映画のワンシーン

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■概要
人数:5人以上
時間:10分

■ジャンル
漫画原作・舞台・ドラマ、現代、コメディ

■キャスト
颯真(そうま) 20歳 大学生
朱華(あやか) 20歳 大学生
千紗(ちさ) 20歳 大学生
男客 20~25歳
女客 20~25歳
ゾンビ1~2 男 18~25歳

■台本

〇高台の上(夕方)

朱華が両手の親指と人差し指で四角を作って、赤い空を覗き込む。

その後ろに颯真が立っている。

朱華「私ね。映画のワンシーンに憧れてるんだ」

颯真「朱華は昔から映画好きだもんな」

朱華「好きっていうか、憧れかな」

颯真「憧れ?」

朱華「そ。一度でいいから、映画のワンシーンみたいなを経験したいなぁ」

颯真「……実際に起こらないから映画なんじゃねーのか?」

朱華「もう、颯真は夢がないなぁ! そんなんだから、女の子にモテないんだぞ!」

颯真「うるさいな……」

颯真(N)「映画のワンシーン。いつも朱華が言ってる言葉だ。……例えば、夕日の中、高台に2人きりの今、後ろから抱きしめて好きだと告白すれば、満足してくれるのだろうか」

颯真「……できるわけねーよな」

朱華「ん?」

颯真「いや、なんでもない」

朱華「じゃ、帰ろっか」

颯真「ああ……」

〇映画館

スプラッター映画がスクリーンに映し出されている。

朱華はハラハラしながら映画を見ていて、颯真は少し、引いてる。

朱華「きゃああ!」

颯真「……」

〇ファミレス

颯真はコーヒーを、朱華はパフェを食べている。

朱華「あー、怖かった」

颯真「あれが、男と見る映画か? もっと、こう、あるだろ」

朱華「えー? だって、デートじゃないんだし、いいじゃん。デートならちゃんと恋愛もの見るし」

颯真「……(デートじゃないのかとがっくり)」

朱華「どしたの?」

颯真「いや、なんでもない」

朱華「あ、でも、ごめんね。颯真、ああいうの嫌だった? 今度は颯真が見たい映画に付き合うよ」

颯真「……別に気にすんなよ」

朱華「えへへ。颯真のそういうとこ、好き」

颯真「お前な……。そういうことを軽々しく言うなよ」

朱華「え? なんで?」

颯真「……」

〇大学内・学食

颯真と千紗が昼ご飯を食べている。

颯真は親子丼。千紗はそば。

千紗「んなもん、キスして付き合え、でいいじゃん」

颯真「アホか」

千紗「はー。ホント、あんたらは高校から変わらんねぇ」

颯真「うるせ……」

千紗「もういい加減、あんたらのラブコメ見るの疲れるんだけど」

颯真「……俺だって、疲れ果ててるんだよ」

千紗「どう見ても、脈ありだと思うんだけどなぁ」

颯真「そうか? 昨日だって、あっさりデートじゃないって言われたんだぞ」

千紗「んー。昨日はたまたまデートのターンじゃなかったんじゃないの?」

颯真「そんなことあるのか?」

千紗「いや、知らんけど」

颯真「……適当なこと言うな」

千紗「それより、今度の土曜はどうすんの?」

颯真「土曜? なんかあったか?」

千紗「ハロウェイン」

颯真「ああ。そういえば、そんな行事があったな。別に何も考えてねーけど。仮装とか興味ねーし」

千紗「ええー! せっかくの告白のチャンスなのに。年に1回の大チャンスだよ?」

颯真「言うほどか? それなら、クリスマスとかの方がいいだろ」

千紗「とりあえず、これに行って来なさいよ」

千紗が2枚のチケットを出してテーブルの上に置く。

颯真「何のチケットだ?」

千紗「花火大会。高台を貸し切って、特等席を作るんだって。ほら、人が並んで怪我したりしないように、絶景ポイントは有料にしたのよ」

颯真「……花火って、ハロウィン関係ねーじゃん」

千紗「あはははは。そうだね」

颯真「……また、適当なことを。けど、サンキュー」

颯真がチケットに手を伸ばすが、サッと千紗が取る。

颯真「おい」

千紗「おかわりしていい?」

颯真がため息をついて、財布から500円玉をテーブルに置く。

千紗「毎度あり!」

〇山道(夕方)

浴衣を着たカップルたちが歩いている。

颯真と朱華も浴衣を着ている。

朱華「花火大会なんて久しぶりだね」

颯真「そうだな……」

チラリと颯真が朱華を見る。

颯真「……(見惚れる)」

朱華の横顔を見て、拳をグッと握り締める。

女客「今年は大丈夫かな?」

男客「さすがに金取るんだから、その辺はしっかり対策するだろ」

女客「前にもぶち壊されたって聞いたからさ。……ホント、勘弁してほしいよねー」

それを聞いてた朱華と颯真。

朱華「何の話だろ?」

颯真「さあ?」

〇高台(夜)

花火が上がっている。

カップルたちが歓声を上げている。

朱華「きれー!」

颯真「そうだな……」

朱華「映画ならさ、こういうとき、カップルはキスするんだろうね」

颯真「……」

颯真が拳をグッと握る。

颯真「あ、あのさ、朱華」

朱華「ん? なに?」

颯真「俺、お前のことが……」

そのとき、周りにいるカップルたちの悲鳴が上がる。

女客「きゃーーーー!」

男客「うわー! 逃げろ!」

その場にいるカップルたちが大騒ぎで逃げていく。

朱華「え? なになに?」

颯真「な、なんだ?」

すると高台の下から、ゾンビや妖怪のコスプレをした人間がワラワラと出てくる。

ゾンビ1「リア充は死ねー!」

ゾンビ2「リア充は爆発するべし!」

まさにその場は阿鼻叫喚。

颯真「逃げるぞ、朱華」

朱華「……」

しかし、朱華は呆然とその場を見ている。

颯真「おい、朱華」

朱華「あはははははは」

颯真「朱華?」

朱華が両手の人差し指と親指で四角を作る。

朱華「これだよ、これこれ!」

颯真「なにがだよ?」

朱華「映画のワンシーン!」

颯真「え?」

朱華「夢、叶っちゃった」

颯真「映画のワンシーンって、ホラー映画かよ!」

朱華「そうだよ。ほら、よくあるじゃん。最初に襲われるカップル」

颯真「……しかも、モブのシーンかよ! とにかく、逃げるぞ」

颯真が朱華の手を引いて、走り出す。

朱華「でもね、颯真」

颯真「ん?」

朱華「このシーンはカップルじゃないとダメなの」

颯真「……」

朱華「友達だと、成立しないんだよ」

颯真「……」

颯真がギュッと朱華の手を握る。

そして、二人で並んで逃げるのだった。

終わり。

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