【声劇台本】裏の顔

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■概要
人数:5人以上
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、シリアス

■キャスト
真田 桔平(さなだ きっぺい)
真田 美奈(さなだ みな)
早紀(さき)
部長
女性
老人

■台本

桔平(N)「どんな人間にも裏の顔がある。表の顔と裏の顔。どちらも知っているのは自分自身だけ。……いや、自分だって、もしかしたら自分のことを完璧に知ってるわけではないのかもしれない」

部長「真田くん。おめでとう。課長に昇進だ」

桔平「ほ、本当ですか! ありがとうございます」

部長「いや、君の頑張りなら当然の結果さ。これからも頑張ってくれよ。期待しているからな」

桔平「はい! 頑張ります」

場面転換。

賑わっている居酒屋。

早紀「真田先輩、昇進おめでとうございます。20代で課長なんて、初めてらしいですよ」

桔平「俺一人の実力だけじゃないさ。早紀くんが部下だったっていう幸運もあるよ」

早紀「私、真田先輩の役に立てて嬉しいです。ずっと、ついていきます」

桔平「ありがとう。……ねえ、早紀くん。静かなお店で飲み直さないか?」

早紀「……はい」

場面転換。

夜の街。フラフラと歩く早紀。

早紀「頭がフラフラしますー」

桔平「おいおい。飲み過ぎだぞ」

早紀「あのお店のお酒が美味しくてつい」

桔平「おっと、危ない。ほら、俺に捕まって歩け」

早紀「……真田先輩。意外とガッシリとしてるんですね」

桔平「昔、スポーツしてたからな」

早紀「……真田先輩。私……酔って真っすぐ歩けないんです……」

桔平「……どこかで休んでいくか?」

早紀「……はい」

桔平「じゃあ……。あ、いや、ちょうどタクシーが来た。あれに乗って帰るんだ」

早紀「……え? 先輩、でも……」

桔平「はは。早紀くん。君は素敵な女性だ。俺なんかよりいい人が見つかるさ」

早紀「……先輩、私……愛人とかでも」

桔平「ダメだ。不倫なんかして、見つかったら二人とも不幸になる」

早紀「……わかりました」

桔平(N)「昔の俺は女遊びが酷かった。大学時代は、100人斬りなんて、栄誉なんだか不名誉なんだかわからないあだ名で呼ばれていた。それは今の妻と結婚しても治らなかった。見つかりはしなかったが、結婚してから5人以上と関係を持ったこともあった」

場面転換。

ドアを開けて部屋に入る桔平。

桔平「ただいま」

美奈「あら、あなた、お帰りなさい。早かったわね」

桔平「飲んでる場合じゃないって思ってさ」

美奈「……何かあったの?」

桔平「実は……会社の業績が悪くってさ。また、少し給料が下がったんだ。ごめん」

美奈「謝らないで。あなたのせいじゃないわよ。大丈夫。その分、私が頑張ってパートで稼ぐから」

桔平「……苦労かけてばかりで、ごめん。俺も頑張るから。もっと生活楽にできるように、頑張るから……」

美奈「貧乏でも、私、幸せよ。だから、あなたも気にしないで」

桔平(N)「女遊びをしなくなったのは、新しい趣味を見つけたからだ。その趣味のせいでお金が足りなくなった。お金がなければ、不倫なんてできない。……今日も、その趣味の場所に向かう。今度こそ、全てを取り返すために」

場面転換。

老人「いらっしゃいませ」

桔平「……今日はどうだ? 来てるか?」

老人「はい」

桔平「よし! 仮面を貸してくれ」

桔平(N)「この裏カジノはディーラーがいない。つまり、客同士で勝負するという変わった場所だ。運営者はコインの一割分を取り分として得ることで、金を儲けているようだ」

コツコツと歩き、ある場所で立ち止まる。

桔平「今日はポーカーで勝負だ」

女「ええ。いいですよ」

桔平(N)「俺はいつも、この女にぼろ負けして、金を巻き上げられている。仮面をつけているので、どんな女かはわからない。だが、俺のプライドはこの女にズタズタにされた。絶対に復讐すると決意して、ここに通っている。……妻に給料が下がったと嘘をついて、その分で勝負をしているのだが……全く勝てない。今日こそ、勝つ! 勝って、妻にプレゼントを買って帰るんだ!」

場面転換。

桔平「くそっ! 負けた!」

女「……」

場面転換。

美奈(N)「どんな人間にも裏の顔がある。表の顔と裏の顔。どちらも知っているのは自分自身だけ。……いや、自分だって、もしかしたら自分のことを完璧に知ってるわけではないのかもしれない」

場面転換。

お店のバックヤード。

女性「真田さん、頑張るわね。何かあった?」

美奈「ええ……まあ、その……」

女性「また、旦那の給料が下がった、とか?」

美奈「……」

女性「もう、甲斐性がない旦那ねえ」

美奈「いえ、頑張ってくれてるんですよ。私のために」

女性「ふーん。それより、真田さん。このお店の売り上げも悪くなってるみたいだから、きっと、パートのシフト、減らされるわよ」

美奈「え? そうなんですか?」

女性「困るわよね。私も、他に何か仕事見つけなくっちゃ」

美奈「……」

場面転換。

夜の街を歩く美奈。

美奈(N)「昔の私は、ある才能のおかげでお金に困ることはなかった。そのせいで、派手な生活を送っていた。でも、結婚をきっかけに辞めた。……まっとうに生きるため。あの人の奥さんとして胸を張って生きるために」

ピタリと止まり、古いドアを開けて入っていく。

場面転換。

老人「いらっしゃいませ」

美奈「……あの人、来てる?」

老人「まだ見えてませんが、じきに来るかと」

美奈「……仮面、貸して貰えるかしら」

美奈(N)「昔から賭け事の天才と言われ続けてきた。実際に、賭け事で負けることはなかったし、そのおかげで大金を得ることもできた。でも、恨まれるし、家庭を壊す恐れもあったから、足を洗うことにした。でも、戻ってきた。夫を支えるためには仕方なかった。……ごめんね、あなた。こんな稼ぎ方だけど、稼いで帰るから。だから、お金の心配はしないでね」

コツコツと男が歩いてくる。

男「今日はポーカーで勝負だ」

美奈「ええ。いいですよ」

美奈(N)「この男はいつも私を目の敵にして勝負を挑んでくる。結構、金持ちみたい。だから遠慮なく、いつもむしり取っている。ごめんなさい。今日も、絞り取らせてもらうわね」

終わり。

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