届かない想い
- 2024.01.24
- ボイスドラマ(10分) 退避

■概要
人数:4人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
康馬(こうま)
寛治(かんじ)
姫花(ひめか)
京香(きょうか)
■台本
休み時間の教室内。
康馬が頬杖をついている。
康馬「……はあ」
寛治「どうした、康馬。ため息なんかついて。恋煩いか?」
康馬「っ!?」
寛治「……なんだよ。適当に言ったのにビンゴかよ」
康馬「……」
寛治が前の席に座る。
寛治「で? 誰のことが好きなんだ?」
康馬「姫花さん……」
寛治「へー。マジか。なんか、いつも普通に話してたから、全然意識してないのかと思った」
康馬「最初は、お前の言う通りあんまり意識してなかったんだ。話しやすい女子だなーって思ってたくらい」
寛治「ほうほう。それで?」
康馬「……なんだかんだ、話してたらさ、いつのまにかこう……気づいたら目で追うようになったというか……」
寛治「なるほど。話してるうちに、好きになってしまったと」
康馬「……そうなるのかな」
寛治「けど、それならチャンスがあるんじゃないか?」
康馬「マジか?」
寛治「ほら、こういうときってさ、好きになるのが最初に来ると、意識して話しかけれなかったりするだろ?」
康馬「確かに……」
寛治「それだと、相手にはそもそもこっちを認識してない状態だ。けど、今のお前だと、もうそこそこ仲がいいから、認識されてないってことはないだろ?」
康馬「まあな」
寛治「けど、それはそれで、ダメなパターンもあるけどな」
康馬「というと?」
寛治「相手が、ずーっと、お前を友達としか見ないパターン」
康馬「……それは、ありそうだな」
寛治「だから、勝負をかけるなら早めの方がいいぞ」
康馬「勝負をかけるって……告白しろってことか?」
寛治「それもありだと思うけど、まずはお前をちゃんと異性だと意識させるところからだな」
康馬「なるほど……。確かにな。もうちょっと、押してみようかな」
寛治「だな。ただ、あんまり焦り過ぎるなよ。逆効果だから」
康馬「おう。わかった。ありがとな」
場面転換。
康馬が歩いている。
康馬「あ、いた! ……よし」
康馬が走る。
康馬「姫花さん」
姫花「あれ、康馬くん。今日はもう帰ったと思ってた」
康馬「あー、いや、帰ろうとしたんだけどさ。先生に用事頼まれて、この時間になっちゃったんだ」
姫花「それは災難だったね」
康馬「いや、逆にラッキーだったかなって」
姫花「え? どうして?」
康馬「……姫花さんとこうして一緒に帰れるから」
姫花「……」
康馬「あー、いや、その変な意味じゃなくて、なんつーか、教室じゃあんまり長く話せないしさ。今みたいな感じなら、色々話せるでしょ? この前の好きなチャンネルの話とか」
姫花「あー。そっか、うん。そうだね。あの話も中途半端だったもんね」
康馬「そうそう。だから、あの続きを放したくてさ」
姫花「私も話したいって思ってたんだ」
康馬「それでさ……」
場面転換。
休み時間の教室内。
康馬「ふっふっふ」
寛治「上手くいったみたいだな」
康馬「ああ。しかも、明日、一緒に映画見ることになったんだ」
寛治「おおー、すげーじゃん。デートかよ! ……って、あれ?」
康馬「なんだよ?」
寛治「確か、姫花さんって、今日、風邪で学校休んでたぞ。大丈夫なのか、明日」
康馬「……え? マジで? どうしよう。無理はさせたくないからな……。明日の約束はキャンセルした方がいいのか」
寛治「まあ、待て。逆にこれはチャンスだ」
康馬「チャンス?」
寛治「見舞いに行くんだよ、見舞いに。弱ってるときに、頼りになるところを見せれば、効果抜群だ」
康馬「おお! それはいいな! よし! 今日の帰り、家に行ってみる!」
場面転換。
チャイムの音。
インターフォンがつながる。
姫花「はい……」
康馬「あ、姫花さん? 俺、康馬。風邪、大丈夫? 見舞いに来たんだけど」
姫花「っ! ごめん。帰って。会いたくない」
康馬「……え?」
場面転換。
姫花の部屋。
京香「やっほー。姫花、具合どう?」
姫花「うう……。なんとか、大丈夫」
京香「そういえば、康馬くん、なんか落ち込んでたよ?」
姫花「え!? どうして?」
京香「あんたに嫌われたって」
姫花「そ、そんなわけないよ!」
京香「でも、あんた、会いたくないって突っぱねたって話だけど?」
姫花「……あっ!」
京香「覚えあるのね?」
姫花「いや、違うの! あのときは鼻水ずるずるで顔を見られたくなかったのよー!」
京香「ああー、なるほど」
姫花「もう! せっかく、最近、良い雰囲気になって来てたのにぃ」
京香「うーん。なかなか、想いって届かないものだね……」
終わり。
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