【声劇台本】悪夢

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■概要
人数:2人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
誠(まこと)
さくら

■台本

誠(N)「僕にはさくらちゃんという好きな女の子がいる。さくらちゃんは、クラスでもとっても人気で、僕の周りの友達も、みんなさくらちゃんが好きだと言っている。何人かは、さくらちゃんに意地悪することでさくらちゃんと話そうとする人がいるけど、僕はそんなことは絶対にしない。だって、さくらちゃんの悲しそうな顔なんて見たくないから。……でも、やっぱり、遠くから見てるだけっていうのは寂しい。さくらちゃんと、たくさんお話したいなぁ……」

場面転換。

さくら「え? 日曜日におでかけ?」

誠「う、うん。さくらちゃんと僕とふたりで、どこかに遊びにいかない?」

さくら「でも、どこに行くの?」

誠「え? えーっと、それは……考えておくけど……」

さくら「……」

誠「ご、ごめん。嫌だよね、やっぱり」

さくら「ううん。いいよ。日曜日、ちょうど暇だったし」

誠「え? ホント!?」

さくら「うん」

誠「いやったぁー!」

場面転換。

誠の家。

誠「……うん。明日は出かけるから、今日はもう寝るんだ。おやすみなさい、お母さん」

ガチャっとドアを開けて部屋に入る誠。

そして、ベッドの上に寝転がる。

誠「明日はさくらちゃんとお出かけかぁ。こういうのって、デートって言うんだよね? ふふふ。楽しみだなぁ」

ゴロゴロと寝返りを打つ誠。

誠「あっ! 明日、どこに行くか考えないと。……えっと、お金がかかるところは無理だから、公園行って、ゲーム屋を見て回って、あ、高台にも行こうっと。あそこ、町が見れて綺麗なんだよね。最後は秘密基地がいいかな。そうだ、忘れないように書いておこうっと」

起き上がって紙にペンで文字を書き込む誠。

誠「よし、順番も書いたし、明日は少し寝坊してもいいように、9時からにしたし、完璧だね!」

誠「さてと寝ようっと」

場面転換。

チッチッチという時計の針が動く音。

誠「……うう。ドキドキして眠れないよ。……こういうときって、どうするんだっけ? そうだ、ひつじを数えるんだっけ? えっと、ひつじが一匹……ひつじが二匹……」

場面転換。

誠「……あれ? いつの間にか寝てた。あ、そうだ! 早く、さくらちゃんとの待ち合わせ場所に行かなくっちゃ!」

場面転換。

誠「お待たせ、さくらちゃん。ごめんね、待たせちゃって」

さくら「ううん。私も今、来たところだよ」

誠「それじゃ、最初は公園で遊ぼう」

さくら「公園? うん、楽しみ! 行こう!」

場面転換。

誠「あはははは」

さくら「ふふふふふ」

誠「面白かったねー」

さくら「うん。今の公園って、たくさん遊ぶものあるんだね。トランポリンなんて、初めてよ」

誠「ねえ、よかったら、またこうやって一緒に公園で遊ばない?」

さくら「うん、いいよ。いつでも誘ってね」

誠「うん。それじゃ、次はゲーム屋を見に行こう」

そのときグルルルと犬の唸り声。

さくら「きゃあっ! 犬よ! 怖い!」

誠「野良犬かな? こら! あっち行け!」

犬が大きく吠える。

さくら「きゃああ!」

誠「あっちに行けって言ってるだろ!」

犬が吠え、誠に噛みつく。

誠「うわー! 噛まれた!」

さくら「大丈夫?」

誠「このくらい何でもないよ! えい!」

ボカっと犬を叩くと、キャンと鳴いてどこかに行ってしまう犬。

誠「ふう。あっちに行ったね」

さくら「すごい! 私を犬から守ってくれたのね! 格好いい!」

誠「え? そう? えへへへ」

場面転換。

自動ドアが開く音。

店から出てくる誠とさくら。

さくら「ゲームうまいのね、びっくりしちゃった」

誠「えへへ。あれくらい、たいしたことないよ」

さくら「ううん。そんなことないわ。店長さんだって、すごいって褒めてたじゃない」

誠「えへへ。えっと、それじゃ、次は高台に行こうよ」

さくら「うん」

場面転換。

さくら「うわー! きれー!」

誠「でしょ? ここなら、町が見えるんだ。僕のとっておきの場所なんだよ」

さくら「ありがとう。こんな素敵な場所に連れてきてくれて……」

誠「さくらちゃんだから、連れて来たんだ」

さくら「……うれしい」

誠「それじゃ、次は秘密基地に案内するよ」

場面転換。

さくら「うわー! すごいー! 本当の家みたい」

誠「でしょ? 頑張って作ったんだ」

そのとき、雨が降って来る。

さくら「あっ! 雨降ってきたみたい」

誠「……どうしよう? これじゃ帰れない」

さくら「そうだ。今日はここに泊まらない?」

誠「え? う、うん、いいよ」

さくら「……」

誠「……」

さくら「今日はとっても楽しかった。本当にありがとうね」

誠「僕も楽しかったよ」

さくら「ねえ、大きくなったら、私と結婚してくれる?」

誠「え? う、うん! いいよ」

さくら「ホント? うれしい……」

誠「僕も……」

場面転換。

スズメが鳴く声。

誠「……はっ! あれ? ここって、僕の部屋? どうして? さくらちゃんは? ……もしかして、夢……だったの? あーあ、すごくいい夢だったのになぁ。……あ、まさか!」

ガバッと起き上がる誠。

誠「もしかして、さくらちゃんと約束したのも夢だったとか?」

紙を手に取る。

誠「ほっ……。昨日書いたのがあるってことは、約束したことは夢じゃなかったんだ。よかったぁ」

チッチッチという時計の針が動く音。

誠「……え?」

チッチッチという時計の針が動く音。

誠「えええー! もう10時だよ! 寝坊した―! うえーん! あんな夢みてたからだ! こんなんじゃ、夢なんか見なきゃよかったー」

終わり。

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