自慢のコレクション

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■概要
人数:4人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
斗亜(とあ)
蓮(れん)
世那(せな)
店主

■台本

昼休みの教室内。

斗亜「俺さ、グラビアアイドルの百乃義(もものぎ)綾女(あやめ)のサイン入り、写真集、持ってるんだぜ」

蓮「はっ!(バカにした感じで)落ち目のアイドルじゃねーかよ。そんなの、ぜーんぜん、珍しくもなんともねーし」

斗亜「くっ!」

蓮「俺なんかさ、ポレモンカードのURカード持ってるんだぜ、ずげーだろ」

世那「あれ、ひと箱に一枚は入ってるって噂だぞ。そんなんで、コレクターって名乗るは恥だな」

蓮「うっ!」

世那「俺なんかさー、阿門画伯が作ったっていう、アンティーク持ってるんだぜ? すげーだろ」

斗亜「いや、それ、パチモンだって、ニュースでやってただろ。あの画伯は絵以外の作品は出してねーって話だぞ」

世那「なにー! そうなのか!?」

蓮「けっ! コレクターが偽物掴まされるなんて、いい恥さらしだな」

世那「うぐっ!」

斗亜「まあ、そのうち、お前らが絶対手に入れれないようなすげーもん、ゲットしてやるよ」

蓮「俺のセリフだね」

世那「ふん! お前ら二人を絶対にビビらせてやる」

場面転換。

道を歩く斗亜。

斗亜「とは言ったものの、珍しいものなんてそうそうないよなぁ……。ん?」

ピタリと立ち止まる斗亜。

斗亜「あれ? こんな店、あったかな? ……なんか、雰囲気ある店だな。入ってみるか」

店に入っていく斗亜。

場面転換。

店主「いらっしゃい」

斗亜が色々と店の中を見て回っている。

斗亜「うーん。統一感のない店だなぁ……」

店主「なにか、お探しで?」

斗亜「なんか、珍しいものない? みんながビックリするようなの」

店主「そう言われても……。何系がいいんですか? アンティーク系? それともレトロゲーム? プロマイドとかもありますが……」

斗亜「珍しければなんでもいいよ」

店主「ふーむ。……では、新しく作るというのはどうでしょう?」

斗亜「は? 新しく作る?」

店主「ええ、そうです。お客様が作れば、この世に唯一無二のものになります。それはそれは珍しいものになりますよ。なにしろ、世界で一つだけですから」

斗亜「うーん。まあ、それはその通りなんだけどさ。俺が作るっていっても、しょぼいものしか作れないだろ。そんなので、珍しいものって言っても、ドヤれないって」

店主「大丈夫ですよ。あなたの欲を具現化するんですから。出来は、その辺のプロが作ったものよりも、良い物が出来ることは保証します」

斗亜「……よくわからないけど、それで珍しい物が手に入るなら」

店主「では、こちらに来てください」

場面転換。

小さな部屋の中。

店主「では、こちらの水晶に手を当ててください。そして、あなたが望んでいる想いを込めるんです」

斗亜「想い?」

店主「はい。あなたがどうしたいのかを強く念じるんです」

斗亜「……よし、わかった。えーっと……。あいつらをビビらせたい! あいつらをビビらせたい! あいつらをビビらせたい!」

パーッと光が広がるイメージ。

斗亜「うわっ!」

店主「……どうでしょう?」

斗亜「え? あっ! 水晶がメダルになった!」

店主「あなたの見栄……いや、想いが形になったんです。どうですか? いい出来でしょう?」

斗亜「うん! うん! これはいいね! あいつらに自慢できそうだ!」

店主「……おや?」

斗亜「ん? なに?」

店主「ああ、いえ……なんでもありません」

斗亜「……まあ、いいや。じゃあ、これ、貰っていくよ」

店主「毎度あり」

場面転換。

昼休みの教室内。

斗亜「へへーん! 俺、昨日、すげー珍しいもん見つけたぜ」

蓮「お前もか?」

世那「俺も見つけたぞ」

斗亜「おいおいおい。お前らと一緒にするなよ。俺は、確実に世界に一つしかないものをゲットしたんだよ」

蓮「……」

世那「……」

斗亜「さあ、見てビビれ! これが、そのコインだ!」

バッと斗亜がコインを出す。

蓮・世那「あっ!」

斗亜「なんだよ?」

蓮「……これ、俺のコイン」

世那「俺も、見せようと思ってたコイン」

蓮と世那がコインを出す。

斗亜「へ? なんで? なんで、お前らが同じものを持ってんだ?」

蓮「お前、まさか、あの店に行った?」

世那「水晶に念じたやつだろ?」

斗亜「……」

蓮「……」

世那「……」

斗亜・蓮・世那「くそー! 騙された―!」

終わり。

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