メガネはバフ
- 2023.10.19
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
皆川 譲(みながわ ゆずる)
皆川 雫(みながわ しずく)
母親
女子1~4
■台本
譲が小学生の頃。
休み時間に教室で一人勉強している譲。
譲「えーっと、ここの角度が出れば、ここの角度の値を出せるのか……」
遠くでクラスメイト達のひそひそ話が聞こえる。
女の子1「皆川くんってさ、いつも勉強してるよね」
女の子2「友達いないのかな?」
女の子1「いなさそー。男の子にも女の子にも」
女の子2「なんていうかさ、地味だよね」
女の子1「うん。メガネかけて、勉強ばっかだもん。私は友達になりたくないなー」
女の子2「私も―。メガネって、なんか格好悪いよね」
譲「……」
譲(N)「……おかしい。母さんからは、勉強が出来る男の子はモテるって聞いてたのに。これじゃ、頑張ってる意味がないじゃないか! 勉強ばっかりで、目が悪くなって、いいことなんか、何もなかった!」
場面転換。
時間経過。譲が高校生になっている。
譲の部屋。
勉強している譲。
譲「えっと、Xの値は153だから、ここに代入して……」
そのとき、家のインターフォンが鳴る。
リビングの方から声がする。
雫の声「お兄ちゃーん、出て!」
譲「はあ!? 俺、勉強してんだけど!」
雫の声「私、動画見てんだけど!」
譲「停めればいいじゃねーか!」
雫の声「勉強、休憩すればいいじゃん」
もう一度、インターフォンが鳴る。
譲「……ったく!」
譲が立ち上がる。
場面転換。
ガチャリとドアが開く音。
譲「雫、お前宛だぞ」
雫「あ、来た来た!」
譲「お前の物なら、自分で出ろよな」
雫「お兄ちゃんのだって、一緒に来たんでしょ、その右手の箱」
譲「まあ、そうだけどさ……。とにかく、ほら」
雫「そこ置いておいて」
譲「……お前、ホント、ズボラだよな」
雫「お兄ちゃんに言われたくないね」
譲「そんなんだから、彼氏できないんだぞ」
雫「それこそ、お兄ちゃんに言われたくない」
譲「……」
場面転換。
ガチャリとドアを開く音。
机の上に箱を置く音。
譲「さてと、勉強の続き続き……」
場面転換。
朝。スズメの鳴き声。
アラームの音が鳴り響く。
譲「ん……」
アラームを消す。
譲「もう、5分……」
場面転換。
ドアがノックされる音。
母親「譲―。早く起きないと遅刻するわよ」
譲「っ!」
ガバっと起きる譲。
譲「やべえ、寝坊した。えっと、コンタクトは……」
引き出しを開ける音。
譲「あれ? 無いぞ」
譲(N)「そうだ。新しいの注文したんだった」
箱を開ける音。
譲「……あれ?」
場面転換。
キッチンに走って来る譲。
譲「母さん、雫は?」
母親「もうとっくに行ったわよ」
譲「クソ!」
母親「どうしたの?」
譲「いや、昨日、俺とあいつに配達来たんだけどさ、お互いのを間違って渡しちゃったみたいでさ」
母親「なんで、昨日のうちに確認しなかったの?」
譲「それは……」
母親「あんたたちはホント、ズボラだね」
譲「コンタクト入ってたんだよ、どうしようかな」
母親「一日我慢するしかないんじゃない?」
譲「怖くて、外歩けないって。あー、くそ。あいつ、自分の部屋に鍵なんかかけるなよな」
母親「それはあんたもでしょ」
譲「……」
場面転換。
譲の部屋。
譲(N)「さて、どうするか。……あいつ宛に届いた眼鏡を使うか?」
メガネをかける譲。
譲「少し視界が変だけど、ないよりはマシか」
場面転換。
道を歩く譲。
譲(N)「クソ、眼鏡なんてかけていったら、クラスの奴ら、またバカにするだろうな。小学校の時のように、インテリ眼鏡、なんて言われるかもしれない。あーあ、ホント、眼鏡ってデバフだよな……」
場面転換。
教室。
休み時間。
勉強している譲。
譲「……」
そこにクラスメイトがやってくる。
女子3「あれ? 皆川くん、今日はメガネなんだ」
譲「うっ! ああ、うん。ちょっとね」
女子4「もしかして、いつもコンタクトだったの?」
譲「そ、そうだけど」
女子3「ふーん」
譲「……なに?」
女子3「皆川くん、それ、似合ってると思う」
譲「え?」
女子4「私も思ったー! 皆川くん、眼鏡かけた方がなんか、イケメンに見えるよ」
譲「そ、そうなの?」
女子3「うんうん。これからは眼鏡にしなよ」
譲「……」
譲(N)「眼鏡は格好悪いんじゃなかったのか? ……もう、何がなんだかわからないな」
終わり。