ぷにぷに

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■概要
人数:2人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
光輝(こうき) 16歳
亜希(あき) 16歳

■台本

チャイムを押すと、家の中から音が聞こえてくる。

そして、こちら側に足音が聞こえてくる。

ガチャリとドアが開く。

亜希「はーい!」

光輝「よお! 母ちゃんが、なんか食いもんもってけって……え? お前……」

赤ちゃんの泣き声。

亜希「おお、よしよし、大丈夫でちゅよー。光輝はバカだけど、害はないからねー」

光輝「……いつの間に、子供産んだんだ?」

亜希「バカ! 私の子供なわけないでしょ! 高校生だし、結婚してないし、……付き合ってもないんだから」

光輝「じゃあ、なんなんだよ、それ?」

亜希「それって言うな。お姉ちゃんの子供に決まってるでしょ」

光輝「へー。真紀さん、来てるんだ?」

亜希「出産で里帰りしてるの」

光輝「なんだよ、それなら早く言えよ」

亜希「言ってどうするのよ」

光輝「そりゃ……もっと早く遊びに来たのに」

亜希「……お姉ちゃんがいなくても来なさいよ」

光輝「なんでだよ」

亜希「……。まあ、いいわ。でも、お姉ちゃん、産後で結構、ボロボロだから、あんまり人に見られたくないって言ったのよ」

光輝「どんなにボロボロでも、真紀さんは真紀さんだ」

亜希「……言っておくけど、お姉ちゃんは人妻だからね? ひ、と、づ、ま!」

光輝「それを言うなーー!」

亜希「それより、お姉ちゃんと同じ遺伝子の女の子がここにいるんだけど」

光輝「その赤ちゃん、女の子なのか?」

亜希「私のことよ!」

光輝「それより、中に入れてくれよ。暑いし、喉乾いた」

亜希「……ったく、この男は」

場面転換。

部屋の中。

ゴキュゴキュゴキュと喉を鳴らして飲み物を飲む光輝。

光輝「ぷはーー!」

亜希「……」

光輝「なあ、麦茶じゃなくて、コーラとかないのか?」

亜希「ぐびぐび飲んでたくせに、図々しいわよ」

光輝「にしても、なんでお前の部屋なんだよ? 真紀さんは?」

亜希「今、寝てるのよ」

光輝「寝てる? こんな昼間にか?」

亜希「夜泣きが酷くて、寝れてないみたい。だから、昼間は私がこの子の面倒を見てるのよ」

光輝「へー。……じゃあ、俺はそろそろ帰ろうかな」

ギリギリと頬をつねられる光輝。

光輝「いでで!」

亜希「来て、まだ10分でしょ! 麦茶飲んだんだから、その分、返しなさいよ」

光輝「返すってなんだよ?」

亜希「この子のこと、ちょっと見ててほしいの」

光輝「お前は? サボる気か?」

亜希「あんたねぇ……。夜泣きが凄いって言ってるでしょ!? お姉ちゃんほどじゃなくても、私もあんまり寝れてないの!」

光輝「ああ。お前も昼寝したいってわけか」

亜希「そういうこと」

光輝「けど、俺、赤ちゃんの面倒なんて見たことないぞ」

亜希「大丈夫よ。今、寝てるから、起きたら、私も起こして」

光輝「じゃあ、本当に寝てるんを見てればいいってわけか」

亜希「そうそう。それでいいから」

光輝「わかった。それなら、見ててやるよ」

亜希「ありがと。それじゃ、失礼して……」

ゴロンと寝転がる亜希。

光輝「ここで寝転がるのか? ベッドで寝たらどうだ?」

亜希「ベッドだとガチ寝しちゃうから」

光輝「ふーん」

亜希「じゃあ、お休み……」

光輝「おう。おやすみ」

場面転換。

亜希とあかちゃんの寝息がしている。

光輝「とはいえ、見てるだけってのも暇だな」

ぷにぷにと赤ちゃんの頬をつつく光輝。

光輝「おおー! 赤ちゃんの頬っぺたってぷにぷにしてるな」

ぷにぷにとつつく、光輝。

光輝「あー、癒されるな」

ゴロンと寝転がる光輝。

寝転がった状態でぷにぷにとつつく。

光輝「ぷにぷにだなぁ……」

ぷにぷにとつつく光輝。

光輝「目を瞑ると、ぷにぷに感が引き立つな。ぷにぷに……ぷにぷに……」

ぷにぷにとつつく光輝

光輝「ぷに……ぷに……。なんか、眠くなってきたな……」

ぷにぷにとつつく光輝。

光輝「いかん、いかん……。寝ちゃダメだ。ぷにぷに……ぷにぷに……」

ここでぷにぷに音が変わる。

光輝「ぷにぷに……柔らかいな……ぷにぷに……ぷにぷに……」

ぷにぷにとつつく光輝。

光輝「ぷに……ぷに……(うとうと)」

亜希「……光輝」

光輝「ぷに……ぷに……(うとうと)」

亜希「……ちょっと、光輝」

光輝「……ぷにぷに」

亜希「光輝……。あんた、なにやってるのよ?」

光輝「……赤ちゃんのほっぺをぷにぷにしてるんだよ……」

亜希「ほー。赤ちゃんの、ね」

光輝「……ん?」

光輝が目を開ける。

光輝「……げっ! こ、これって……」

亜希「私のお腹よ!」

光輝「いつの間に! す、すまん! つい、ぷにぷにしてたから、間違えた!」

亜希「ぷにぷにで悪かったわね!」

バチンと亜希が光輝の頬を叩く。

光輝「ぶべっ!」

赤ちゃんが起きて、きゃっきゃと笑い声をあげる。

光輝「いや、いいぷにぷに具合だったぞ!」

亜希「黙れ!」

もう一度、頬をブッ叩く亜希。

光輝「ぶべっ!」

赤ちゃんがキャッキャと喜んでいる。

終わり。

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