【シナリオブログ】Angel eat③

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○  家の前
家自体は新しいが、所々の窓が割れていて、玄関のところには『KEEP OUT』のテープが貼られている。
家の前に立ち、見上げている恭平。
その様子を見ている浩介と誠。
浩介「あの人の家かな?」
誠「……違う」
浩介「え?」
誠「堕天使ってね、理性が飛んでるから本能に対して忠実なんだ」
浩介「?」
誠「つまり、狩り残した獲物に執着することが多い」
誠がゾクリと悪寒に襲われる。
咄嗟にカードから鎌を出す誠。
浩介「……兄ちゃん?」
突如背後に堕天使が現れる。
悪魔の面を着け、黒いフードを纏っている。
一見細いが鍛え抜かれた体。
手には誠と同じような鎌を持っている。
堕天使が浩介に襲い掛かる。
誠「っ!?」
堕天使の鎌を、鎌で受ける誠。
誠「浩介、逃げて!」
堕天使と誠の攻防。
誠の攻撃は全て防がれ、堕天使の攻撃に対してさばき切れず、数か所を切られる。
誠「強いっ!」
誠は速さを最大に生かした攻撃をするが、簡単に避けられてしまう。
バランスを崩した、一瞬の隙を突かれる。
誠「しまったっ!」
右肩から左脇に向かって斜めに斬られる。
服が破れ、胸が露出する。
誠「くっ!」
かろうじて、身を捻って致命傷を避ける。
堕天使から距離を取りながらも、左腕で胸を隠す誠。
恭平の声「邪魔だ」
誠の脇に、槍の柄の部分がめり込む。
誠「ぐはっ!」
吹き飛び、電柱に激突する誠。
鎌が誠の手から離れ、転がる。
恭平「さっさと消えろ。女にグレゴリは務まらん」
誠が倒れた状態で、唇を噛む。
槍を持った恭平が堕天使と対峙する。
恭平「今度こそ、殺してやる」
恭平が堕天使に向かっていく。
堕天使と恭平の戦いは互角。
だが、徐々に片腕の恭平が圧され始める。
恭平「ちぃ!」
恭平の槍が堕天使の鎌に弾き飛ばされる。
さらに恭平を鎌で狙う堕天使。
恭平「(ニヤリと笑って)馬鹿が」
恭平が足で、誠の鎌を蹴り上げて掴む。
そのまま、鎌で堕天使を切り上げる。
堕天使「ぐう……」
堕天使の仮面が縦に真っ二つに割れる。
誠「やった!」
仮面の下に見える顔は、貴郁のもの。
誠「……え?」
恭平「……伊吹、今、楽にしてやるからな」
恭平が鎌で貴郁の右腕を切り落とす。
貴郁「ぐあああああ!」
腕を抑えて、うずくまる貴郁。
恭平「終わりだ」
鎌を振り上げる恭平。
誠「ダメです!」
誠が後ろから恭平の腰に抱き付く。
恭平「離せ!」
誠「捕縛しましょう」
遠くから浩介が叫ぶ。
浩介「兄ちゃん、何言ってるんだよ! そいつは殺人鬼だ! 殺しちゃえよ!」
恭平「あの小僧の言う通りだ。堕ちた者はもう、帰ってこれない」
誠「大丈夫です。伊吹さんはグリゴリですよ。普通の人とは心の強さが違います」
恭平「だからだ。尚更殺さないとならない」
誠「え?」
恭平「グリゴリは悪魔の力を借りて、天使を狩る。徐々に悪魔に心を蝕まれ、天使に心を喰われ、堕天使を殺すことで罪の意識に悩まされる」
誠「……」
恭平「グリゴリの九割は堕天使に堕ちて、グリゴリに狩られる」
誠「じゃあ、アルカナ持ちの死因の情報が機密になっているのは……」
恭平「下の奴らに事実を隠すためだ」
誠「……そんな」
恭平「失望したか。やはりお前はグリゴリに向いていない。辞めろ」
