もう勝手にしてくれ

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■概要
人数:5人以上
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
櫂十(かいと)
美沙樹(みさき)
日々輝(ひびき)
葉琉希(はるき)
男子生徒1~2
司会

■台本

学校の廊下。
学園祭で賑わっている。

男子生徒1「櫂十。2組でメイドカフェやってるってよ。行ってみね?」
櫂十「ちょっと待て。確かにメイドカフェはそそられるが、よく考えろ。この限られた学園祭という時間は短いんだ。計画立てて回ろうぜ」
男子生徒1「んー。まあ、わからんでもないけど、当日まで計画立てられてない時点で、もうダメだと思うぞ」
櫂十「うっ! ……あ、諦めたらそこで学園祭は終わりだ。最後まで諦めるな」
男子生徒1「とにかくミスコンは外せないよな。今年もあの子、出るかな?」
櫂十「……」
男子生徒1「ん? どうした? ミスコンは行くよな?」
櫂十「あ、ああ……。もちろん。見る方で行くよ」
男子生徒1「じゃあ、16時まではブラブラしようぜ」
櫂十「だから、そこを、ちゃんと計画立ててだな……」
男子生徒1「こんなこと話してる間に行った方がよくないか?」
櫂十「……それもそうだな。じゃあ、2組の教室に行こうぜ」
男子生徒1「よーし! 目一杯楽しむぞ!」
櫂十「そうだな。去年は全く、楽しめなかったからな」
男子生徒1「あれ? そういえば、お前、去年って途中でいなくなったけど、何してたんだ?」
櫂十「あー、いや。去年のことは忘れたい。とにかく、今年は奴らがいないんだから、俺は楽しむんだ!」
男子生徒1「奴ら?」

男子生徒2が走ってくる。

男子生徒2「おーい、櫂十。お前を探してる人がいるみたいなんだけど」
櫂十「ん? 俺を? 誰だ?」
男子生徒2「ああ、あのコートの人たち……」
櫂十「……なっ!?」

葉琉希、日々輝、美沙樹が歩いてくる。

葉琉希「櫂くーん。今年も迎えに来たよー」
櫂十「ちょ、なんで、姉貴たちが学校に入って来てるんだよ! まだ一般公開日じゃないだろ」
日々輝「ふっふっふ。元在校生だった私たちには簡単なことよ」

3人がバッとコートを脱ぐ。

葉琉希「ババーン! 約1年ぶりに制服着ちゃったー!」
櫂十「くっ! 確かに制服着てれば、学校に入るのは容易か。……けど、葉琉姉と日々姉はまだしも、美沙姉はもう20歳過ぎてるのに……」
美沙樹「……あんた、言ってはいけないことを言ったわね」
日々輝「とにかく、今年も出てもらうわよ」
櫂十「嫌だ! 俺は、今年は普通に学園祭を楽しむんだ!」
葉琉希「あんたの意思は関係ないの。諦めなさい」
櫂十「く、くそ!」

走り出す櫂十。

葉琉希「あっ! 逃げた!」

場面転換。
空き教室内。

櫂十「ふう。なんとか捲いたか。仕方ない、ここで16時まで……」
美沙樹「見―つけたっ!」
櫂十「げっ! 美沙姉ぇ!」
美沙樹「あ、ちょっと待った。逃げなくていいから」
櫂十「え?」
美沙樹「今回、私は降りたの」
櫂十「どういうことだ?」
美沙樹「だって、せっかくの学園祭でしょ? あんたを追っかける時間がもったいないって。私は効率を気にするタイプなの知ってるでしょ? だから、私は私で学園祭を楽しむの」
櫂十「それはいい考えだ。うんうん。是非、そうしてくれ」
美沙樹「ってことで、はい」
櫂十「なんだこれ?」
美沙樹「たこ焼き。そこの出し物で売ってたから」
櫂十「いいのか? 貰っても」
美沙樹「葉琉と日々に追っかけまわされて、お腹減ったでしょ?」
櫂十「あ、ああ……」

櫂十がパクパクとたこ焼きを食べる。

櫂十「お、たこ焼き、美味いな」
美沙樹「じゃあ、追っかけっこ、頑張ってね」

美沙樹が教室を出ていく。

櫂十「……拍子抜けだな。美沙姉が一番、強要してきてたのに」

すると廊下から美沙樹の声がする。

美沙樹「葉琉―! 日々―! ここに櫂十いたよー」
櫂十「ぶっ!」

たこ焼きを搔っ込み、立ち上がる。

櫂十「くそ、あいつ、結局は敵かよ!」

櫂十が教室を出て走り出す。

場面転換。
櫂十を追いかけている葉琉希と日々輝。

葉琉希「待てー!」
櫂十「待てるか!?」
日々輝「ていっ!」

網を投げつける。

櫂十「うおっ! あぶね!」

間一髪で避ける櫂十。

日々輝「ちっ! 外したか」
櫂十「網なんて、どこに持ってたんだ!」
葉琉希「隙あり!」

葉琉希が櫂十にタックルを仕掛ける。

櫂十「しまった!」
日々輝「ふっふっふ。諦めなさい」
櫂十「くそ! 最後まで諦めてたまるか!」

櫂十が暴れる。

葉琉希「こら、暴れるな!」

櫂十が葉琉希を振りほどき、逃げる。

日々輝「あ、また逃げた」
櫂十「捕まってたまるか!」
葉琉希「あー、もう。時間がないのに!」

そこに美沙樹がやってくる。

美沙樹「あんたたち、相変わらず効率悪いことしてるわね」
日々輝「あ、美沙姉。ねえ、美沙姉も手伝ってよ」
美沙樹「……そろそろかな」
葉琉希「なにが?」
櫂十「……うっ! なんだ? 急に……」

パタリと倒れる櫂十。

日々輝「あれ? 寝ちゃった?」
美沙樹「たこ焼きに睡眠薬を仕込んでおいたのよ」
葉琉希「さすが美沙姉」
美沙樹「じゃあ、準備するわよ」

場面転換。

櫂十「う、うーん……。あれ? ここは?」
美沙樹「ふっふっふ。今年も力作よ」
櫂十「……あっ! 美沙姉! なんか、仕込んだな?」
葉琉希「はい、これ鏡―! メイクもばっちりでしょ?」
日々輝「あとは、これに着替えて完成ってわけ」
櫂十「はあ……。もう勝手にしてくれ」

場面転換。
ミスコン会場。

司会「さあさあ、今年のミスコンの最後のエントリー! 今年もこの子が来てくれました! 2連覇達成中の、なぞの美少女の登場です!」

わーっと拍手喝さいが巻き起こる。

櫂十「……なんで俺が女装してミスコンに出ないとならないんだ……」
葉琉希「きゃー可愛い!」
日々輝「こっち向いて―!」
美沙樹「最高!」
櫂十「くそ! 自分たちだけ楽しみやがって。……はあ。俺も普通に学園祭を楽しみたい……」

終わり。

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