【声劇台本】歴史改変修正の力

【声劇台本】歴史改変修正の力

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■概要
人数:4人
時間:15分程度

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
海斗
夏帆
佳穂
みのり

■関連シナリオ
<桜の木の下で>

■台本

海斗(N)「時間を巻き戻す。過去に戻る。誰でも一度は憧れる能力じゃないだろうか。もし、それが急に使えるということになったら、どんなところで使うか。それは人それぞれだと思う。だけど、忘れていけないのが、パラドックスだ。有名なのが、親殺しのパラドックスというもので、過去に戻り、自分の親の存在を消したら果たして自分が生まれるのか? それに対してよく言われるのが、改変を修正する力が働くというものだ。つまり、歴史は変えられない。歴史改変の修正が入るというものだ」

登校時間。

海斗と夏帆が並んで歩いている。

夏帆「ねえ、海斗。あんた、あと何回過去に戻れるの?」

海斗「……夏帆。今度は何の漫画の影響を受けたんだ? 毎度、いきなり話を振られる俺の身にもなってくれよ」

夏帆「え? ああ、ごめんごめん。今さ、タイムスリップものの漫画にはまっててさ」

海斗「まあ、割と使い古されたジャンルだよな」

夏帆「でさ、自分がダメダメな理由は、親がダメダメだからって理由で、自分を変えようとするアニメがあるじゃない?」

海斗「ああ。日本の国民なら9割は知ってるだろう、有名な、あのアニメの話な。って、アニメの話かよ」

夏帆「あれってさ、結婚する相手も変わるじゃない?」

海斗「……んー。たしか、本当はガキ大将の妹と結婚するはすだったんだよな」

夏帆「あれってどう思う?」

海斗「どうって……。何が聞きたいのかわからんが、あれか? 結婚する相手が変わったら、そもそも未来を変えようとする自分が生まれないんじゃないかって話か?」

夏帆「違う違う! あれってさ、あの眼鏡の自分勝手な好みの話じゃない」

海斗「あの眼鏡って……」

夏帆「本来、結婚するはずだった、ガキ大将の妹の気持ちはどうなるの?」

海斗「いや、どうって言われてもな……」

夏帆「結婚するんだから、少なからず、あの眼鏡のことを好きだったと思うし、眼鏡だって、その子を好きだったってことでしょ?」

海斗「そ、そうだな……」

夏帆「それをさ、未来の子供の勝手な考えで変えていいと思ってんの!」

海斗「なぜ、俺に切れる?」

夏帆「とにかく、そういうのはいけないと思うのよ」

海斗「……仮定の話をされてもな」

夏帆「だから、もし、海斗がそういう力を持ったとしても、過去を変えるなんてことはしちゃダメだよ!」

海斗「あーはいはい。そんな力がゲット出来たらな。考えておくよ」

夏帆「絶対だからね! って、あ、今日日直だった! じゃあ、先に行ってるね!」

夏帆が走っていく。

海斗「ったく、夏帆のやつ。なんで、アニメの設定の話であそこまでガチ切れできるんだよ。大体、俺ならあんなまどろっこしい真似しなくても、願いが叶う電話ボックス使うっつーの」

遠くでみのりと佳穂が話している。

みのり「佳穂、おはよー」

佳穂「あ、みのりちゃん、おはよう」

海斗「あ、佳穂ちゃんだ。同じかほって名前なのに、全然違うよなー。ホント、可愛い」

みのり「ん? 何もってるの?」

佳穂「メッセージカード。靴入れに入ってたの」

みのり「へー、相変わらず、モテモテね」

佳穂「や、やめてよー」

みのり「で? どうするの?」

佳穂「い、一応、返事してみる。無視するのも悪いと思うし……」

みのり「そっか。もしかしたら、佳穂に彼氏、できるかもね」

佳穂「や、やめてよ……」

みのり「あはは、照れない照れない」

海斗「ま、マジか……。クラスのヒロインが誰かと付き合うなんて、考えられねー。くそ、誰だ! 紳士協定を破った奴は? ま、でも、どうせ、そいつはフラれるだろ」

海斗(N)「だが、俺の予想は大きく外れ、佳穂ちゃんは告白された奴と付き合うことになったらしい。なんでも、伝説の桜の下に呼び出して、告白するという卑怯な手を使ったというのだ」