恭平が再び、蹲っている貴郁に鎌を振り上げる。
誠「待ってください。面が割れています。もう抵抗はできない状態です」
恭平「違う! グリゴリは絶対に心が折れないんだ!」
貴郁が顔を上げると、再び、パキパキと悪魔の面が形成されていく。
貴郁が立ち上がったかと思うと、素手で恭平の胸を貫く。
誠「え?」
恭平「(血を吐き)がふっ!」
恭平から鎌を奪い取る貴郁。
そして、鎌で恭平の首を刎ねる。
誠の顔にビシャと血がかかる。
誠「あっ……」
誠が震えあがり、貴郁が目の前に迫る。
浩介「うわあああああ!」
浩介が恭平の槍を持って、貴郁に向かっていく。
貴郁は横に跳び、距離を取る。
誠「何やってるんだよ! 逃げろ」
浩介「兄ちゃん……いや、姉ちゃんか。一緒にあいつを殺そう」
誠「……浩介?」
浩介「俺さ。姉ちゃんに助けられたのは嬉しかったけど……だけど、父ちゃんや母ちゃんを殺したあいつは、殺して欲しかった」
誠「え?」
浩介「確かにさ。悪人だからって、人を殺したくないって気持ちはわかる。けど……家族を殺された方はどう思うかな」
誠「……」
貴郁が鎌を構えて、にじり寄ってくる。
誠が浩介の持っている槍を掴む。
誠「ごめん。浩介。それでも、殺したくない」
浩介「……姉ちゃん」
誠「ここは何とかするから、あんたは逃げなさい」
誠が槍を構えて、貴郁と対峙する。
誠「はああああ!」
貴郁「ぐおおおお!」
誠と貴郁が同時に地面を蹴り、攻防を繰り広げる。
だが、すぐに貴郁に圧され、劣勢になる。
貴郁に腹を蹴られ、地面を転がる誠。
誠「うう……」
誠を見下ろす貴郁。
そして、不意に背中を向け、歩き出す。
向かう先は浩介。
誠「なっ!」
慌てて立ち上がり、槍で突くが、余裕で避けられ、鎌の柄で顔を殴られる。
再び地面を転がる誠。
誠「浩介! 逃げなさい!」
浩介「あ……あっ……」
貴郁が目の前に迫り、足が竦んで動けない浩介。
誠「止めて! お願い!」
貴郁が鎌を振り上げる。
浩介「(涙を流し)姉ちゃん……」
浩介が鎌で斬られる。
誠「いやあああああああ!」
貴郁が振り返り、誠の方へ歩いていく。
誠は槍を落とし、膝から崩れ落ちる。
誠の目の前に立つ貴郁。
誠「……もういい。殺して」
貴郁が鎌を振り上げる。
が、その時、貴郁の仮面が目の部分が割れる。
涙を流している貴郁。
貴郁「頼……む。ころ……殺して」
誠「え?」
貴郁「もう……殺したく……ない。殺して……くれ」
誠「伊吹さんは……ずっと……戦ってたんですね」
誠が槍を拾う。
そして、伊吹の体を槍で貫く。

○  グリゴリ東京支部
廊下を歩く誠。
同僚1「神鷹、ついにアルカナ持ちか」
同僚2「あの一件以来、人が変わったように功績を重ねたからな」
一「……」
歩く誠の右手の甲には『愚者』のカードが掘られている。

○  路地裏(夜)
誠が堕天使の仮面を鎌で真っ二つにする。
膝から崩れ落ちる堕天使。
そこに女が駆け出してくる。
女「お願い! この人を殺さないで! 優しい人なの。人殺しなんて、何かの間違いだわ!」
誠「……」
堕天使を鎌で斬る誠。
堕天使が倒れると同時に、背を向けて歩く誠。
女「いやあああああ!」
堕天使の死体にすがって泣く女。
誠「……」
一瞬だけ、足を止めるが、再び前を向いて歩き始める。

終わり

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