【声劇台本】ラブレター

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■概要
人数:1人
時間:10分

■キャスト
世渡 良治(せと りょうじ)

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■台本

良治(N)「ラブレター。スマホが普及した今、紙ベースの手紙なんて絶滅した、なんて思っている人も多いだろう。だが、実際、メールでラブレターを送るにしても、相手のアドレスを知らなければ送りようがない。かといって、相手のアドレスを誰かから聞いて送ったとしても、相手からしたら、知らないアドレスからのメールなんて、見ないか迷惑メールだと思われるだろう。じゃあ、相手とアドレス交換をすればいい、と考えがちだが、そこまで仲良くなるまでのハードルが高い。というか、ラブレターを送ることで、自分を認識してもらうという大一歩に近い。つまり順番が逆だ。……長々と何が言いたいかと言うと、今でもラブレターは普通に存在するということだ」

ガラガラとドアを開けて、教室に入る良治。

良治「おはよー。……って、さすがに誰もいないか。……日直だからって、早く着すぎたか?」

歩いて自分の机に向かう良治。

席に座り、机の中に手を入れる。

ガサガサという紙の音。

良治「ん? 机の中に何か入ってるぞ?」

ガサっと取り出す。

良治「……いやいやいやいや。ラブレターって。どうせ、あれだろ? 俺が自分の席を間違えたとかだろ?」

教室内を見渡す良治。

良治「……間違いなく、俺の席だな。……あー、わかった。あれだ! 相手が間違えたパターンだ。どうせ、隣の智弘(ともひろ)宛とかだろ? はいはいはい。ベタベタ! こんなんで、ぬか喜びとかしねーから。大体、俺がモテるわけねーし。……まあ、間違えた奴が悪いってことで、中を開けるぞ。確認した後は、ちゃんと智弘の机の中に入れてやるからな」

ガサガサとラブレターを開ける良治。

良治「えーっと、世渡良治くんへ。……俺宛だ。いや、ちょっと待って。この学校に俺と同姓同名なんていたっけな? いや、いねーな。いれば、絶対、ネタになってるからな。じゃあ、なんだ? んー。……あっ! そっか! わかった。これ、ラブレターじゃなくて、果たし状っていうパターンか。俺、なんか恨まれるようなことしたかな?」

良治「えーっと……。好きな人がいます。実は中学のときからずっとずっと好きでした」

良治「いやいやいや。ちょっと待って。一旦、落ち着こう。冷静に。他に考えられるパターンはなんだ? 俺が自分の机を間違えている、相手が渡す相手の机を間違えている、ラブレターじゃなくて果たし状。とりあえずこの3つのパターンは消えたわけだ。他には何がある?」

良治「……あっ! あー、わかったわかった。なんだよ、そういうことか。男からだな? いや、あぶねえ。危うく喜ぶところだったぜ。人から好かれるって言うのは嬉しいけど、俺は男には恋愛感情は抱かないんだ。残念だったな」

良治「えーっと、続きは……。覚えてますか? 中学3年の時、隣になったことがあるんですよ。夏帆は、すごく嬉しくて……」

良治「え? 夏帆? ……夏帆ちゃん? マジかー。確かに中学のとき、同じクラスだったなー。隣? 席、隣だったことあったっけなー? くそ、覚えてねえ」

良治「……っていうか! 女子からの手紙で確定じゃん! いや、ちょ、待てよ! 他にフェイクの可能性は? 今日はエイプリルフールじゃないよな? うん、全然違うな。大丈夫」

良治「えっと、じゃあ、悪戯という可能性がまだあるか? ……いや、夏帆ちゃんは大人しくて、クラスでも引っ込み思案だけど優しい子だ。あの子の名前を悪戯に使う鬼畜な奴は、さすがに周りにはいない。てか、そんなことをして、女子にバレたりなんかしたら、そいつはつるし上げられて、残りの高校生活が地獄になる。そんなリスクを負ってまで、俺に嫌がらせをするほど気合の入った奴はいない」

良治「……となると、これはもう、受け入れるしかないよな」

良治「このラブレターは俺宛で、相手は夏帆ちゃん。ついに俺にもモテ期が到来したってわけだ」

良治「っしゃあっ!」

良治「よ、よし! 続きを読むぞ」

良治「えーっと……。中学生の時は遠くから見ていることしかできなくて……。でも、同じ高校だって知って、これは運命かなって……」

良治「そっかー。運命感じちゃったかー。うん、わかるかも」

良治「……せっかく、同じ高校なのに、また見てるだけって言うのは後悔しそうだから。それに、実際、中学の卒業のときは後悔で泣いちゃいました」

良治「……はー。俺、夏帆ちゃんを泣かせちゃったのか。くそ、中学のときの俺、なにやってんだよ!」

良治「……本当は何かきっかけがあればって思ってたんだけど……。せめて同じクラスに、って。でも、そんなのを待ってたら、また時間だけが過ぎてっちゃうから……。だから、思い切って、告白することにしました」

良治「いや、夏帆ちゃんは凄いよ。俺だったら、告白なんてできねーもん。ますます、夏帆ちゃんのこと、好きになったよ」

良治「……最初は手紙にしようかと思ったんだけど、やっぱり、ちゃんと、自分の口で言わなきゃって思って……」

良治「うん、口で言うのは大事だよな、やっぱり」

良治「……怖くて、勇気が出ないけど、きっと目の前に来てくれたら、ちゃんと言える気がします」

良治「うわー。告白される側でもドキドキするな」

良治「……明日の放課後、屋上まで来て欲しい……」

良治「よし、明日の放課後だな」

良治「……と、新木和哉(あらきかずや)くんに伝えてくれませんか?」

良治「そんなオチかよ!」

終わり。

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