【声劇台本】西田家の受難 ジンクス
- 2021.10.04
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:2人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
西田 正志(にしだ まさし)
高坂 陽菜(こうさか あきな)
■台本
夜。
チッチッチという時計の針が動く音。
正志「ぎゃあああああ!」
ガバッと起き上がる正志。
正志「なんだ、夢か。ったく、今、何時だよ。……4時44分。……不吉な」
場面転換。
朝。通学路を歩く正志。
正志「……」
そこに陽菜が走って来る。
陽菜「ちょっと、正志! なんで、今日はこんなに早いのよ!」
正志「ああ、陽菜か。……いや、今日、夢でうなされて起きたらさ、4時44分だったんだよ。そっから二度寝しようとしたんだけどさ。妙にそれが気になってさ。7時に目が覚めて、そのまま起きたんだよ」
陽菜「7時って……。それが普通に起きる時間だと思うんだけど。……もう、こういうことがあるから、毎日30分以上待たないとならないよね」
正志「待つ? なんの話だ?」
陽菜「ううん。なんでもない」
正志「はあ……。あーあ。今日はなんか、悪いことが起こりそうだなー」
陽菜「考え過ぎよ」
正志「そうか?」
ポトっと何かが落ちてくる音。
正志「うわー! 鳥の糞だ! くそっ! やっぱりだ! 俺は呪われてるんだー!」
陽菜「落ち着きなさいよ。直撃しなかったんだから、逆によかったじゃない」
正志「いや、でも、鳥の糞が落ちて来るなんて、相当な確率だぞ!」
陽菜「まあ、そうそう落ちては来ないわね」
正志「ああー! やっぱり、もう駄目だ、俺は、俺はー!」
陽菜「だから、気にしすぎだって」
正志「そうか?」
にゃーんと猫の鳴き声がして、目の前を猫が横切っていく。
正志「猫だ」
陽菜「そうね」
正志「黒猫だぞ」
陽菜「あそこまで真っ黒なのも珍しいわね」
正志「うわー! 黒猫に横切られた! 終わりだ! 今日、俺は死ぬんだー!」
陽菜「だから、落ち着きなさいって。偶然よ、偶然」
正志「いや、その偶然が4回だぞ! ……って、4! これも不吉だ!」
陽菜「うーん。ねえ、正志。別に不吉なことなんて起こってないわよ」
正志「どういうことだ?」
陽菜「あのね、4が不吉な数字っていうけど、西洋だと13が不吉と言われてるわね。他には、聞いたことあると思うけど、666とかね」
正志「あー、聞いたことある」
陽菜「それにさっきの黒猫の件だけど、ヨーロッパのほうでは幸運らしいのよ、黒猫って」
正志「そうなのか?」
陽菜「さっきの鳥の糞だってさ、運が降ってきたと思えばいいじゃない」
正志「うんこだけにか?」
陽菜「せっかく濁したのに、はっきり言うな!」
正志「なるほどなぁ……」
陽菜「まあ、こういうジンクスはあんまり気にしない方がいいのよ」
正志「ジンクス?」
陽菜「縁起を担ぐことのことよ。いい意味でも、悪い意味でもね。……ち、ちなみに私のいい意味でのジンクスは、正志と一緒に学校に行くことよ」
正志「ふーん」
陽菜「あ、流した! ……もう、そのジンクスのために、人がどれだけ苦労してると思ってるのよ」
正志「なるほど。さんきゅーな、陽菜。今日は死なずに済みそうだ」
陽菜「いや、元々、死ぬのは大げさだとおもうけど」
正志「縁起が関係ないっていうなら、数学の宿題忘れたけど、怒られずに済みそうだな」
陽菜「いや、それは怒られるから。……学校に着いたら、ノート見せてあげるから、さっさと写しなさいよ」
場面転換。
正志の部屋。
ドサッとベッドに倒れ込む、正志。
正志「ふう。陽菜の言う通り、今日は特になにも起きなかったな……。ふわー。今日はあんまり寝れなかったから、眠たいな。……もう、寝るか……」
場面転換。
全力で走る正志。
正志「くそ! 安心して寝たのと、二度寝のせいで、完全に寝坊した! こりゃ、本当にギリギリだぞ!」
走る正志。
正志「……仕方ない。少し、危険だが、秘密のショートカットを使おう!」
わき道に入っていく正志。
場面転換。
学校のチャイム。廊下をとぼとぼと歩く陽菜。
陽菜「……」
正志「あれ? どうしたんだ、陽菜。暗い顔して」
陽菜「……あんた、今日、どうやって学校に行ったのよ!?」
正志「え? いや、遅刻しそうだったから秘密のショートカットを」
陽菜「もう! あんたと一緒に学校行かなかったから、ジンクス破れちゃったじゃない! 今日は悪いこと尽くしよ! 遅刻もするし、宿題のノート家に忘れるし、お弁当落とすし、体育じゃ転ぶし! 全部、あんたのせいよー!」
正志「いや、ジンクス気にするなって言ったの、陽菜だろ!」
陽菜「問答無用!」
正志「ぎゃあああああ!」
終わり。
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