ずっと仲良しで

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■概要
人数:4人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
零士(れいじ)
明日架(あすか)
宗明(むねあき)
友成(ともなり)

■台本

ライブハウス。

零士がバンドのメンバーたちと演奏をしている。ボーカルは明日架(あすか)。

明日架「みんなー、今日も盛り上がっていこー」

盛大な歓声が響く。

零士(N)「俺たちは高校の学園祭がきっかけで、バンドを組むことになった。あれから5年。大学がバラバラになった今でも、このメンバーと活動を続けている。……というより、このバンドが解散するなんてことは考えてもみなかった。……ほんの3日前までは」

場面転換。

3日前。

スタジオの控室。

明日架「はー。完全燃焼―。今日も疲れたー」

宗明「おいおい、明日架。本番は3日後だぞ。今日で燃え尽きてどうする」

零士「ははは。確かに」

明日架「えー、だって、私、練習も本番も全力投球って決めてるんだもん」

友成「明日架らしいな」

明日架「えー。じゃあ、みんなは練習だと手を抜いてるの?」

零士「いや、そんなことはないけどさ」

宗明「なんていうか、適度に?」

明日架「それ、手抜いてんじゃん」

一同が笑う。

友成「さてと。じゃあ、俺は今日はあがるわ」

零士「あれ? 友成、この後、打ち上げしないの?」

友成「おいおい。練習だって言ってただろ。打ち上げは本番が終わったらにしようぜ」

零士「あー。まあ、確かに」

友成「じゃあ、お先―」

明日架「お疲れー」

友成「あ、明日架……」

明日架「ん?」

友成「いや、なんでもない。じゃあな」

パタンとドアが閉まる音。

宗明「……んー。友成が帰ったなら、俺も帰ろうかな」

零士「宗明も?」

宗明「ああ。色々、やることがあってさ」

零士「やること?」

宗明「調べものとか、ちょっと」

零士「なに、調べるんだ? 手伝おうか?」

宗明「いや、いいよ。じゃあ、俺も上がるわ。お先―」

パタンとドアが閉まる音。

明日架「あらら。一気に、二人っきりになっちゃったね」

零士「……なあ、明日架」

明日架「なに?」

零士「大学、楽しいか?」

明日架「ん? まあ、それなりに?」

零士「サークルとか入ってるの?」

明日架「入ってたら、こんなに頻繁に練習に来れないって」

零士「そ、そうだよな」

明日架「零士は……彼女出来た?」

零士「へ?」

明日架「ほら、大学に結構、可愛い子いるでしょ?」

零士「……できてたら、こんなに頻繁に練習来てねーって」

明日架「あははは。そりゃそっか」

零士「てか、他のやつらもそうだろ」

明日架「なんかさ、このまま時間が止まればって思うよ」

零士「明日架?」

明日架「みんな、仲良しのまま、ずーっと、このバンドで活動していきたいなって」

零士「……俺もそう思うけどさ、やっぱり、良くも悪くも、みんな変わっていっちゃうよな」

明日架「んー。そうなのかなぁ」

零士「なあ、明日架」

明日架「なに?」

零士「今度の休みの日、一緒にどこかに行かないか?」

明日架「え?」

零士「あー、いや、ごめん。回りくどかったな」

零士が立ち上がる音。

零士「俺、明日架が好きだ」

明日架「嬉しい。私も零士のこと、好きだよ」

零士「ホントか!? じゃ、じゃあ、来週の土曜日に、どこか行こうぜ」

明日架「日曜日でもいいかな?」

零士「え? あ、うん。いいけど」

明日架「じゃあ、来週の日曜日に」

零士「ああ」

明日架「でも、まずは今週のライブに全力投球しよう」

零士「そうだな」

場面転換。

現代の時間に戻る。

ライブ中。

明日架「みんなー、ありがとー!」

歓声が沸き上がる。

場面転換。

ドアがガチャリと開く音。

4人が控室に入って来る。

明日架「はー、疲れたぁー」

零士「大盛り上がりだったな」

友成「やっぱさ、このバンドは最高だよ」

宗明「この先も、ずっとこのメンバーでやっていきたいよな」

明日架「私も―!」

零士「あ、あのさ、みんな」

友成「なんだ?」

零士「この先、どんなことがあっても、俺たちの友情は変わらないよな?」

宗明「……ああ。もちろんだ!」

友成「そうだよな。俺も、変わらないと思うぞ」

零士「そ、そうか。よかった……」

宗明「零士も変わらないって約束できるか?」

零士「へ? ……ああ。そりゃまあ」

友成「そういえばさ、来週の練習は休みで良いよな?」

零士「え? あ、うん。俺もそれ、言おうと思ってた」

宗明「やっぱ、本番が終わったから、骨休めはしたいよな」

零士「うんうん」

友成「ゆっくり、骨休みしようぜ」

場面転換。

駅前。

零士(N)「そして、ついに、明日架との約束の日が来た。実は他のメンバーも明日架のことが好きなんだろうとは思う。だから、この前、釘を打っておいた。すまんな、2人とも。俺と明日架が付き合っても、バンドは解散させねえからな。明日架のためにも」

タッタッタと誰かの足音が迫って来る。

友成「ごめん、お待たせ」

零士「いや、今来たとこ……って、え?」

友成「お、おい、零士。お前、なんでここにいるんだよ?」

零士「こっちのセリフだっつーの」

宗明「明日架、待たせたな」

零士「……宗明もか」

宗明「へ? なんで、2人がいるんだ?」

零士「俺は明日架と約束があるんだよ」

友成「俺だって!」

宗明「は? 俺だよ、明日架とデートすんのは」

零士「何言ってんだよ! 俺は、明日架に好きって言われてんだぞ」

友成「俺だってそうだぞ!」

宗明「おいおいおい。これはどういうことだよ?」

そのとき、明日架がやってくる。

明日架「あ、みんなー、お待たせ―」

零士「ちょ、ちょっと明日架、これ、どういうことだ?」

明日架「どういうことって?」

零士「いや、2人で会うって話じゃん」

明日架「え? 2人でって言ったっけ?」

零士「……あー、言ってないかも」

友成「俺も」

宗明「俺もだ」

零士「で、でもさ、明日架、俺のこと好きって言ったよな?」

明日架「うん。零士も、宗明も、友成も、みんな大好きだよ」

零士「それって……」

明日架「バンドメンバーとして、ね」

零士「……」

明日架「じゃあ、今日は久しぶりに、みんなで遊ぼ―!」

零士・友成・宗明「……」

明日架「しゅっぱーつ!」

零士・友成・宗明「は、はははは……」

零士(N)「どうやら、この関係は、この先もまだまだ続きそうだ」

終わり。

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