【声劇台本】一緒にいる理由

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■シリーズシナリオ
〈妖怪退治は放課後に〉

■関連シナリオ
〈悪寒がする視線〉

■概要
人数:5人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、学園、ファンタジー、コメディ

■キャスト
芹澤 和馬(せりざわ かずま)
蘆屋 千愛(あしや せら)
結翔(ゆいと)
典史(のりふみ)
孝雄(たかお)

■台本

和馬(N)「僕の名前は芹澤和馬。学園では生物研究会っていう、風紀委員みたいな組織に所属している。その活動の中で超常現象を調査してほしいって依頼があったんだ。それで、その事件の解決に陰陽師である蘆屋千愛先輩に協力してもらった。それ以来、僕は千愛先輩の活動を手伝うようになったんだけど……」

学食。周りは賑わっている。

そして、バンとテーブルを叩く音。

結翔「ズルいぞ、和馬!」

和馬「……急にどうしたの?」

結翔「お前の周りは美人ばっかりだ」

和馬「うーん。まあ、言われてみたらそうだね」

結翔「高校一年生にして、学園内にハーレムを築くなんて……羨ましいぞ!」

和馬「……あー、うん。完全に誤解だよ。多分、結翔が思っている真逆だと思うよ。ハーレムっていうより、奴隷に近いかな」

結翔「あんな美女たちの奴隷……。最高じゃねえか!」

和馬「相変わらず、レベルの高い性癖だね」

結翔「頼む、和馬! 俺も参加させてくれ」

和馬「参加って……生研に入りたいってこと?」

結翔「あっ! いや、夏姫先輩にもお近づきになりたいけど、俺ってどちらかというと肉体的な苛めより、精神的に苛められる方がグッとくるんだよ」

和馬「そ、そうなんだ……」

結翔「だから、もう一つの方がいい」

和馬「もう一つって……ああ、占星クラブの方?」

結翔「そう! 蘆屋先輩にお近づきになりたい!」

和馬「……確かに、千愛先輩は精神的に攻めてくるけど、結構、肉体的にもしんどいよ。危険って言うのかな。とにかくお勧めはできないよ」

結翔「危険? いいじゃん! ほら、あれだよ! 映画とか漫画とかでさ、一緒に危険を乗り越えたら恋人同士になるってやつ」

和馬「ああ、吊り橋効果ってやつだね」

結翔「そう、それ!」

和馬「忠告しておくけど、千愛先輩に対しては100パーセントあり得ないと思うよ」

結翔「あ、そんなこと言って、俺を諦めさせて、自分だけいい思いをする気だな?」

和馬「うーん。こればっかりは口で説明するのは難しいかも」

そのとき、典史がやってくる。

典史「あ、いたいた。その腕章、君が生研の和馬くんでいいんだよな?」

和馬「え? あ、はい」

典史「頼む! 助けてくれ!」

和馬「え、えっと……」

結翔「あのー、私服ってことは学園の生徒じゃないっすよね? どうして、他校の生徒が和馬に助けを求めてくるんっすか?」

典史「ああ、ごめん! 最初からちゃんと説明するな。えっと、俺は典史。去年、学園を卒業したんだ」

結翔「OBってことっすね」

典史「そうそう。で、戦国くんとも色々世話になってたんだ」

和馬「夏姫先輩と?」

典史「まあ、主に殴られてばっかりだったんだけど」

和馬「あー。先輩、年上とか全然気にしないですからね」

典史「で、一応顔見知りってことで、ダメ元で助けを借りに来たんだけど、話をしたら和馬のところに行けって言われてさ」

和馬「僕のところってことは……心霊現象ということですか?」

典史「そうなんだ! 俺、なんか、変な幽霊にストーカーされてるみたいでさ」

結翔「幽霊にストーカー?」

典史「幼馴染に霊感が強い奴がいるんだけど、そいつの話によると、そうらしいんだ。けど、霊感が強いっていっても、祓うとかはできないからさ」

和馬「わかりました。それでは、千愛先輩のところに行きましょう」

典史「助かる!」

