届かない想い

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■概要
人数:4人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
康馬(こうま)
寛治(かんじ)
姫花(ひめか)
京香(きょうか)

■台本

休み時間の教室内。

康馬が頬杖をついている。

康馬「……はあ」

寛治「どうした、康馬。ため息なんかついて。恋煩いか?」

康馬「っ!?」

寛治「……なんだよ。適当に言ったのにビンゴかよ」

康馬「……」

寛治が前の席に座る。

寛治「で? 誰のことが好きなんだ?」

康馬「姫花さん……」

寛治「へー。マジか。なんか、いつも普通に話してたから、全然意識してないのかと思った」

康馬「最初は、お前の言う通りあんまり意識してなかったんだ。話しやすい女子だなーって思ってたくらい」

寛治「ほうほう。それで?」

康馬「……なんだかんだ、話してたらさ、いつのまにかこう……気づいたら目で追うようになったというか……」

寛治「なるほど。話してるうちに、好きになってしまったと」

康馬「……そうなるのかな」

寛治「けど、それならチャンスがあるんじゃないか?」

康馬「マジか?」

寛治「ほら、こういうときってさ、好きになるのが最初に来ると、意識して話しかけれなかったりするだろ?」

康馬「確かに……」

寛治「それだと、相手にはそもそもこっちを認識してない状態だ。けど、今のお前だと、もうそこそこ仲がいいから、認識されてないってことはないだろ?」

康馬「まあな」

寛治「けど、それはそれで、ダメなパターンもあるけどな」

康馬「というと?」

寛治「相手が、ずーっと、お前を友達としか見ないパターン」

康馬「……それは、ありそうだな」

寛治「だから、勝負をかけるなら早めの方がいいぞ」

康馬「勝負をかけるって……告白しろってことか?」

寛治「それもありだと思うけど、まずはお前をちゃんと異性だと意識させるところからだな」

康馬「なるほど……。確かにな。もうちょっと、押してみようかな」

寛治「だな。ただ、あんまり焦り過ぎるなよ。逆効果だから」

康馬「おう。わかった。ありがとな」

場面転換。

康馬が歩いている。

康馬「あ、いた! ……よし」

康馬が走る。

康馬「姫花さん」

姫花「あれ、康馬くん。今日はもう帰ったと思ってた」

康馬「あー、いや、帰ろうとしたんだけどさ。先生に用事頼まれて、この時間になっちゃったんだ」

姫花「それは災難だったね」

康馬「いや、逆にラッキーだったかなって」

姫花「え? どうして?」

康馬「……姫花さんとこうして一緒に帰れるから」

姫花「……」

康馬「あー、いや、その変な意味じゃなくて、なんつーか、教室じゃあんまり長く話せないしさ。今みたいな感じなら、色々話せるでしょ? この前の好きなチャンネルの話とか」

姫花「あー。そっか、うん。そうだね。あの話も中途半端だったもんね」

康馬「そうそう。だから、あの続きを放したくてさ」

姫花「私も話したいって思ってたんだ」

康馬「それでさ……」

場面転換。

休み時間の教室内。

康馬「ふっふっふ」

寛治「上手くいったみたいだな」

康馬「ああ。しかも、明日、一緒に映画見ることになったんだ」

寛治「おおー、すげーじゃん。デートかよ! ……って、あれ?」

康馬「なんだよ?」

寛治「確か、姫花さんって、今日、風邪で学校休んでたぞ。大丈夫なのか、明日」

康馬「……え? マジで? どうしよう。無理はさせたくないからな……。明日の約束はキャンセルした方がいいのか」

寛治「まあ、待て。逆にこれはチャンスだ」

康馬「チャンス?」

寛治「見舞いに行くんだよ、見舞いに。弱ってるときに、頼りになるところを見せれば、効果抜群だ」

康馬「おお! それはいいな! よし! 今日の帰り、家に行ってみる!」

場面転換。

チャイムの音。

インターフォンがつながる。

姫花「はい……」

康馬「あ、姫花さん? 俺、康馬。風邪、大丈夫? 見舞いに来たんだけど」

姫花「っ! ごめん。帰って。会いたくない」

康馬「……え?」

場面転換。

姫花の部屋。

京香「やっほー。姫花、具合どう?」

姫花「うう……。なんとか、大丈夫」

京香「そういえば、康馬くん、なんか落ち込んでたよ?」

姫花「え!? どうして?」

京香「あんたに嫌われたって」

姫花「そ、そんなわけないよ!」

京香「でも、あんた、会いたくないって突っぱねたって話だけど?」

姫花「……あっ!」

京香「覚えあるのね?」

姫花「いや、違うの! あのときは鼻水ずるずるで顔を見られたくなかったのよー!」

京香「ああー、なるほど」

姫花「もう! せっかく、最近、良い雰囲気になって来てたのにぃ」

京香「うーん。なかなか、想いって届かないものだね……」

終わり。

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