そりゃ興味あるよ。女の子だもん

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■概要
人数:5人以上
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
知鶴(ちづる) 15歳
七菜香(ななか) 15歳
杏璃(あんり) 15歳
真菜(まな) 15歳
女性 15歳
男子1~2 15歳
教師 35歳

■台本

大浴場。
浴場に女性の悲鳴が響く。

女性「きゃあああああ! 覗きよーー!」

場面転換。
ガタンガタンと電車の揺れる音。

知鶴「……」
七菜香「どうしたの、知鶴? せっかくの修学旅行なのにテンション低いね」
知鶴「違うのよ、七菜香。今は体力を温存してるだけ」
七菜香「え? 温存って言っても、初日は移動日だよ? 自由時間もないし……」
知鶴「甘いわよ。自由時間がなくても、今日は旅館に泊まるでしょ?」
七菜香「……んー。なに? もしかして、初日から恋バナで徹夜する気とか?」
知鶴「違う違う。それよりも先にあるでしょ。大イベントが」
七菜香「その前……? あ、夕食のバイキングのこと? 確かにテンション上がるよねー。デザート、たくさんあるといいんだけど」
知鶴「ああ、確かにそれもあるけど、その後なんだよね、本番は」
七菜香「その後?」
知鶴「まあいいわ。そのときになったら教えてあげる。七菜香もきっと私に賛同すると思うから」
七菜香「……?」

場面転換。
ガラッとドアが開く音。
七菜香と知鶴を含め、4人の女子が部屋に入ってくる。

真菜「ふいー! もう、腹いっぱい!」
七菜香「こんなにケーキ食べたの初めてかも」
杏璃「そういえば、知鶴はあんまり食べてなかったみたいだけど、気分でも悪かったの?」
知鶴「違うわ。この後のメインイベントのために腹八分目にしてたの」
真菜「メインイベント?」
七菜香「あー、そういえば、電車の中で言ってたね。なんなの? メインイベントって」
知鶴「ふふふ。それはね……。ずばり、お風呂よ!」
杏璃「え? 知鶴って、そんなにお風呂好きだったっけ?」
七菜香「初めて聞いた。いつもシャワーで済ます派じゃなかったっけ?」
知鶴「チッチッチ! 違うわよ。お風呂に入ることがメインじゃないの」
真菜「……何言ってるの? お風呂に入るいがに、お風呂にイベントなんてあるわけないじゃない」
七菜香「あ、わかった。サウナとかじゃない?」
杏璃「あー。あれか。整うってやつ?」
知鶴「違う違う。ほら、あるでしょ。もっと、ほら、テンション上がる奴」
真菜「うーん。そう言われてもなぁ」
知鶴「いいわ。教えてあげる。それは……覗きよ!」
真菜・七菜香・杏璃「……」
知鶴「なによ? 3人とも黙っちゃって」
杏璃「いやいやいや。覗きって。男子じゃないんだから」
七菜香「そうだよ。なんで、女子が男子を覗かないとならないのさ」
真菜「うんうん。意味わかんない」
知鶴「ふーん。じゃあ、聞くけど。あんたたちは男子のアレ……気にならないの?」
真菜・七菜香・杏璃「……っ!?」
知鶴「私は興味あるわ。そりゃネットとかで見たことあるけどさ、やっぱり実物を直で見たいと思わない?」
七菜香「そ、それは……」
真菜「いや、でも……」
知鶴「いつも教室で会ってる男子のを見れるのよ? 興奮しない?」
杏璃「うっ!?」
七菜香「大丈夫? はい、ティッシュ。これで鼻血拭いて」
杏璃「あ、ありがとう……」
真菜「でででもさ、もし見つかったらどうするの? 犯罪だよ?」
知鶴「大丈夫。そこも私に考えがあるわ。もし見つかっても平気なはずよ」
真菜「ほ、ホントに?」
知鶴「まあ、100パーセント安全ってわけじゃないわ。でも、欲望を叶えるのにはある程度のリスクの覚悟が必要なの」
七菜香「……」
知鶴「どう? 私はやるわ。みんなはどうする?」
真菜・七菜香・杏璃「……行く」

場面転換。
露天風呂。
知鶴、真菜、杏璃、七菜香が入っている。

真菜「ふう。やっぱり露天風呂はいいわね」
七菜香「うん。そうだね」
知鶴「ちょっと、2人とも、目的忘れないで。何しに来たと思ってるの」
七菜香「あ、そうだった。ごめん」
杏璃「で、知鶴。どうするの?」
知鶴「いい? まず、お風呂って言うのは、男子の方から女子のところが絶対に見えないように設計されてるのよ」
七菜香「うん。そうだね」
知鶴「例えば、ここみたく、女子風呂が高い所にあって、男子風呂が下にあるって配置」
杏璃「……あっ! そっか」
知鶴「わかった?」
杏璃「男子からは覗き辛いけど、逆に言うと、女子からは覗きやすい」
知鶴「ピンポーン! 正解!」
真菜「おおー! さすが知鶴」
七菜香「でもさでもさ! いくら見下ろせば男子風呂が見えるって言っても、結構距離あるよ? 私、そんなに目、良くないし……」
知鶴「大丈夫。それで、これを持ってきたわ」

ガサガサと荷物を漁る音。

知鶴「これよ! 双眼鏡」
真菜・七菜香・杏璃「おおー!」
知鶴「では、さっそく、覗かせてもらいますか」

ガサガサと塀の隙間から下の男子風呂を覗く。

知鶴「……」
七菜香「どう?」
杏璃「ねえ、順番なんだから、早く私にも見せてね」
知鶴「……」
真菜「どうしたの?」
知鶴「失敗だわ」
七菜香「え?」
知鶴「湯気で曇って見えない……」
杏璃「えええー!」
七菜香「そんなあ」
真菜「どうするの?」
知鶴「落ち着いて。こうなったら、プランBでいくわ」

場面転換。
大浴場。
壁をぺたぺたと触る知鶴。

七菜香「ホントにあるの?」
知鶴「先輩に聞いたから間違いないはずよ。去年、壁の穴から男子が女子風呂を覗いたって事件があったのよ」
真菜「へー」
知鶴「あ、あった! 塞いであるように見えるけど、こうやって……」

カパッと音がする。

知鶴「外れた」
真菜・七菜香・杏璃「おおー」
知鶴「じゃあ、今度こそ……」
真菜・七菜香・杏璃「……(ごくり)」
知鶴「うわー。すごいすごいすごい」
杏璃「え? なになに?」
知鶴「坂本くんって、可愛い顔して、エグイの持ってるわ」
杏璃「ちょっとちょっと! ずるいわよ! 私にも見せてよ!」
知鶴「うわー。田中、まだツルツルだ」
七菜香「えー! 見たい見たい!」
知鶴「国分くんのちっちゃくて可愛い」
真菜「もう、知鶴! 早く代わってよー!」

すると壁の向こうから声が聞こえてくる。

男子1「マジマジ。俺、先輩から聞いたんだよ。この辺に穴があって、女子風呂が覗けるって」
男子2「マジでか! どこどこ?」
男子1「あ、これだ……」
知鶴「……あっ!」
男子1「へ?」
知鶴「……」
男子1「わあああああ! 覗きだぁーーー!」

場面転換。
部屋の一室。

教師「……嘘をつくんじゃない!」
男子1「いや、ホントですって! そっちが覗いてたんですよ!」
知鶴・真菜・七菜香・杏璃「……」
教師「女が男を覗くわけないだろ! 馬鹿もんが!」
男子1「うう! 理不尽だ!」
知鶴「(小声で)ふう。危なかった……」

終わり。

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