和馬「じゃあ、結翔も一緒に行く?」

結翔「え?」

和馬「ほら、さっき、占星クラブに入りたいって言ってしさ」

結翔「あ、ああ。そうだな。てか、蘆屋先輩ってそっち系? つまり厨二な感じ?」

和馬「いや、違うけど……って、まあ、会った方が早いかな」

場面転換。

千愛「130万ってところかしらね」

典史「……へ?」

和馬「そんなにヤバいんですか?」

千愛「ええ。依頼者がまだ生きてるのが不思議なくらいね」

典史「ちょ、ちょっと待ってくれ! 130万って、そんなの無理だよ!」

千愛「それなら交渉は決裂ね。帰って、ゆっくり取り殺されなさい」

典史「……そんな」

結翔「お、おい。和馬。蘆屋先輩って、あれか? ぼったくり系か?」

和馬「違うよ。千愛先輩は陰陽師なんだ」

結翔「陰陽師?」

典史「あ、あのさ。もう少し安くならないかな? それか安めのお札とかない?」

千愛「話にならないわね。私はそんな安くないわ」

和馬「あの……千愛先輩。そこをなんとかなりませんか? 典史さんは夏姫先輩の知り合いなんです。それに、生死にかかわるようなら放っておけませんよ」

千愛「和馬くん。あなたは私に、他人の為にタダで命を懸けろっていうのかしら?」

和馬「いや……それは……その……」

千愛「はあ……。まあ、いいわ」

和馬「ホントですか?」

千愛「和馬くんにツケておくわ」

和馬「え?」

千愛「それでもいいなら、除霊してあげるわ」

典史「いやいやいや。さすがに和馬くんには」

和馬「いえ、いいですよ。どうせ、卒業まで奴隷が確定してますし。大学までお供しますよ」

千愛「死ぬまでよ」

和馬「そこまで!」

結翔「いいな、いいな。めっちゃラブラブな会話じゃん」

和馬「……結翔の耳って腐ってるの?」

場面転換。

千愛「それじゃ、まずは霊を呼び出すわ。……はあっ!」

孝雄「おわっ!」

和馬「あ、出てきた……」

結翔「え? 全然見えない」

典史「同じく……」

千愛「念のために聞いておくけど、黙って手を引く気はない?」

孝雄「ふざけるな! 貴子さんとの仲を引き裂こうとする奴らは、絶対に許さん! うおおお!」

周りの机や椅子が宙に浮く。

結翔「え? なに? ポルターガイスト?」

千愛「……想いの強さに比例して霊力も上がってるわね」

孝雄「ぶっ潰れろー!」

机や椅子が乱舞し、襲い掛かってくる。

和馬「うわああ!」

結翔「ぎゃーー!」

典史「おわあああ!」

3人が机や椅子に吹き飛ばされる。

千愛「気は済んだ?」

孝雄「くっ! よけやがったか! 次は」

千愛「……斬」

パンとはじけるような音。

孝雄「ぎゃーーー!」

場面転換。

教室内。

結翔「……酷い目にあった」

和馬「だから言ったでしょ?」

結翔「あんなの、命がいくつあったも足りねえよ。やっぱ、パスだパス」

和馬「そりゃそうだよね……」

結翔「なあ、和馬。どうしてお前は一緒にいられるんだ?」

和馬「え?」

結翔「ほら、ツケがあるとか色々言ってたけど、本気で断れば、きっと蘆屋先輩はチャラにしてくれると思うぞ?」

和馬「……うん。そうだね」

結翔「それなら、どうしてだよ?」

和馬「うーん。なんていうかな。千愛先輩と一緒にいると……楽しいから、かな」

結翔「はあ……。お前も十分、レベル高い性癖だよ」

和馬「はは。そうかもね」

場面転換。

ドアを開ける和馬。

和馬「すいません。遅くなりました」

千愛「遅いわ、和馬くん。見回りに行くのが遅れてしまったわ」

和馬「いや、見回りなら僕がいなくてもいいじゃないですか」

千愛「囮がいないと、効率が悪いわ」

和馬「僕を生贄のように扱うのはやめてください!」

和馬(N)「確かに、千愛先輩からの扱いは酷いと思うときがある。だけど、わくわくしている気持ちもあるんだ」

終わり。

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