【声劇台本】X’masミッション・イン・ポッシブル

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■概要
人数:3人
時間:10分程度

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
達也(たつや)
布姫(ぬのめ)
美桜(みお)

■関連小説
この作品は『トーテムポールと学校の七不思議』のその後の話になります。
<トーテムポールと学校の七不思議>
ただ、この作品は独立したストーリーなので、小説を読んでいなくても問題ない構成になっています。
※この作品に関してはボイスドラマ化する際に、登場人物の名前を変えてもOKです。

■注意
一部、下ネタが入っていますので、ご注意ください。

■台本

達也「……どうする? Xデーまで、後10日を切ってるぞ」

布姫「わかってるわ」

達也「そろそろ、情報を掴んでおかないと、計画が台無しになる。準備期間を考えると、今週がタイムリミットだ」

布姫「もう少し、直接的な作戦に出るのはどうかしら? 今までは少し回りくど過ぎたのよ」

達也「ダメだ。この計画は絶対に感づかれてはいけない。バレてしまっては、計画の意味がなくなる」

布姫「だけど、そもそも計画自体が実行できないなら、それこそ意味がないんじゃないかしら?」

達也「そ、それはそうだけど……」

ドアがガチャリと開き、美桜が入ってくる。

美桜「パパ、ママ、おはよー」

達也「お、おお。美桜、随分と早いな」

布姫「どうしたの? あと1時間くらい、寝てていいのよ」

美桜「ううん。健斗くん、迎えに行かないといけなから」

布姫「ああ、そういえば、昨日、そんなこと言ってたわね」

達也「だれだー! その健斗くんって! 彼氏か! 彼氏なのか!? まだ小学生なのに……8歳なのに! いや、年齢は関係ない! パパは一生、美桜を嫁にやる気はなーい!」

布姫「お隣さんよ。この前引っ越してきてたでしょ」

達也「……ん? ああ、そういえば挨拶に来てたな。でも、あそこの家の子供って、4歳だって言ってなかったか?」

布姫「その4歳の子供が健斗くんよ」

達也「あのガキャ! 4歳のくせに、もううちの子に手を出しやがったのか。美桜。今度、その健斗とやらに勝負しろと伝えておいてくれ」

布姫「逆よ。美桜の方が色々と面倒を見てあげてるみたい」

達也「……その健斗とやらはイケメンなのか?」

布姫「はあ……。4歳児に嫉妬しないで欲しいわ。親戚の中でも美桜よりも年下がいないじゃない?」

達也「そ、それで、年下好きになってしまったと?」

ドスっと腹を殴る布姫。

布姫「少し黙って話を聞いてくれないかしら?」

達也「ぐぉ……」

布姫「いつも面倒を見てもらうことが多かったから、自分が面倒を見ることが新鮮なのよ」

美桜「ママ、ご飯、早く!」

布姫「あら、そうだったわね。すぐ作るわ」

場面転換。

美桜「それじゃ、行ってきまーす」

布姫「気を付けるのよ」

美桜がパタパタと走っていく。

布姫「……で? いつまで落ち込んでる気?」

達也「布姫のお父さんもさ、こんな感じだったのかな?」

布姫「なんの話かしら?」

達也「いや、僕と結婚するって言ったときの話。ほら、結構、寂しそうな顔、してただろ?」

布姫「……美桜は、健斗くんのことは弟のような感じに見ていると思うわよ」

達也「……どうしてわかる?」

布姫「面倒を見るのが楽しいのよ。学校が終わってからも公園で遊んであげてるみたいだし」

達也「ふむ。まあ、ここは布姫の話を信じるとしよう。それより、計画について良い案を思いついた」

布姫「どんな計画?」

達也「週末、ショッピングモールに行こう」

場面転換。

ショッピングモール内で、賑わっている。

美桜「パパ、ママ、早く早くー!」

達也「美桜、ちゃんと前を見なさい。転ぶぞ」

布姫「あの子が手に取って、欲しそうな顔をしているものを観察する。達也にしてはいいアイディアね」

達也「達也にしてはって……」

布姫「でも、複数のものを欲しがったら、どうするの?」

達也「んー。全部、と言いたいところだけど、それだと特別感が薄れるよな」

布姫「そう……ね」

達也「……お、さっそく、おもちゃ屋の中を凝視してるぞ」

布姫「……でも、あれっておもちゃというより子供を見てないかしら?」

達也「……あの子供が持ってるおもちゃを見てるんじゃないか?」

布姫「あの子供が持っているのは、ガオレインの人形よ?」

達也「戦隊もののキャラクターだよな? 美桜、ああいうのに興味を持ってるのか?」

布姫「私が見ている限りはそんなことないんだけど……」

達也「……学校の友達の影響、とかか?」

布姫「どうかしらね。家で、ガオレインの番組を見ているところを見たことないわ」

達也「うーん。本人に聞ければいいんだけど、そうもいかないよな」

布姫「……」

布姫が歩き出し、美桜の隣まで行く。

布姫「ねえ、美桜。もうすぐクリスマスなのだけれど、プレゼントは何がいいかしら?」

美桜「え?」

達也「ストレート! そのまま聞いちゃったよ!」

達也が慌てて走り寄る。

達也「(小声で)おい、どういうつもりだ! サンタという神聖な幻想を壊す気か!?」

布姫「ママからサンタさんに伝えておいてあげるわ。せっかくのプレゼントなのに、気に入らなかったものだったらサンタさんに、殺意を覚えるでしょう?」

達也「そんな怖いことを考えるのはお前だけだ」

美桜「あ、うーん……。プレゼントはいらない」

達也「え? なんでだ?」

美桜「えっとね。私が欲しいプレゼントは、サンタさんでも無理なの」

達也「え? サンタでも無理って、どんなものが欲しいんだ?」

布姫「世界征服とか?」

達也「我が娘ながら恐ろしいな」

美桜「私ね、弟が欲しいんだ」

達也「へ?」

布姫「え?」

美桜「あのね。先生に聞いたんだけど、弟はパパとママから貰わないとダメだって……」

布姫「確かにサンタからもらったら、誰の子よって話ね」

美桜「でも、パパとママはサンタさんじゃないから、私がプレゼントをお願いできないから……」

達也「弟か……。確かに今年のクリスマスには無理だよな、布姫」

ドン、と腹を布姫に殴られる達也。

布姫「下ネタ禁止よ」

達也「ぐお……」

布姫「美桜。弟の件はママがコウノトリにお願いしておくわ」

達也「コウノトリって……今どきの子供は知ってるのか?」

布姫「でもね、パパとママがコウノトリに発注して、受精して納品されるまでに一年くらいかかってしまうの」

達也「受注だろ……」

布姫「だから、今年のクリスマスプレゼントは美桜の好きなものをサンタさんに頼めばいいわ」

美桜「んー。じゃあ、ガオレインの人形がいい!」

布姫「美桜、ガオレイン好きなの?」

美桜「ううん。弟が届いたら、私からプレゼントをあげたいから!」

布姫「……」

達也「……」

布姫「さすが私の娘ね。惚れ惚れするわ」

達也「ああ。お前の血を引いているとは思えないな……」

達也(N)「結局、美桜の友達にリサーチして、今流行りのプリットキュアとガオレインの人形をセットでプレゼントした。……ちなみに、次の年にはちゃんと美桜に弟をプレゼントしたのだった」

ドスっと腹を殴る音。

達也「ぐお……」

布姫「バカ……」

終わり。

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