オオカミと赤ずきんちゃん

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■概要
人数:5人
時間:10分

■ジャンル
アニメ、ファンタジー、コメディ

■キャスト
オオカミ
子分
赤ずきん
おばあさん
店主

■台本

〇街中

買い物袋を抱えて歩いている赤ずきん。

ナレーション「昔々、あるところに赤ずきんというとても可愛らしい女の子がおりました。赤ずきんはとても素直で、家のお手伝いもかかせません」

そんな赤ずきんの様子を路地裏から覗き見ているオオカミとその子分。

オオカミ「ふふふふ。赤ずきんよ。いつかたーっぷり、可愛がってやるぜ」

ペロリと舌なめずりをするオオカミ。

子分「でも、兄貴。赤ずきんはみんなから可愛がられてます。兄貴が近づけば、周りの奴らが警戒するんじゃないですか?」

オオカミ「わかってるさ、そんなことはな。だが、俺は諦めねえ。俺はやると決めたらやるオスだぜ」

子分「さすが兄貴」

すると、店先で赤ずきんと店主が話しているのが聞こえる。

店主「おやおや。これから、おばあさんのところに?」

赤ずきん「はい。おばあさん、なんか具合悪いみたいで、看病に行くの」

店主「そりゃ偉いね。よし、じゃあ、これ、サービスだ」

赤ずきん「ええ!? いいですよ!」

店主「いいのいいの。それより、森の中を通るなら、気を付けるんだよ。オオカミが出るからね」

赤ずきん「オオカミさんには気を付けないといけないんですか?」

店主「そうだよ。オオカミはこわーいからね。見たら、すぐに逃げるんだ。いいね?」

赤ずきん「私は、逃げるよりお友達になりたいなぁ」

店主「ダメダメ! ぜーったいにダメだよ」

そんな店主の話を聞いて、子分が舌打ちする。

子分「けっ! 俺たちの何を知ってるんだよ! 腹立ちますね、兄貴」

子分が横を見ると蹲ってプルプルと震えるオオカミ。

子分「兄貴?」

オオカミ「これはチャンスだ!」

子分「え?」

オオカミ「ちょっと来い! 準備をするぞ」

子分「準備ってなんのですか?」

オオカミ「いいから、早く来い!」

オオカミがノッシノッシと歩いていく。

子分がその後を追う。

子分「ちょっと待ってくださいよー」

〇森

赤ずきんが色々なものを詰めたバスケットを持って歩いている。

上機嫌で歌を歌っている。

〇おばあさんの家

おばあさんがベッドで横になっている。

するとドアがノックされる。

おばあさん「赤ずきんかい? 開いてるよ。入っておいで」

ドアが勢いよく開く。

オオカミ「ふはははははは! 残念、オオカミでした!」

子分「その子分でした!」

オオカミと子分が家の中に入って来る。

おばあさん「ひいいい!」

オオカミ「ふははははは! 悪いな、ばあさん。ちょっと、席を外しててもらうぜ。おい!」

子分「へい!」

子分がおばあさんに近づいていく。

おばあさん「ひいいい! 誰か助けておくれー」

〇おばあさんの家・ドアの前

赤ずきんがやってきて、ドアをノックする。

赤ずきん「おばあさん。赤ずきんだよ」

すると、中から低い声が聞こえてくる。

オオカミの声「おやおや、赤ずきん。開いているから入っておいで」

赤ずきん「うん、わかった」

赤ずきんがドアを開けて家に入っていく。

〇おばあさんの家の中

赤ずきんが入って来る。

するとベッドには明らかに巨大な者が布団に入っているのがわかる。

赤ずきん「おばあさん、お見舞いに来たよ」

オオカミ「おお。ありがとう。赤ずきんは偉いねぇ」

布団の隙間から、オオカミの耳が見える。

それを見て、赤ずきんが首を傾げる。

赤ずきん「ねえ、おばあさん。どうしておばあさんの耳はそんなに大きいの?」

オオカミ「それはお前の声を聞くためさ」

赤ずきん「そっかぁ」

少し近づいて、赤ずきんが布団の中を覗き込む。

赤ずきん「ねえ、おばあさん。どうして、おばあさんの目はそんなに大きいの?」

オオカミ「それはお前をよく見るためだよ」

赤ずきん「ねえ、おばあさん。どうして、そんなにお口が大きいの?」

オオカミ「それはね……」

ガバっと布団から出てくるオオカミ。

オオカミ「お前とおしゃべりするためさ!」

〇おばあさんの家の前

子分がおばあさんを抱きかかえて戻って来る。

おばあさん「悪いねぇ。お医者さんのところまで連れて行って貰っちゃって」

子分「いえいえ、いいんですよ。あとはたっぷりと栄養を取って、寝れば、すっかり元気になりますからね」

子分が立ち止まってドアを開ける。

〇おばあさんの家の中

テーブルの上にはたくさんのご馳走がある。

テーブルを挟んでオオカミと赤ずきんが食事をしながら楽しくおしゃべりしている。

赤ずきん「あはははは。オオカミさん、面白ーい」

オオカミ「そうかい? それにしても赤ずきんちゃんは可愛いねー」

オオカミが手を伸ばし、赤ずきんの頭を撫でている。

赤ずきんは嬉しそうに目を細める。

ドアが開き、子分とおばあさんが入って来る。

子分「兄貴、帰りました」

オオカミ「おう、お帰り」

おばあさん「赤ずきん、よく来たね」

赤ずきん「あ、おばあさん!」

オオカミ「おう、お前も、ばあさんも座れ。ご馳走はたっぷりあるぞ」

おばあさん「わあ、これ、お前さんが作ったのかい?」

子分「兄貴は料理が得意なんですよ」

赤ずきん「おばあさん、これ、すっごく美味しいよ」

オオカミ「がははは。照れるなぁ」

子分「兄貴。赤ずきんをたっぷり可愛がれて、良かったですね」

オオカミ「おう!」

ナレーション「こうして、オオカミと赤ずきんはお友達になり、みんなと仲良く暮らしたのでした。めでたしめでたし」

終わり。