【声劇台本】恋愛相談
- 2021.11.08
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:2人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
雨宮 さくら(29)
川岸 七海(29)
■台本
さくら「七海―。開けるよ」
ガチャと鍵を開けて、部屋に入って来る。
七海「別に声かけなくても、そのまま入ってくればいいのに」
さくら「七海は無頓着すぎるよ。そもそも、私に合鍵を渡すのも、どうかと思うよ」
七海「まあまあ、細かいことは置いていて……。さくらー! 助けて―」
七海が泣きついてくる。
さくら「ど、どうしたの?」
七海「ううー。今、人生で一番のピンチなの」
さくら「それ、先月も言ってなかった?」
七海「だーかーら! 先月のピンチを超える、ピンチなのよ!」
さくら「ふーん。なにがあったの?」
七海「ううー。さくら、なんかリアクション薄くない?」
さくら「そう? いちいち驚くのも疲れるな―って思ってさ」
七海「もっと親友に気を使ってよー」
さくら「はいはい。ごめんなさい。で? 何があったの?」
七海「それがさー。見てよ。これ」
ガサガサと袋からたくさん箱を出す。
さくら「なに? そのたくさんの箱は?」
七海「……プレゼント」
さくら「ええ! もしかして、男の人から?」
七海「そう」
さくら「へー。おめでとう! やっと彼氏できたんだね」
七海「そうだったら良かったんだけどさー」
さくら「え? 違うの」
七海「あのさ。私って恋に関しては百戦錬磨じゃない?」
さくら「全部、上手くいってないけどね」
七海「それでね。恋愛相談を受けてるの」
さくら「ん? んー。そっか……。ご愁傷さまだね、その人は」
七海「やっぱり、頼られればさー、応えたくなっちゃうのよ。会社の後輩だし」
さくら「へー。会社に新しく入ってきたんだ」
七海「うん。社長の不倫、奥さんにバラすよって言ったら、入れてくれた」
さくら「……刺されないようにね」
七海「でね、その後輩君が、今、恋をしてるっていうんで、こりゃ、相談にのってやっかーって、勢いで話聞いたのよ」
さくら「ふんふん。なるほど」
七海「その後輩君は、結構、本気らしくてさ。かなりの頻度で相談されるのよ」
さくら「まあ、いいんじゃないの?」
七海「まあ、私も恋に関してはベテランじゃない?」
さくら「うん。歴だけは長いね」
七海「で、私の持っている限りのアプローチ方法を伝授したのよ」
さくら「全部、失敗しているやつね」
七海「だけど、それだけじゃ満足できないって言って、まだ相談してくるのよ」
さくら「なるほど。それで、万策尽きたと」
七海「ほら、さくらも、一応、女じゃない」
さくら「一応って付けなくてもよくない?」
七海「何か、恋愛のアドバイスとかない?」
さくら「うーん。ベタだけど、プレゼントとか?」
七海「それはもう言った。それで、どんな物をあげたらいいかも、伝えたんだよね」
さくら「上手くいかなかったの?」
七海「それがさー。せっかく教えたのに、実行に移さないんだよねー。練習ばっかりで」
さくら「練習?」
七海「私にばっか、渡してくんの」
さくら「ああー。それが、このたくさんの箱ってわけね」
七海「そうそう。でね、いくら練習だからって、渡してくれたものを返すわけにもいかないじゃない?」
さくら「まあ、その人が七海に対して渡してるなら、返すっていうのは、逆に失礼かもね」
七海「でしょ? だから、このプレゼントのお礼として、恋のアドバイスで返そうって思ったんだけど……」
さくら「ネタが尽きたんだね」
七海「さくら、なにか知らない? なんでもいいんだけど」
さくら「……そもそもさ、その人、七海から教わったアドバイスは実行してるの?」
七海「本人はしてるって言ってるよ。私もよく練習に付き合わされてるから」
さくら「その、相談相手が好きだっていう女の人のことは、七海、知ってるの?」
七海「いや、それがさ、名前は教えてくれないのよ。いつか、ちゃんと言うって言って。同じ会社の人らしいんだけど」
さくら「……」
七海「ううー。どうしよう。また、明日も、相談にのるって言っちゃってるのよねー」
さくら「あ、あのさ。その相談相手って、結構な頻度で七海に相談してるんだよね?」
七海「うん。週5、とか?」
さくら「……ちょっと待って。その相談相手の人って、好きな人と会ってんの?」
七海「さあ? 私に聞かれても」
さくら「七海は、いつも、その人に、蓮来相談に乗って欲しいって言われて、誘われてるの?」
七海「ん? あー、いや、ご飯食べに行こうとか、どっか遊びに行こうって感じで誘われてるかな」
さくら「……」
七海「それがどうかした?」
さくら「ああー……。そういえば、七海はやたらと年下には人気あったね。昔から」
七海「まーねー。その中の誰か、一人でも告白してくれれば、今、彼氏が欲しいって悩みはなくなったのに」
さくら「七海は年下でも大丈夫なの?」
七海「もちろん。……でも、あっちがねー。私を恋愛対象に見てないんだもん。弟と姉、みたいな感じでさ」
さくら「七海も、意外と鈍感なんだね……」
七海「へ? 何が?」
さくら「ううん。何でもない。えっとね、七海はそのまま、その人の誘いに行ってあげればいいよ」
七海「え? でも、アドバイスは?」
さくら「いいのいいの。アドバイスなんかしなくても、雑談してるだけで相手は喜ぶから」
七海「ええー。そうかなぁ?」
さくら「七海は待ってればいいのよ」
七海「待つってなにを?」
さくら「私の口からはなんとも……」
七海「ええー。教えてよー」
さくら「はあ……。疲れる……」
終わり。
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