自慢のコレクション
- 2023.12.22
- ボイスドラマ(10分) 退避

■概要
人数:4人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
斗亜(とあ)
蓮(れん)
世那(せな)
店主
■台本
昼休みの教室内。
斗亜「俺さ、グラビアアイドルの百乃義(もものぎ)綾女(あやめ)のサイン入り、写真集、持ってるんだぜ」
蓮「はっ!(バカにした感じで)落ち目のアイドルじゃねーかよ。そんなの、ぜーんぜん、珍しくもなんともねーし」
斗亜「くっ!」
蓮「俺なんかさ、ポレモンカードのURカード持ってるんだぜ、ずげーだろ」
世那「あれ、ひと箱に一枚は入ってるって噂だぞ。そんなんで、コレクターって名乗るは恥だな」
蓮「うっ!」
世那「俺なんかさー、阿門画伯が作ったっていう、アンティーク持ってるんだぜ? すげーだろ」
斗亜「いや、それ、パチモンだって、ニュースでやってただろ。あの画伯は絵以外の作品は出してねーって話だぞ」
世那「なにー! そうなのか!?」
蓮「けっ! コレクターが偽物掴まされるなんて、いい恥さらしだな」
世那「うぐっ!」
斗亜「まあ、そのうち、お前らが絶対手に入れれないようなすげーもん、ゲットしてやるよ」
蓮「俺のセリフだね」
世那「ふん! お前ら二人を絶対にビビらせてやる」
場面転換。
道を歩く斗亜。
斗亜「とは言ったものの、珍しいものなんてそうそうないよなぁ……。ん?」
ピタリと立ち止まる斗亜。
斗亜「あれ? こんな店、あったかな? ……なんか、雰囲気ある店だな。入ってみるか」
店に入っていく斗亜。
場面転換。
店主「いらっしゃい」
斗亜が色々と店の中を見て回っている。
斗亜「うーん。統一感のない店だなぁ……」
店主「なにか、お探しで?」
斗亜「なんか、珍しいものない? みんながビックリするようなの」
店主「そう言われても……。何系がいいんですか? アンティーク系? それともレトロゲーム? プロマイドとかもありますが……」
斗亜「珍しければなんでもいいよ」
店主「ふーむ。……では、新しく作るというのはどうでしょう?」
斗亜「は? 新しく作る?」
店主「ええ、そうです。お客様が作れば、この世に唯一無二のものになります。それはそれは珍しいものになりますよ。なにしろ、世界で一つだけですから」
斗亜「うーん。まあ、それはその通りなんだけどさ。俺が作るっていっても、しょぼいものしか作れないだろ。そんなので、珍しいものって言っても、ドヤれないって」
店主「大丈夫ですよ。あなたの欲を具現化するんですから。出来は、その辺のプロが作ったものよりも、良い物が出来ることは保証します」
斗亜「……よくわからないけど、それで珍しい物が手に入るなら」
店主「では、こちらに来てください」
場面転換。
小さな部屋の中。
店主「では、こちらの水晶に手を当ててください。そして、あなたが望んでいる想いを込めるんです」
斗亜「想い?」
店主「はい。あなたがどうしたいのかを強く念じるんです」
斗亜「……よし、わかった。えーっと……。あいつらをビビらせたい! あいつらをビビらせたい! あいつらをビビらせたい!」
パーッと光が広がるイメージ。
斗亜「うわっ!」
店主「……どうでしょう?」
斗亜「え? あっ! 水晶がメダルになった!」
店主「あなたの見栄……いや、想いが形になったんです。どうですか? いい出来でしょう?」
斗亜「うん! うん! これはいいね! あいつらに自慢できそうだ!」
店主「……おや?」
斗亜「ん? なに?」
店主「ああ、いえ……なんでもありません」
斗亜「……まあ、いいや。じゃあ、これ、貰っていくよ」
店主「毎度あり」
場面転換。
昼休みの教室内。
斗亜「へへーん! 俺、昨日、すげー珍しいもん見つけたぜ」
蓮「お前もか?」
世那「俺も見つけたぞ」
斗亜「おいおいおい。お前らと一緒にするなよ。俺は、確実に世界に一つしかないものをゲットしたんだよ」
蓮「……」
世那「……」
斗亜「さあ、見てビビれ! これが、そのコインだ!」
バッと斗亜がコインを出す。
蓮・世那「あっ!」
斗亜「なんだよ?」
蓮「……これ、俺のコイン」
世那「俺も、見せようと思ってたコイン」
蓮と世那がコインを出す。
斗亜「へ? なんで? なんで、お前らが同じものを持ってんだ?」
蓮「お前、まさか、あの店に行った?」
世那「水晶に念じたやつだろ?」
斗亜「……」
蓮「……」
世那「……」
斗亜・蓮・世那「くそー! 騙された―!」
終わり。