【声劇台本】学園祭の幽霊
- 2021.06.12
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人以上
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、ホラー
■キャスト
蓮
委員長
その他
■台本
ガゴンと何かが外れる音。
蓮「ん?」
ヒューっと何かが落ちてくる。
蓮「うああああ!」
ガチャンと派手な音が鳴り響く。
蓮「……あ、あぶねえ。直撃してたら死んでたな。っていうか、ライトが落下してくるなんて、ヤバいだろ。やっぱり、幽霊の仕業なのか……?」
場面転換。
学校のチャイム。
ざわつく教室内。
委員長「はいはい、静かに! 投票の結果、2年B組の学園祭の出し物は、お化け屋敷に決まりました」
男子1「げー! なんだよ、今年もかよー。メイド喫茶の方が良いって」
女子1「はあ? メイド喫茶はもう古いでしょ」
男子2「食い物系が良かったなぁ」
女子2「あんた、自分で食べたいだけでしょ」
ガタッと椅子の音を立てて、蓮が立ち上がる。
蓮「いいじゃん、お化け屋敷! どうせだから、凄いの作ろうぜ!」
教室内がシーンと静まり返る。
蓮「……あれ? 俺、滑った?」
委員長「お、おほん。と、とにかく、これは投票で決まったんだから、文句を言わないでよ。これから、班を決めるから、班ごとで準備を進めて」
場面転換。
教室内で学園祭の準備をしている生徒たち。
男子1「あーあ。どうせなら、お化け屋敷をやる方じゃなくて、客として来たかったよな」
蓮「え? なんで?」
男子1「ほら、女子と一緒に来ればさ、キャーって言って、抱き着かれたりしてさ」
蓮「……すごい不純な動機だな」
男子2「でもさー、お化け役の方なら、客の女の子に抱き着けるんじゃない?」
男子1「おま……天才かよ」
蓮「いや、客に触るのはNGだって」
そこに女子1がやってくる。
女子1「ほら、サボってないで手を動かす」
男子1「やってるって」
女子1「……ねえ、あんたらさ、あの噂、知ってる?」
男子2「噂?」
女子1「学園祭に幽霊が出るって話」
男子1「はあ? 嘘くせー。なんだよ、学校の七不思議的なやつか?」
女子1「違うって。この幽霊の変なところは、学園祭のときだけにしか出ないんだって」
男子2「なんで、学園祭のときだけなの?」
女子1「いや、それはわからないけど……」
男子1「まあ、そんなの単なる噂だって。気にすることねーんじゃねーの?」
女子1「でもさ、ほら、この前の教室のこともあるし……」
蓮「あっ! そういえば、俺、体育館でお化け屋敷の準備してたら、ライトが落下してきたんだよ。もしかしたら、幽霊の仕業かも」
男子1「……」
男子2「き、気を付けよう。夜は一人で作業しないようにしようよ」
女子1「そ、そうよね」
男子1「そ、そういえばさ、気になったことがあるんだけど……」
蓮「なに?」
男子1「……」
女子1「なによ? なんなの?」
男子1「あ、いや、なんでもねえ。忘れてくれ」
男子1が立ち上がり、立ち去っていく。
女子1「なんなのよ、あいつ?」
蓮「どうしたんだろ? 気になるから、俺、行ってくるよ」
蓮も立ち上がり、走り出す。
場面転換。
委員長が廊下を歩いている。
そこに男子1が駆け寄って来る。
男子1「委員長!」
委員長が立ち止まる。
委員長「え? どうしたの?」
男子1「あのさ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」
委員長「なに?」
男子1「学園祭の投票、あっただろ?」
委員長「うん」
男子1「あれ、本当にお化け屋敷の票が多かったんだよな?」
委員長「ん? なに言ってるの? 当たり前でしょ」
男子1「いや、あのさ……。俺、結構、いろんなやつに聞いてみたんだけど、お化け屋敷に入れたやつ、いないんだよ」
委員長「……ぐ、偶然でしょ」
男子1「クラスの半分くらいの奴に聞いたんだぞ」
委員長「……私が不正したって言いたいの?」
男子1「あ、違う違う。例えば、その……幽霊の仕業とかさ……」
委員長「ちょっとぉ。高校生にもなって、幽霊を怖がってるの?」
男子1「いや、だから、例えばって話だって」
委員長「……でも、私も幽霊の噂は聞いたことあるんだ。ほら、去年、うちのクラスが出し物で優秀賞、貰ったでしょ? あれ、本物がいたって噂なんだよね」
男子1「マジかよ……。今から、変えられないのか?」
委員長「無理だよ。もう生徒会に申請しちゃったし、時間も足りないし……」
蓮「とにかく、今は幽霊なんて、気にせずに全力でお化け屋敷やろうぜ! な?」
委員長「……あのさ、2年前の事故のこと知ってる?」
男子1「事故?」
委員長「ここの生徒がね、体育館で学園祭の準備してたら、上からライトが落ちて来たらしいの。……で、それが直撃して……」
蓮「……そ、それ、俺と同じだ……。やっぱり、幽霊がいるっていうのは本当ってことか?」
委員長「……それでね。一瞬のことだったから、本人は死んだって気づいてないらしいの」
蓮「……」
男子1「……」
委員長「……」
男子1「と、とにかく、みんなにも気を付けるように言おうぜ。絶対に一人にならないようにって、委員長から注意してくれ」
委員長「う、うん」
場面転換。
ざわざわしている教室内。
委員長「はいはい、みんな、静かに。今日から学園祭の本番よ。準備のときは特に何もなかったけど、もし、本番で何かあったら、すぐに知らせてね。それじゃ、最後の仕上げの準備を始めて」
場面転換。
化粧をしている蓮。
蓮「よし、完成! ふっふっふ。すごく上手くいったな。これは絶対ビビるだろ。これで学園祭の優秀賞も3連覇確定だな」
場面転換。
客1「きゃあああああ!」
客2「ぎゃああああああ!」
客3「いやあああああああ!」
場面転換。
蓮(N)「案の定、俺たちのクラスのお化け屋敷は大成功だった。俺を見たやつは全員、ビビってたし。俺を見て、本物だー、なんて言ってたやつもいたな。こりゃ、来年もお化け屋敷にして、優秀賞をいただくぜ」
終わり。
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