【声劇台本】羨望

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■概要
主要人数:3人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
孝介(こうすけ)
卓弥(たくや)
直輝(なおき)

■台本

孝介(N)「ずっと大人に憧れていた。運動が嫌いで、勉強が嫌いで、学校が嫌いだった。大人になれば、学校に行かなくてすむ。自由になれる。だから、俺は早く、大人になりたかった……」

場面転換。

袋を持って歩く孝介。

孝介「ふわー(欠伸)。眠たいな。さすがに夜通しゲームしてりゃ、当たり前か。帰ったら寝るか? ……あー、いや、あのゲームのイベント始まるんじゃねーか? あー、くそ、こりゃ、今日は寝れねーぞ」

遠くから子供の遊ぶ声が聞こえる。

孝介「……ん? 公園か。よし、気分転換に昼飯は公園で食べるか」

孝介が公園に向かって歩く。

場面転換。

プシュッとお酒の缶を開ける。

ゴクゴクとお酒を飲む孝介。

孝介「ぷはー。昼間っから酒を飲むって最高だよなー。よし、あとは弁当、弁当っと」

ベンチに座って袋の中身を出す。

孝介「……あ、デザート買うの忘れてた。……まあいいか」

お弁当の蓋を取って、食べ始める孝介。

孝介「うん。このそこそこ美味い感じがいいね」

モグモグと食べ続ける孝介。

目の前では子供たちが走り回っている。

孝介「子供は元気でいいな。俺なんか、10秒も走れないぞ。俺も子供の頃はあれくらい元気だったよなー。なんの悩みの無さそうだし、楽しそうだし。いいなー。子供に戻りてーなー」

卓弥と直輝が走ってくる。

卓弥「はあ、はあ、はあ。ちょっとタイム!」

直輝「限界」

直輝が立ち止まって倒れ込み、そのまま寝転ぶ。

卓弥「俺も」

卓弥も直輝の横に寝転ぶ。

孝介(N)「うわ。草の上に寝転び始めた。あの頃の年だと、あんまり汚いとか考えないからな」

卓弥「世の中ってさー、つまんねーよな」

直輝「わかる」

卓弥「学校とかさ、マジで意味ねーよな」

直輝「勉強とか、何の役に立つんだろうね」

卓弥「あーあ、早く大人になりたいなー」

直輝「なんで?」

卓弥「だってさー、大人になれば学校に行かなくていいじゃん」

直輝「そっか!」

卓弥「それにさ、大人になれば好きなだけゲームできるんだぜ」

直輝「羨ましいよねー。うちなんかさ、3時間以上、ゲームしてたら怒られるもん」

卓弥「うちもだよ。……一回でいいから、徹夜でゲームとかしてみたいよな」

直輝「うん、うん、してみたい」

卓弥「あとさ、大人って、好きな物買えるのがいいよな。ゲームとかさ、お菓子とかさ、自由に買えるんだ」

直輝「いいなぁ。お菓子食べながら、ゲームするって、最高だよね」

卓弥「ネットも、漫画も見放題。なんなら、一人で漫画喫茶とかも、行けるんだぜ?」

直輝「いいなー。漫画喫茶とか、親に頼み込んでようやく連れてってもらえるからね」

卓弥「お酒とか飲んで、大騒ぎしてみたい」

直輝「楽しそうだよねー」

卓弥「あーあ、早く大人になりてー」

直輝「でもさー、大人になると仕事しないといけないんじゃないの?」

卓弥「ふっふっふ。その辺は大丈夫だよ」

直輝「え? なんで?」

卓弥「ニートってやつになれば、仕事しなくていいんだって」

直輝「ええ? そうなの?」

卓弥「うん。ニートになれば、働かなくていいし、ずっと自由で好きなことばっかりできるんだってさ」

直輝「すげー!」

卓弥「だろ? だから、俺、大人になって、ニートになる!」

直輝「あ、ずるい! 僕も!」

卓弥「よーし!」

卓弥が立ち上がる。

卓弥「ニートに、なるぞー! うおおお!」

卓弥が走って行く。

直輝「あ、待ってー!」

直輝も慌てて立ち上がり、卓弥を追う。

孝介「……」

孝介が弁当の蓋をしめ、弁当を袋に入れる。

孝介「さてと……」

孝介が立ち上がる。

孝介「……仕事探そっと」

終わり。

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