超一流のエージェント

〈前の10枚シナリオへ〉  〈次の10枚シナリオへ〉

〈声劇用の台本一覧へ〉

■概要
人数:5人以上
時間:10分

■ジャンル
漫画原作、現代、コメディ

■キャスト
ヴィンセント 45歳 エージェント
ベラ 24歳 エージェント
ノエル 32歳 エージェント
レイモンド 28歳 エージェント
ミア 5歳
男1~8

■台本

〇ある組織のアジト。
倉庫のような場所。物がたくさん積み上げられている。
そんな中、銃撃戦が繰り広げられている。
スーツを着た男たち10数人がベラに向って銃を乱射している。
物陰に隠れたベラの手には銃が握られているが頼りない。

ベラ「……はあ、はあ、はあ」

銃声が鳴りやまない。

ベラ「ここまでのようね」

そのとき、窓を破ってヴィンセントが倉庫内に飛び込んでくる。

男1「な、なんだ貴様……うっ!」

ヴィンセントが銃を撃つと、次々に男たちにヒットしていく。

男2「うっ!」
男3「ぐあっ!」
男4「ちくしょう!」

男4がヴィンセントに向って銃を撃つが、ヴィンセントは床を転がりながら、弾を避け、そして銃を撃つ。

男4「うがっ!」

ドンドンと銃を撃って男たちを倒していく。
走り続け、ベラのところに到着する。

ベラ「ヴィンセントさん……」
ヴィンセント「行くぞ」
ベラ「なんで、来たんですか!? いくらあなたでも、ここを切り抜けるのは無理です」

するとさらに敵の増員がやってくる。

ヴィンセント「増援か……」
ベラ「私が囮になります。その間に、ヴィンセントさんは突破してください」
ヴィンセント「……」
ベラ「あ、これ……」

ベラがポケットからUSBを出してヴィンセントへと差し出す。

ベラ「今回の任務のデータです。これを持って帰ってください」
ヴィンセント「お前が持ってろ」
ベラ「ヴィンセントさん!」
ヴィンセント「心配するな。なんとかしてやる」

ヴィンセントが物陰から飛び出し、数人を撃つ。

男5「うっ!」
男6「うわっ!」

そして、荷物を撃って、荷物を崩す。

男7「くそ! 絶対に逃がすな」

ヴィンセントが倒れている男を掴み、物陰に引きずり込む。

男8「探せ! まだ建物内にいるはずだ」

男たちが慎重に辺りを警戒する。
すると物陰からヴィンセントの服装をした男が飛び出す。

男7「いたぞ! 撃て! 撃て!」
男8「うおおおおおお!」

飛び出た男がハチの巣になる。

男7「やったぞ!」

男たちがハチの巣になった男の元へ行く。

男8「こ、これは……」

ハチの巣になったのは、ヴィンセント服装をした男1だった。

男7「ど、どうなってんだ、こりゃ?」

〇屋外
ベラとスーツを着たヴィンセントが走っている。

ベラ「あ、ありがとうございました」
ヴィンセント「ああ……」

〇機関の事務所。
ベラが椅子に座り、パソコンで報告書を打ち込んでいる。
そこにノエルがコーヒーを持ってやってくる。

ノエル「お疲れ」

コーヒーを差し出す、ノエル。
ベラが受け取る。

ベラ「ありがとうざいます」
ノエル「大仕事だったな。お偉いさん、かなり喜んでたぞ」
ベラ「……今回は私の手柄じゃありません。ヴィンセントさんがいなければ、殺されてました」
ノエル「まさか、あいつと自分を比べて凹んでるのか?」
ベラ「……」
ノエル「あいつは伝説のエージェントだぞ。比べる方が間違ってる」
ベラ「……ヴィンセントさんほどのエージェントを、私は知りません。なのに、なぜ一線から退いてたのですか?」
ノエル「さあな。よく聞くのが5年前の事件が切っ掛けって話だけどな」
ベラ「なんですか、5年前の事件って」
ノエル「確か、弟子として育ててたやつが死んだんだよ」
ベラ「それで、今は各エージェントの補佐をやってるんですもんね」
ノエル「なんでも、長い期間がかかる任務が出来ないから、スポットの任務ばかりらしいな」
ベラ「……」
ノエル「でも惜しいよな。あの人なら、どんな任務でも余裕で達成できるのに」
ベラ「……そうですね」

〇地下牢
レイモンドがボロボロの状態で倒れている。

レイモンド「くそ……」

すると見張りの男が声も立てずに倒れる。

レイモンド「え?」

ヴィンセントが現れる。

レイモンド「……ヴィンセントさん?」

ヴィンセントが牢を開ける。

ヴィンセント「行くぞ。脱出だ」
レイモンド「いや、無理ですよ。どれだけ、セキュリティが高いと思ってるんですか」
ヴィンセント「なんとかする。ついて来い」
レイモント「いくらヴィンセントさんでも……」

〇ヘリコプター内
レイモンドの肩に毛布が掛けられている。
その隣にはヴィンセントが座っている。

レイモンド「ヴィンセントさん、ありがとうございました」
ヴィンセント「気にするな」
レイモンド「あの、ヴィンセントさん」
ヴィンセント「なんだ?」
レイモンド「一線には戻らないんですか?」
ヴィンセント「無理だ。戻れん」
レイモンド「どうしてですか!? ヴィンセントさんなら、どんな任務だって……」
ヴィンセント「俺にも、どうにもできないものがある」
レイモンド「……?」

〇家の前
ヴィンセントの腕には大きなぬいぐるみ。

ヴィンセント「……はあ」

大きくため息をつき、ドアを開ける。

〇家の中
ドアからヴィンセントが入ってくる。

ヴィンセント「ただいま……」
ミア「……」

入ったところにはミアが腕を組んで不機嫌そうにして立っている。

ヴィンセント「ミ、ミア。ほら、お土産だ」

ヴィンセントがぬいぐるみを差し出すが、ミアは口を尖らせてソッポを向く。

ヴィンセント「悪かったよ。授業参観に出れなかったのは」
ミア「……パパの馬鹿! 知らない!」
ヴィンセント「ごめん。本当にごめん!」
ミア「知らない! パパなんか嫌い!」
ヴィンセント「そ、そんな……」

ヴィンセント(N)「ミアの機嫌を直す。このミッションは、どんな現場より難易度が高い」

終わり。

〈前の10枚シナリオへ〉  〈次の10枚シナリオへ〉