【声劇台本】双子の絆

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■概要
人数:4人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、シリアス

■キャスト
太陽(たいよう)※小学生
月翔(つきと)※小学生
隆志(たかし)※小学生
その他

■台本

太陽(N)「僕には双子の弟がいる。普通、双子っていうと、仲がいいって思われることが多いけど、全然違う」

太陽「月翔、ソースとって」

月翔「ええ? 目玉焼きっていったら、しょうゆでしょ!」

太陽「は? ご飯の上に乗っけて、ソースかけて、どんぶり御飯にして食べるのが美味しいんだろ!」

月翔「……なにそれ。目玉焼きに失礼でしょ」

太陽「なんだよ、失礼って!」

母親「太陽! 月翔! 喧嘩してないで、さっさと準備しなさい! 学校、遅刻するわよ!」

太陽・月翔「はーい……」

太陽(N)「弟の月翔とは、喧嘩ばっかり。よく友達から、双子って羨ましいって言われるけど、全然、そんなことない。……逆に双子なんか、僕は嫌だ」

場面転換。

教師「じゃあ、先週のテスト返すぞ」

太陽「……げっ」

場面転換。

休み時間の教室。

太陽「……」

隆志「太陽、テスト、どうだった?」

太陽「……テストなんてなかった」

隆志「なになに? また平均点以下だったの?」

太陽「うるさいな」

隆志「あっちは、良かったみたいだけどな」

ワイワイと女子生徒が群がっている。

女生徒1「月翔くん、また100点なの? すごーい!」

女生徒2「ねえ、今度勉強教えてよ」

太陽「……ふんっ! あのがり勉野郎が」

隆志「家で、月翔に勉強、教えて貰えば?」

太陽「だーれがあんな奴に勉強を教わるかよ」

隆志「そんなこと言って。親に怒られるんじゃないの?」

太陽「大丈夫だよ。もう諦められてるから」

隆志「それはそれで、悲しいね」

太陽「それより隆志、今度の休みで秘密基地が完成するでしょ? そろそろ家から、物とか持って来ようよ」

隆志「そうだね。……でもさ、本当にいいの?」

太陽「何が?」

隆志「月翔に教えなくて。前に、仲間に入れて欲しいみたいなこと言ってたよ」

太陽「いいんだよ。別に。僕たちで作ったんだから。あの秘密基地は僕たちだけものものだ」

隆志「……まあ、太陽がそういうならいいんだけどさ」

太陽(N)「双子の嫌なところは、なんでもすぐに比べられるところだ。月翔は成績がいい。……僕の方はお察しだ。さらに嫌なのが僕の方が兄ってところ。昔はよく、お兄ちゃんなんだから、弟よりも頑張らないと、とか。弟の面倒はお兄ちゃんが見ないと、とか言われてた。まったく、冗談じゃない。なんで、僕が月翔なんかの面倒を見ないとならないんだ。……本当に、双子なんか、嫌いだ」

場面転換。

太陽がグランドを走っている。

太陽「はあ……はあ……はあ……」

教師「ほら、太陽頑張れ! 月翔に一周遅れになるぞ」

太陽「はあ……はあ……はあ……」

後ろから月翔がやってきて、追い抜いていく。

月翔「兄ちゃん、お先に!」

太陽「くそ……。くそ……」

太陽(N)「みじめだ。僕と同じように勉強も運動もできない人だっている。でも、僕は月翔がいるから比べられる。月翔さえ……月翔さえいなければ、僕はこんなにみじめな思いをしなくてすむのに。月翔なんか……消えちゃえばいいのに」

場面転換。

ガサガサと草をかき分ける音。

太陽「隆志、お菓子持ってきた」

隆志「おお! 太陽、気が利くね」

太陽「へへへ」

袋菓子を開けて食べ始める二人。

隆志「うん。秘密基地で食べるお菓子は格別だね」

太陽「そうだね。あー、やっぱりここは落ち着くなぁ。ずっとここにいたい」

隆志「ここ作るのに結構、時間かかったもんね」

そのとき、雨が降って来る音がする。

隆志「あ、雨だ……」

太陽「大丈夫だよ。この中にいれば」

隆志「う、うん。そうだよね」

だが、ピチャンピチャンと雨漏りがする音。

隆志「あ、雨漏りしてる……」

太陽「あそこ、穴開いてるよ。雨が止んだら、何か、塞ぐもの拾ってこよう」

隆志「そうだね」

場面転換。

太陽「それじゃ、塞ぐもの探してこよう。隆志はそっち探して。僕はこっち探すから」

隆志「わかった」

それぞれが歩いていく。

草をかき分けて進む太陽。

すると、ずるっと滑る。

太陽「え? うわああああ!」

穴に落ちる太陽。

太陽「いたた……。なんで、こんなところに穴なんてあるんだよ!」

登ろうとする太陽だが、ズルと落ちる。

太陽「うわああ! ……どうしよう。登れない……。隆志ー! 助けてー! 隆志ー!」

しかし、返事はない。

太陽「うう……」

場面転換。

太陽「暗くなってきた……。僕……このまま死ぬのかな? ……嫌だよ! 嫌だ! 誰か……助けて……」

月翔「あ、こんなところにいた」

太陽「月翔!」

月翔「待ってて、今、ロープ持ってくるから」

場面転換。

太陽と月翔が並んで歩いている。

太陽「どうして、僕を見つけられたの?」

月翔「隆志くんが、家に来て、一緒に探して欲しいって頼まれたんだ」

太陽「でも、あんな穴、普通、見つけられないと思うけど……」

月翔「んー。なんだろ。そこに兄ちゃんがいるって感じたんだ」

太陽「感じた?」

月翔「うん。なんだろ、兄ちゃんが困ってるっていうか、泣いてるって感じ」

太陽「……嘘くさいな」

月翔「でも、双子ってそういうの感じること、あるみたいだよ」

太陽「でも、僕はお前が困ってるなんてこと、感じたことないぞ」

月翔「ああ。僕、困ることってないから」

太陽「はいはい。そうですね」

月翔「……ねえ、兄ちゃん」

太陽「ん?」

月翔「僕ね。兄ちゃんたちと遊びたいんだ」

太陽「え?」

月翔「僕……。兄ちゃんに構ってほしくて、勉強頑張ったり、運動頑張ってきたんだ」

太陽「……」

月翔「でも、隆志くんが、それじゃダメだって。ちゃんと言わないとダメだって」

太陽「……」

月翔「だから、ちゃんと言うよ。僕も兄ちゃんたちと遊びたい」

太陽「……条件がある」

月翔「なに?」

太陽「僕に勉強を教えて」

月翔「うん! わかった!」

太陽(N)「僕には双子の弟がいる。いつも、僕は弟と比べられて、みじめな思いをしている。だから、双子なんて嫌だった。……でもそれは違ったんだ。比べれても気にしなければいいんだ。月翔は月翔で、僕は僕なんだ」

場面転換。

隆志が走って来る。

隆志「ごめん、太陽。お待たせ。じゃあ、秘密基地に行こうか」

太陽「あ、ちょっと待って」

月翔が走って来る。

月翔「ごめん」

太陽「遅いよ、月翔。じゃあ、行こうか、三人の秘密基地に」

月翔・隆志「うん」

太陽(N)「僕には双子の弟がいる。弟の月翔と僕は、とっても仲がいい」

終わり。

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