしまい、ネズミに何日かを聞きました。するとネズミは1月2日だと答えます。それを信じた猫は2日に神様のところへ行きますが、もう終わってしまっていて、干支に入ることができませんでした。それ以来、猫がネズミを追い回すようになったのです。そして、それから長い時間が経ちました」

神様「んー。そろそろ、干支を入れ替えようかな?」
ネズミ「神様。また、レースをやるんですか?」
神様「うん。そう。もう、今の干支、飽きたでしょ?」
牛「いや、飽きたとか、そういうことじゃないと思いますが」
神様「まあまあ、たまにはいいでしょ。たまにわさ」
寅「……たまに変えられても困ると思いますけど」
神様「んー。じゃあ、今の干支のみんなが、また頑張ればいいじゃない。ね?」
ウサギ「……ねって、言われましても」
神様「ダメだよ。一回決まったからって、その地位にしがみついてちゃ。君たち、最近、たるんでるから」
龍「……」
神様「はいはい。決まりだから、他のみんなにも言っておいてね―」

場面転換。

蛇「どうする?」
馬「そんなこと言ったって、神様が言ったんだから、どうしようもなくない?」
羊「だね」
猿「けど、いきなり干支が変わったら、人間たち、ビビるだろうなぁ」
鳥「ビビるどころか、混乱すると思うよ」
犬「だよね。うー、どうしよう?」
イノシシ「また、うちらが頑張るしかないよ。前と同じ順位なら、神様だって納得するしかないんじゃない?」
牛「それしかなさそうだな。よし、じゃあ、みんなで対策を練ろう」
龍「おっけー」
鳥「じゃあ、ネズミさん、レースのことをみんなに伝えてもらえる?」
ネズミ「え? いいの?」
犬「さすがに知らせないとまずいよ。神様が言ったんだからさ」
ネズミ「そっか。そうだよね」

場面転換。

ネズミ「えーっと、次はマントヒヒさんに知らせなくっちゃ」

ネズミが走っている。
そこに猫が現れる。

猫「おい、ネズミ!」
ネズミ「あ、猫さん」
猫「神様がまたレースするんだってな?」
ネズミ「あー、うん。そうなんだ」
猫「……そのレース、いつなんだ?」
ネズミ「えーっとね――」

場面転換。

猫「うーん。前回ネズミには騙されたからな。今度こそは絶対に干支に入りたいから、ミスれないぞ。あいつ、一日遅く知らされたからな。今度は引っかからないぞ」

場面転換。

猫「ふっふっふ。同じ間違いをする俺だと思うなよ。今度は裏を読んでやる。よーし、干支の座は俺がもらったぞ」

場面転換。
走る猫。

猫「はあ、はあ、はあ。神様のところは遠いな。みんな、前回、こんな長い距離を走ったのか? でも、こんなところでへこたれてる場合じゃない! 頑張るぞー!」

場面転換。
走る猫。

猫「はあ、はあ、はあ……。あ、見えた! 神様の家だ! 俺が一位だ!」

ガラガラとドアを開ける猫。

猫「神様、俺が一番で挨拶に来ました!」
神様「ん? レースは明日だぞ?」
猫「……へ?」

場面転換。

猫「ねーずーみー!」
ネズミ「うわ、どうしたの?」
猫「お前、騙したな!?」
ネズミ「なにが?」
猫「お前、レースは1月1日って言ってたじゃないか!」
ネズミ「え? うん。そうだよ」
猫「……あれ? え? 合ってたの?」
ネズミ「だって、前回、騙したら怒ったじゃない」
猫「いや、そうだけど、今回も騙すと思うだろ、普通」
ネズミ「……そんなこと言われても」
猫「……」

ナレーション「猫は、前回騙された反省を活かして、聞いてた日の前の日に神様のところへ行ってしまったのです。情報はキチンと自分で確かめないといけませんね。ちなみに、干支レースは当日、神様がやっぱり干支を変えるのは面倒くさいという理由で中止になったのでした。めでたしめでたし」

終わり。

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