【声劇台本】約束の地へ
- 2021.11.23
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人以上
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、時代劇、シリアス
■キャスト
正悟(しょうご)
朔太郎(さくたろう)
明信(あきのぶ)
いく
その他
■台本
正悟「こんな世の中は間違っている! 俺達で変えてみせよう」
朔太郎「ああ。やろう、正悟!」
明信「正悟、朔太郎、絶対に死ぬなよ」
朔太郎「明信もな!」
いく「みんな……」
正悟「いく、そんな顔をするな。みんなで戻って来る。約束だ」
いく「……信じてますから」
場面転換。
奉行「正悟、朔太郎、明信。そなたらが先導した反乱は、小規模とはいえ、看過はできぬ」
正悟「……」
奉行「本来であれば、打ち首であるがさらなる反乱を招きかねん。……そなたらは島流しに処す」
正悟「……」
場面転換。
波の音。
正悟「当たり前だが、全員違う場所か」
朔太郎「当然だろ」
明信「……うう。せめて打ち首にしてもらった方が楽だったかもな」
朔太郎「……どこに流れ着くか分からないからな」
正悟「なあ、二人とも。生きてさえいれば、まだ希望はある。……違うか?」
明信「いや、正悟。島流しは……」
正悟「俺は生き残るぞ。例え、どんな場所に流されてもな。生きて、絶対に戻って来る」
朔太郎「あのなあ、正悟。さすがに戻るのはまずい。戻れば、今度こそ打ち首だ」
正悟「じゃあ、どうすればいい?」
朔太郎「せっかく、知らぬ場所に流されるんだ。どうせなら、桃源郷を見つけてみないか?」
正悟「桃源郷?」
朔太郎「ああ。この世にある極楽浄土みたいな場所らしい。そこはこの世とは思えない美しい場所で、まるで時間が止まったように平和らしい」
明信「そんな場所が本当にあるのか?」
朔太郎「あるらしいが、この世に果てらしい。つまり、このままその果てまで行けばいい」
正悟「乗った。俺は必ず、そこへ辿り着いて見せる。お前らも、絶対に来い! いいな?」
明信「おう!」
朔太郎「見つけたら、いくも連れて行こう」
正悟「そうだな」
場面転換。
波の音。
正悟「う、うう……。ここは? 無人島……か? よし、とりあえず無事に陸地には辿り着けた。……まずは桃源郷への情報収集だ」
場面転換。
侍「くっ! と、咎人(とがびと)が……」
正悟「はあ、はあ、はあ……。他国にまで、俺達の情報が回っているとはな。まあ、そんなことはいい……。早く……行かないと」
場面転換。
正悟「はあ……はあ……はあ……朔太郎、明信。待たせて……すまん……。もうすぐ……行くからな」
ドサリと倒れ込む。
正悟「うう……」
村人「あ、あんた、その傷……」
正悟「はあ、はあ、はあ……平気だ」
村人「平気って……。ま、待ってろ。今、手当てを……」
正悟「はあ、はあ、はあ……。そんなことより、あんた……桃源郷という場所を知っているか?」
村人1「桃源郷?」
正悟「はあ、はあ、はあ……。もう、6年も……待たせて……いる……んだ」
村人1「……」
正悟「知ら……ない……か……?」
村人1「ああ! 桃源郷か!」
正悟「し、知ってるのか!」
村人1「この山を越えた先にあるって話だ」
正悟「この山を越えた先……?」
村人1「そうだ。もう近くまで来たんだよ、あんた。今までの旅は、決して無駄じゃなかったんだよ」
正悟「そうか……。無駄じゃなかったんだな」
村人1「これ、握り飯だ。しばらく食べてなかったんだろ? 持って行け」
正悟「ありがとう……」
立ち上がり、歩き出す正悟。
正悟「ごめんな、朔太郎、明信。今、行くからな! やっとだ! やっとお前たちに会える。……いく。お前もすぐに迎えにいくからな」
場面転換。
正悟「……そろそろのはずだが」
朔太郎「おーい! 正悟!」
正悟「朔太郎!」
明信「お前、遅いぞ!」
正悟「すまん。なかなか、情報が得られなくてな。……それより、ここが?」
朔太郎「ああ」
明信「桃源郷だ」
正悟「……凄いな。とても美しい」
いく「……正悟」
正悟「え? いく?」
朔太郎「お前が遅いから、俺が連れて来た」
正悟「いく……いく!」
いく「正悟!」
正悟がいくを抱きしめる。
いく「もう、絶対に離さない」
正悟「俺もだ……」
明信「おーおー。見せつけてくれちゃって」
朔太郎「ま、桃源郷は幸せの国だからな」
正悟「みんな……」
場面転換。
パンと手を合わせる音。
村人2「お、おい! 誰だ、そりゃ?」
村人1「さあ。旅人だろうけど……堅気じゃなさそうだな」
村人2「酷い、斬られ傷だな。さぞ無念だったろうな」
村人1「いや、そんなことはないさ」
村人2「え?」
村人1「見ろ、幸せそうな顔をしてる」
村人2「そうだな」
終わり。
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