僕はペロ

僕はペロ

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■概要
人数:4人
時間:3分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
隆宏(たかひろ) 33歳
ペロ
女 21歳

■台本

雨が降っている音。
クーンと子犬が鳴く声。

隆宏(N)「雨の日。俺は段ボールに入った、子犬を見つけた。別に俺は犬好きというわけではない。でも、このまま見捨てれば、この犬はきっと死ぬだろう。だから、俺はこの子犬を拾ってやった。そして、この犬をペロと名付けた」

場面転換。
数年後。
家の中。

ペロ「ワン!」
隆宏「……うっせーぞ、ペロ」
ペロ「ワン!」
隆宏「今日は暑いから、散歩はパスだ」
ペロ「ワン!」
隆宏「……あー、くそ。わかったよ。ほら、じゃあ、首輪持ってこい」
ペロ「(嬉しそうに)ワン!」
隆宏「ったく。なんで、主人の俺があいつのためにわざわざ面倒なことをしなくちゃならねーんだよ」

場面転換。
散歩している隆宏。

隆宏「あー、あちーなー。さっさと、切り上げて帰るからな」

散歩している隆宏。
そこに女の人が犬を連れて散歩している。

犬「クーン」
ペロ「ワン」
女「あら、可愛いワンちゃんですね」
隆宏「へ? ああ、はい。ペロって言うんですよ」
女「こんなに暑い日なのにちゃんと散歩してるなんて、ちゃんとワンちゃんのことを可愛がってあげてるんですね」
隆宏「いや、はははは。まあ、家族ですから」
女「うふふ。私、ちゃんとワンちゃんに向き合ってる飼い主さんって素敵だと思います」
隆宏「そ、そうですか?」
女「いつも、この辺を散歩するんですか?」
隆宏「え? あ、はい。大体、いつもこの時間にここを……」
ペロ「ワン! ワン! ワン!」
女「きゃあ!」
隆宏「お、おい! ペロ! 静かにしろ!」
ペロ「ワンワンワン!」
女「なんだか、ペロちゃんに嫌われたみたい。ごめんなさいね。さよなら」
隆宏「あっ……」

女が行ってしまう。

隆宏「……おい、このバカ犬! ホント、役に立たねーな」

隆宏(N)「せっかく、飼ってやってるのに、ここぞというときに役に立たないなんて、ホント、ダメな犬だぜ」

場面転換。
ここからペロ視点。
過去。
雨が降っている。

ペロ「クーン」
隆宏「……お前、捨てられてるのか?」
ペロ「クーン……」
隆宏「……しゃーねーな。俺の家に来るか?」
ペロ「ワン」

ペロ(N)「こうして、僕はこの人間の元で飼われることになった。もちろん、拾ってくれたことには感謝してる。だから、一生をかけて恩を返していくつもりだ」

場面転換。
数年後。
部屋の中。

ペロ(N)「最近、ご主人は家でダラダラと過ごしている。散歩もサボりがちだ。それはいいんだけど、この前、ご主人は健康診断に引っかかって、運動不足を指摘されている。……仕方ない。ここは僕がひと肌脱ぐとしよう」

ペロ「ワン!」
隆宏「……うっせーぞ、ペロ」
ペロ「ワン!」
隆宏「今日は暑いから、散歩はパスだ」
ペロ「ワン!」
隆宏「……あー、くそ。わかったよ。ほら、じゃあ、首輪持ってこい」
ペロ「ワン!」

場面転換。
散歩をしている隆宏とペロ。

隆宏「あー、あちーなー。さっさと、切り上げて帰るからな」

散歩している隆宏。
そこに女の人が犬を連れて散歩している。

犬「やあ」
ペロ「こんにちは。暑いね」
女「あら、可愛いワンちゃんですね」
隆宏「へ? ああ、はい。ペロって言うんですよ」
犬「あ、また、ご主人様の悪い癖が出てる」
ペロ「悪い癖?」
犬「うん。ああやってね、モテなさそうな男を引っかけて、仲良くなって、色々奢って持ったりするんだよ」
ペロ「ええっ!」
犬「君のご主人は、あんまりモテないでしょ?」
ペロ「うん……。家に女の人なんて、連れてきたことないよ」
犬「じゃあ、気を付けた方がいいよ。ご主人はチャンスだと思ったら、骨の髄までしゃぶるタイプだから」
ペロ「やばいなぁ。ご主人、完全に舞い上がってるよ……」
女「いつも、この辺を散歩するんですか?」
隆宏「え? あ、はい。大体、いつもこの時間にここを……」
ペロ「ワン! ワン! ワン!」
女「きゃあ!」
隆宏「お、おい! ペロ! 静かにしろ!」
ペロ「ワンワンワン!」
女「なんだか、ペロちゃんに嫌われたみたい。ごめんなさいね。さよなら」
犬「ふふ。危なかったね。それじゃね」
ペロ「うん。バイバイ」

女と犬が行ってしまう。

隆宏「……おい、このバカ犬! ホント、役に立たねーな」

ペロ(N)「僕の名前はペロ。ご主人に拾っても貰った恩を返すため、僕は日々、頑張っているのだ」

終わり。

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