ポーカーの極意

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■概要
人数:4人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
ローガン 21歳
デビット 21歳
マシュー 21歳
オーエン 21歳

■台本

カジノのポーカーの台。

ローガン「7のツーペアだ」
オーエン「残念だったな。5のスリーカードだ」

バンとテーブルを叩いて、立ち上がる。

ローガン「嘘だ! くそ、イカサマだ、イカサマ!」
オーエン「おい、ローガン。俺がどんなイカサマを使ったってんだ? 言ってみろ?」
ローガン「そ、それは……」
オーエン「ふん。とにかく、負け分は払えよ」
ローガン「く、くそ……」

場面転換。
大学の教室内。
机に突っ伏しているローガン。

ローガン「くそーくそー! なんでだー」
デビット「なんだ? また、ギャンブルか? お前も懲りないな」
ローガン「いや、デビット、聞いてくれって! オーエンの奴、絶対イカサマしてるって!」
デビット「証拠はあるのか?」
ローガン「うっ! いや、ないけどさ……。けど、もう12連敗だぞ! 12連敗! そんなのあり得ると思うか?」
デビット「そう思うなら、やめればいいじゃねーかよ、ギャンブル」
ローガン「……ギャンブルやめたら、生活に張りがなくなるだろ」
デビット「逆にギャンブルのせいで生活が最低の状態になってるだろ」
ローガン「くそー、なんでだ!? なんで勝てないんだよ! ちょっとでも勝てればさ、俺も満足してやめれるんだよ」
デビット「……いや、そのセリフを聞く限り、そうとは思えん」
ローガン「デビット! なにか、いい方法ないか? オーエンに勝てるいい方法」
デビット「お前には無理なんじゃないか?」
ローガン「おまっ、そう言うこと言うか!? 凹むだろ!」
デビット「てかさ、お前、顔に出し過ぎなんじゃねーの?」
ローガン「へ?」
デビット「お前、いつもやってるの、ポーカーだろ?」
ローガン「ああ」
デビット「ポーカーって、結局は相手との手札の読みあいなんだよ。相手が強いカードの時は降りて、弱いときに勝負する。これが勝つ方法だろ?」
ローガン「けど、俺、オーエンのカードなんて読めないぞ」
デビット「で、お前は読まれるから、負け続けるんだろ」
ローガン「くそー! イカサマだー!」
デビット「いや、違うって。表情を読まれるお前が悪い。ポーカーは表情が全てなんだよ、きっと。ほら、ポーカーフェイスっていうだろ?」
ローガン「じゃあ、どうするんだよ? 顔に出さない特訓でもしろっていうのか?」
デビット「まあ、それがいいとは思うけど、お前の場合、顔に出さないって、相当、特訓積まないと無理だろ」
ローガン「……だから、諦めろって言うのか?」
デビット「お前が勝てないなら、代理に勝ってもらうんだよ」
ローガン「代理?」

場面転換。

デビット「こいつが、マシューだ」
マシュー「……どうも」
ローガン「ローガンだ。よろしく」
マシュー「……で? 僕にどうしろって?」
デビット「ローガンの敵討ちを手伝って欲しい」
マシュー「……約束通り、プリテアのカードをくれるなら、いいけど」
ローガン「なんだ、プリテアって」
デビット「アニメだよ。女児向けの」
ローガン「……へー」
デビット「よし、じゃあ、本題に入る。マシューはこのように、見たところ、眠たそうな顔をしている。表情も虚ろで、何を考えているかわからない」
ローガン「……言いたい放題だな」
デビット「とはいえ、今のままではそれでも、少しは顔に出てしまうだろう。だから、マシューには特訓を受けてもらう」
マシュー「特訓?」
デビット「ああ、感情を一切、顔に出さない特訓だ」
マシュー「……」

場面転換。

デビット「あ、プリテアのアイの声優だ!」
マシュー「えーーー! どこどこどこ!?」
デビット「はい、アウト。ダメだな」
マシュー「なんだよ……。ウソかよ」
デビット「いいか? どんなことがあっても、絶対に表情に出すな」
マシュー「……わかった」

デビットがマシューに針をブスリと刺す音。

マシュー「痛いっ!」
デビット「ほら、表情が崩れた! 無表情だ、無表情」
マシュー「……うう」
ローガン「……鬼だな」

場面転換。

デビット「プリテアの同人誌が手に入ったぞ」
マシュー「っ……」
デビット「はい、ダメ。わずかに、眉が上がった」
ローガン「……凄い厳しいな」

場面転換。

デビット「プリテアのジュリのイベントがあるらしいぞ。サイン会だってさ」
マシュー「……」
デビット「完璧だ。眉一つ動かさなかったぞ」
ローガン「……大丈夫だよな? そのジュリってやつに興味なかったわけじゃないよな?」
デビット「よし、さっそく、オーエンにリベンジだ!」
ローガン「いや、俺の話を聞けよ」

場面転換。
カジノのポーカーの台。

マシュー「……」
オーエン「……な、なんだ、こいつは表情が全く読めん……」
マシュー「レイズ」
オーエン「くっ……」

その勝負を横から見ているデビットとローガン。

デビット「よしよし、見ろよ、オーエンのあの顔」
ローガン「マシューの表情がわからなくて、大分苦戦してるな」
デビット「これはいける。っていうか、あいつは最強だ。マシューがいれば、大儲けできるかもしれないぞ」
ローガン「そうだな! 今までの負け分を回収してくれそうだな」

場面転換。

オーエン「レイズ」
マシュー「コール」
オーエン「3のツーペア」
マシュー「俺は、これだ」

パサッとカードを開いて見せる。

オーエン「……えーと、役なしだな」
マシュー「そうか」
オーエン「俺の勝ちだな」
マシュー「そうか」
ローガン「ん? 雲行きが怪しくないか?」
デビット「……おかしい。マシューは眉を1ミリも動かしてないのに」

場面転換。

オーエン「よし! 俺の勝ちだ! これでお前の掛け金はなくなったな」
マシュー「……そうか」
オーエン「じゃあ、今日はこれで終わりだな」

オーエンが立ち上がって、ローガン質の方へやって来る。

オーエン「ありがとな。カモを連れてきてもらってよ」
ローガン「……っ」

オーエンが行ってしまう。

ローガン「おい、デビットどういうことだ?」
デビット「もしかして……」
ローガン「なんだ?」
デビット「マシュー。お前、ポーカーのルール知ってるよな?」
マシュー「いや、知らない」
デビット「っ!?」
ローガン「それじゃ、いくらポーカーフェイスでも意味ねーじゃん!」

終わり。

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