【声劇台本】学園祭の幽霊

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■概要
人数:5人以上
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、ホラー

■キャスト

委員長
その他

■台本

ガゴンと何かが外れる音。

蓮「ん?」

ヒューっと何かが落ちてくる。

蓮「うああああ!」

ガチャンと派手な音が鳴り響く。

蓮「……あ、あぶねえ。直撃してたら死んでたな。っていうか、ライトが落下してくるなんて、ヤバいだろ。やっぱり、幽霊の仕業なのか……?」

場面転換。

学校のチャイム。

ざわつく教室内。

委員長「はいはい、静かに! 投票の結果、2年B組の学園祭の出し物は、お化け屋敷に決まりました」

男子1「げー! なんだよ、今年もかよー。メイド喫茶の方が良いって」

女子1「はあ? メイド喫茶はもう古いでしょ」

男子2「食い物系が良かったなぁ」

女子2「あんた、自分で食べたいだけでしょ」

ガタッと椅子の音を立てて、蓮が立ち上がる。

蓮「いいじゃん、お化け屋敷! どうせだから、凄いの作ろうぜ!」

教室内がシーンと静まり返る。

蓮「……あれ? 俺、滑った?」

委員長「お、おほん。と、とにかく、これは投票で決まったんだから、文句を言わないでよ。これから、班を決めるから、班ごとで準備を進めて」

場面転換。

教室内で学園祭の準備をしている生徒たち。

男子1「あーあ。どうせなら、お化け屋敷をやる方じゃなくて、客として来たかったよな」

蓮「え? なんで?」

男子1「ほら、女子と一緒に来ればさ、キャーって言って、抱き着かれたりしてさ」

蓮「……すごい不純な動機だな」

男子2「でもさー、お化け役の方なら、客の女の子に抱き着けるんじゃない?」

男子1「おま……天才かよ」

蓮「いや、客に触るのはNGだって」

そこに女子1がやってくる。

女子1「ほら、サボってないで手を動かす」

男子1「やってるって」

女子1「……ねえ、あんたらさ、あの噂、知ってる?」

男子2「噂?」

女子1「学園祭に幽霊が出るって話」

男子1「はあ? 嘘くせー。なんだよ、学校の七不思議的なやつか?」

女子1「違うって。この幽霊の変なところは、学園祭のときだけにしか出ないんだって」

男子2「なんで、学園祭のときだけなの?」

女子1「いや、それはわからないけど……」

男子1「まあ、そんなの単なる噂だって。気にすることねーんじゃねーの?」

女子1「でもさ、ほら、この前の教室のこともあるし……」

蓮「あっ! そういえば、俺、体育館でお化け屋敷の準備してたら、ライトが落下してきたんだよ。もしかしたら、幽霊の仕業かも」

男子1「……」

男子2「き、気を付けよう。夜は一人で作業しないようにしようよ」

女子1「そ、そうよね」

男子1「そ、そういえばさ、気になったことがあるんだけど……」

蓮「なに?」

男子1「……」

女子1「なによ? なんなの?」

男子1「あ、いや、なんでもねえ。忘れてくれ」

男子1が立ち上がり、立ち去っていく。

女子1「なんなのよ、あいつ?」

蓮「どうしたんだろ? 気になるから、俺、行ってくるよ」

蓮も立ち上がり、走り出す。

場面転換。

委員長が廊下を歩いている。

そこに男子1が駆け寄って来る。

男子1「委員長!」

委員長が立ち止まる。

委員長「え? どうしたの?」

男子1「あのさ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」

委員長「なに?」

男子1「学園祭の投票、あっただろ?」

委員長「うん」

男子1「あれ、本当にお化け屋敷の票が多かったんだよな?」

委員長「ん? なに言ってるの? 当たり前でしょ」

男子1「いや、あのさ……。俺、結構、いろんなやつに聞いてみたんだけど、お化け屋敷に入れたやつ、いないんだよ」

委員長「……ぐ、偶然でしょ」

男子1「クラスの半分くらいの奴に聞いたんだぞ」

委員長「……私が不正したって言いたいの?」

男子1「あ、違う違う。例えば、その……幽霊の仕業とかさ……」

委員長「ちょっとぉ。高校生にもなって、幽霊を怖がってるの?」

男子1「いや、だから、例えばって話だって」

委員長「……でも、私も幽霊の噂は聞いたことあるんだ。ほら、去年、うちのクラスが出し物で優秀賞、貰ったでしょ? あれ、本物がいたって噂なんだよね」

男子1「マジかよ……。今から、変えられないのか?」

委員長「無理だよ。もう生徒会に申請しちゃったし、時間も足りないし……」

蓮「とにかく、今は幽霊なんて、気にせずに全力でお化け屋敷やろうぜ! な?」

委員長「……あのさ、2年前の事故のこと知ってる?」

男子1「事故?」

委員長「ここの生徒がね、体育館で学園祭の準備してたら、上からライトが落ちて来たらしいの。……で、それが直撃して……」

蓮「……そ、それ、俺と同じだ……。やっぱり、幽霊がいるっていうのは本当ってことか?」

委員長「……それでね。一瞬のことだったから、本人は死んだって気づいてないらしいの」

蓮「……」

男子1「……」

委員長「……」

男子1「と、とにかく、みんなにも気を付けるように言おうぜ。絶対に一人にならないようにって、委員長から注意してくれ」

委員長「う、うん」

場面転換。

ざわざわしている教室内。

委員長「はいはい、みんな、静かに。今日から学園祭の本番よ。準備のときは特に何もなかったけど、もし、本番で何かあったら、すぐに知らせてね。それじゃ、最後の仕上げの準備を始めて」

場面転換。

化粧をしている蓮。

蓮「よし、完成! ふっふっふ。すごく上手くいったな。これは絶対ビビるだろ。これで学園祭の優秀賞も3連覇確定だな」

場面転換。

客1「きゃあああああ!」

客2「ぎゃああああああ!」

客3「いやあああああああ!」

場面転換。

蓮(N)「案の定、俺たちのクラスのお化け屋敷は大成功だった。俺を見たやつは全員、ビビってたし。俺を見て、本物だー、なんて言ってたやつもいたな。こりゃ、来年もお化け屋敷にして、優秀賞をいただくぜ」

終わり。

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