サンタはクリスマスがお嫌い

サンタはクリスマスがお嫌い

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■概要
人数:5人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、ファンタジー、コメディ

■キャスト
ルーク
サンタクロース
子供
男性
女性 ※母親役と兼ね役

■台本

ルーク(N)「クリスマス。一年に一度の大きなイベントだから、楽しみにしている人も多いだろう。だけど、これだけは知っておいて欲しい。クリスマスという華やかのイベントの日の裏で、身を削って、血の涙を流している存在がいることを」

サンタ「おい、ルーク。なにしてる? さっさと準備せんかい!」

ルーク「……じいちゃん。俺、お腹痛くなってきた。今日の配達は無理っぽい」

サンタ「そうか。わかった。ほら、胃薬だ。飲んだら行くぞ」

ルーク「ザ、ブラック!」

サンタ「あのなあ、ルーク。クリスマスイブといえば、サンタクロースにとっては年に一度の晴れ舞台だ。休むなんて、勿体ないだろ」

ルーク「俺はじいちゃんほど、モチベーションは高くないんだよなぁ。第一、知らないガキたちのために、なんで犠牲にならなきゃならないんだよ」

サンタ「全てはいい子にしている子供たちためだ。その子供たちの笑顔のためなら、お前の命を犠牲にしてもいいと思ってる」

ルーク「もっと、自分の孫にも愛情を持って! ……ってかさー、じいちゃん」

サンタ「ん? なんだ?」

ルーク「俺、子供のころ、一度もクリスマスプレゼントもらったことないけど? 俺っていう子供の笑顔を守れてないよ?」

サンタ「お前、いい子じゃなかっただろ」

ルーク「……反論できねえ」

サンタ「よし、それなら行くぞ」

ルーク「違う、違う! 自分を犠牲にすることに反論しないわけじゃないって」

サンタ「いいから早くしろ。お前も、いつかは儂の跡を継ぐんだから、今のうちにしっかり仕事を覚えないとな」

ルーク「じいちゃん。職業の自由って言葉知ってる?」

サンタ「知らん。ほら、出発するぞ」

ルーク「はあ……」

ルーク(N)「サンタクロースの孫。生まれた瞬間、俺の職業は確定してしまった。ホント、時代錯誤もいいとこだ。俺にだって、なりたい職業はある。ニートとひも。それが今、俺の中でなりたい職業の1位と2位だ。だが、俺のそんなささやかな夢も、サンタクロースの家に生まれ落ちた瞬間に絶たれてしまった……」

ルーク「……さてと。まずはこの家からか。エントツがねえから、ピッキングするか」

ガチャガチャ、カチャリと鍵が開く。

静かにドアを開けて、そーっと入る。

ルーク「はあ。いつの間にか、どんなカギでも3秒で開けれるようになったよな。これじゃ、サンタクロースというより泥棒だよ、まったく」

ゆっくりと廊下を歩くルーク。

すると、奥から声が聞こえてくる。

女性「ちょっとぉ……ダメよぉ」

男性「いいじゃないか、今日は聖夜なんだぜ?」

女性「あの子が起きてきちゃうわ」

男性「大丈夫さ、ぐっすり寝ているよ」

ルーク(N)「くそっ! リア充め!」

ルーク「これでもくらえ!」

プシューとガスをばら撒くルーク。

女性「あれ? 急に眠気が……」

男性「うう……」

どさりと倒れる男性と女性。

ルーク「ふん。人が必死に仕事している最中にいちゃつきおって。朝まで寝てるがよい」

再び、廊下を歩くルーク。

ルーク「っと、ここが子供部屋か」

ドアを開き、中に入る。

ルーク「さてと、どのプレゼントを置いておくかな……って、お? 手紙が置いてあるぞ。えーとなになに? サンタさんへ」

紙を開く、ルーク。

ルーク「今年のクリスマスプレゼントは、綺麗なお姉ちゃんのパンティが欲しいです。…………」

くしゃりと手紙を握りつぶすルーク。

ルーク「なるほど。俺の手紙を読んだじいちゃんもこんな気持ちだったのか。確かにプレゼントを渡す気は失せるな。本来なら、いい子じゃないってことで、プレゼントは没収になるところだが、俺はじいちゃんとは違う。ちゃんとプレゼントは置いてってやるぜ」

ガサガサと袋を漁る音。

ルーク「ほら、おっさんのブリーフだ。精々、楽しめよ」

場面転換。

ルーク「えーと、次で21件目か。ちょっとペース上げるか。……ここはエントツがあるな」

場面転換。

廊下を歩くルーク。

ルーク「ここが子供部屋だな」

ゆっくりとドアを開けるルーク。

子供「すーすー」

ルーク「よしよし、熟睡してるな。さっさとプレゼントを置いて次に行くか……って、む!」

子供「今だ!」

ガバッと子供が起き上がり、パシュっとガス銃を撃つ。

ルーク「うおっ!」

子供「ちっ! 躱された!」

ルーク「待て! なんなんだ、お前! 俺は怪しい者じゃない! サンタだ! 見たらわかるだろ!」

子供「わかってるよ! 僕は、サンタクロースを捕まえてみたっていう動画を、ワイチューブに上げるんだ! プレゼントをもらうより、お金を稼げるから!」

連続でパシュパシュとガス銃を撃つ子供。

ルーク「うおっ! あぶねえ! 止めろ!」

子供「動くなよ! 当たらないだろ!」

ルーク「クソガキが!」

ドスっと子供に腹パンをするルーク。

子供「うっ……くそ……」

どさりと倒れる子供。

ルーク「ふん。ガキが付け上がりやがって。お前にはワイチューブアカウントの凍結っていうプレゼントをくれてやるぜ」

場面転換。

ルーク「さてと、次で最後だな。……まったく、今年はホントろくな子供がいないな」

場面転換。

ドアを開けて子供部屋に入るルーク。

ルーク「……ん? この子もサンタ宛の手紙を書いているのか。どれどれ……」

紙を広げるルーク。

ルーク「サンタさんへ。毎年、大変なお仕事頑張ってください、応援してます。私へのプレゼントはいりません。その分を他の子にあげてください。でも、もし、それでもプレゼントをくれるなら、私はサンタさんの幸せがいいです。いつも頑張ってるサンタさんへ私から幸せをプレゼントしたいです」

ゆっくりと紙を折りたたむルーク。

ルーク「うう……なんて、いい子なんだ。純粋で、可愛くて、俺の好みだ。……よし、君にはとっておきのプレゼントをあげよう」

場面転換。

朝。スズメが鳴く声。

女の子「ママ―。枕元にサンタさんからプレゼントが置いてあったんだけど、この紙、なーに?」

母親「どれどれ……。これ、婚姻届けよ」

子供「婚姻届け?」

ルーク(N)「ふふふ。俺の幸せを願ってくれた君には、俺のお嫁さんになるという最高のプレゼントをあげるよ。これから10年間、俺好みの女性に育てて……ふふ、どこかの国の話である、光なんちゃら作戦さ」

母親「結婚するっていう紙よ」

子供「結婚かぁ……。お断りしようかな」

ルーク(N)「なんだとっ!」

母親「あら、どうして?」

子供「だって、私がサンタさんを独り占めしたら、他の子供が可哀そうだもん」

ルーク(N)「おお! やっぱり、物凄くいい子だ! ぜひ、俺の嫁に!」

子供「それに、私、おじいちゃんは無理。イケメンと結婚するって決めてるから」

ルーク(N)「おい!」

ルーク(N)「……はあ、ホント、クリスマスなんてなくなればいいのに……」

終わり。

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