海斗「くそ! くそ! くそ! それなら、俺が先に告白すりゃよかった!」

夏帆「海斗、なにやってんの?」

海斗「うわっ!」

ツルっと滑って、ゴンと大きな音を立てて頭を床に打ち付ける海斗。

時間が巻き戻るような音。

海斗「いてて……」

夏帆「海斗、何してんの?」

海斗「何してて、お前が急に話しかけてきたから……って、あれ? ここどこだ?」

夏帆「何言ってるの? あんたの家の前よ」

海斗「へ? あれ? どうなってんだ?」

夏帆「何やってるのよ、早く学校行くわよ」

海斗「あ、ああ……。あれ? なんだ、この掌の9って数字は?」

場面転換。

夏帆「あ、今日日直だった! じゃあ、先に行ってるね!」

夏帆が走っていく。

海斗「……いや、日直は昨日だろ」

みのり「佳穂、おはよー」

佳穂「あ、みのりちゃん、おはよう」

みのり「ん? 何もってるの?」

佳穂「メッセージカード。靴入れに入ってたの」

海斗「え?」

みのり「へー、相変わらず、モテモテね」

海斗「ちょ、ちょっと待ったー!」

海斗が走り寄る。

佳穂「え? あ、あの……」

海斗「このメッセージカードはダメだ!」

カードを奪って破り捨てる海斗。

みのり「ちょっと、君、なにするのよ!」

海斗「え? あ……つい」

海斗(N)「それからわかったことだが、俺はどうやら一日ほど過去に戻っていたことがわかった」

海斗「カードを破ったせいで、俺は佳穂ちゃんに嫌われてしまった……。けど、もう一度、過去に戻れれば……。試す価値はあるよな。昨日のことを再現すれば……」

海斗が後ろに倒れ、ゴンと大きな音を立てる。

夏帆「海斗、何やってんの?」

海斗「ここは……? よし! 出来た!」

夏帆「え?」

海斗「悪い! 夏帆、俺、先に行くわ!」

海斗が走っていく。

場面転換。

海斗「はあ……はあ……はあ。やっぱり、佳穂ちゃんの靴箱に、カードがある。これを俺のアドレスに変更して……」

場面転換。

教室の昼休み。

夏帆「海斗、なにそわそわしてるの?」

海斗「いや、ちょっとな」

携帯が鳴る。

海斗「お、来た来た! よし! えっと、じゃあ、桜の木の下で……って」

夏帆「なに? 誰にメール打ってるの?」

海斗「ふっふっふ。ついに俺に春が来たのだ」

夏帆「……」

場面転換。

廊下を歩く海斗。

海斗「いざ告白するってなったら、緊張するな」

夏帆「海斗!」

海斗「うわっ!」

夏帆に押されて倒れ、頭をぶつける海斗。

夏帆「……海斗?」

海斗「あ、まさか、また戻っちまったのか?」

夏帆「……」

海斗「悪い! 夏帆、俺、先に学校行くから!」

走っていく海斗。

場面転換。

海斗「……手の数字が7に減ってる。てっことはこの数字は過去に戻れる回数か? あんまり失敗は出来ないな。今度は夏帆に邪魔されないように桜の木の下に……あれ?」

なにやら賑わっている。

海斗「なんか人がいるぞ?」

佳穂「えっと、今、人を待ってて……」

海斗「ヤバい、あんな状態だと告白できない……。ここは一旦、戻って時間を変えよう」

ゴンと頭をぶつける海斗。

夏帆「海斗?」

海斗「よし! 戻った!」

走っていく海斗。

海斗(N)「だが、この後、6回ほど過去に戻ってみたが、なぜか途中で邪魔が入ってしまう。なんだろう? 何か、見えない力が働いているような気がする。だが、俺は負けない! ……今度こそ、成功させる」

ゴンと頭をぶつける海斗。

海斗「はっ! ……あれ? 夏帆がいないな。って、そんなことより、学校へダッシュだ!」

場面転換。

海斗「とりあえず、カードの入れ替えは成功したし、メールのやり取りからが勝負だな」

みのり「佳穂、おはよー」

佳穂「あ、みのりちゃん、おはよう」

みのり「ん? 何もってるの?」

佳穂「……メッセージカード。靴入れに入ってたの」

みのり「メッセージカード? ああ、アドレスが書いてあるのね。よかったらメールくださいってやつか」

佳穂「うん……」

みのり「こういうの逆に困るっていうか、キモイよね」

海斗「え?」

佳穂「みのりちゃん。キモイは言い過ぎだよ」

みのり「でもさ、佳穂、それにメールする?」

佳穂「……しない」

海斗「そ、そんな……。なんで? どこで、変わったんだ?」

夏帆「海斗、残念だった……」

海斗「うわっ!」

海斗が滑って転び、頭を打つ。

夏帆「……海斗、大丈夫?」

海斗「あ、ああ」

海斗が立ち上がって、夏帆と並んで歩き始める。

夏帆「ねえ、海斗。あんた、あと何回過去に戻れるの?」

海斗「(呆然としながら)……はあー。今回で終わりだよ」

夏帆「えっとさ、今、私、タイムスリップの漫画読んでてさ」

海斗「夏帆、心配するな」

夏帆「え?」

海斗「アニメと違って、歴史は変えられないらしい」

夏帆「(小声で)ふう、よかった……。諦めてくれたみたいね」

海斗(N)「時間を巻き戻す。過去に戻る。誰でも一度は憧れる能力。だが、実際はあまり使えない能力だってことが痛いほどわかった。……歴史改変を修正する力は、とてつもなく大きいみたいだ」

終わり。

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