【声劇台本】余計な一言

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■概要
人数:4人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
魁人(かいと)
さくら
幸弘(ゆきひろ)
明沢 三奈(あけざわ みな)

■台本

魁人(N)「僕は昔から一言多いと言われる。もちろん、わざとなんかじゃない。僕だってわざと他人を怒らせたりはしたくないんだ」

魁人「でも、太り過ぎだよね」

場面転換。

魁人「やっぱり、どこか抜けてるんだよね」

場面転換。

魁人「そういうところが親の七光りって感じだよね」

場面転換。

幸弘「魁人って、本当に一言多いよな」

魁人「うっ……。僕自体は気を付けてるつもりなんだけど」

幸弘「マジで? それで気を使ってんの? どんだけだよ!」

さくら「いや、幸弘も、大概だけどね」

幸弘「え? そうか?」

魁人「ねえ、さくらちゃん。僕、どうしたらいいかなぁ? なるべく、余計なことは考えないようにしてるんだけど」

さくら「んー。そうだなぁ。こういうのはさ、考えないようにするっていうのは、まず無理なのよ」

魁人「うん、うん」

さくら「魁人の悪いところは、思ったことをそのまますぐに口に出しちゃうところなのよ」

幸弘「まあ、普通は考えてしゃべるよな」

さくら「いや、関係なさそうな口ぶりだけど、あんたも大概だからね」

魁人「でもさ、考えて喋るって言っても、それじゃ、返事が遅くならない? 会話が途切れちゃうって言うか……」

さくら「あー、全部じゃなくていいのよ。例えば、魁人って会話の終わりくらいにポロっという感じでしょ? だから、話の最後に付け加えようとしたときに、一旦止めて、頭の中で、これを言ったら相手はどう思うか、っていうのを考えるのよ。で、少しでも相手が不機嫌になりそうだなーとか、気まずくなりそうだな―って思ったら、口に出さないで飲み込むの」

魁人「なるほど……。相手が嫌な気持ちになりそうだったら、止めるのか」

さくら「そうそう。簡単でしょ?」

魁人「例えばなんだけど、今日のさくらちゃん、寝ぐせ直ってないところある、とか、眉が消えかかって怖いとか、そういうのは言っていいんだよね?」

さくら「そういうところ」

魁人「え?」

さくら「そういうところだから、魁人!」

幸弘「あはははは。ダメだなぁー、魁人は。俺なんか、朝に会ったときから気づてたけど、言わずにずっと黙ってたんだぞ」

さくら「言えよ、そこは」

魁人「うー。相手が怒るかどうか、わからない……」

さくら「あー、そっからかー」

幸弘「いっそ、しゃべらなきゃいいんじゃね?」

さくら「いや、ダメでしょ!」

魁人「あー、なるほどねー」

さくら「納得すんなし!」

幸弘「けど、ま、俺達と話すときは気にすんなよ。な?」

さくら「そうそう。私たちは慣れてるから、魁人の思ったことは、言っていいよ」

魁人「ありがとう! 僕、ずっとさくらちゃんのおでこが広いって思ってたけど、言い出せなかったんだ」

さくら「……殴っていいかな?」

場面転換。

魁人「……好きな人ができた」

さくら「え? ホント?」

幸弘「マジか! 誰誰?」

魁人「えっと、隣のクラスの明沢三奈さん」

幸弘「めっちゃ、お嬢様じゃん」

さくら「そっか……。ご愁傷様。まあ、しょうがないよ。次いこう、次」

幸弘「……さくらもさ、結構、人のこと言えねーよな」

魁人「次の休みの日にデートすることになった」

さくら「えええええ!」

幸弘「マジかああああ!」

魁人「それはいいんだけどさ……」

さくら「あんた、もっと喜びなさいよ。奇跡が起きたんだから」

魁人「デート中に、余計な一言を言わないか、心配で……」

さくら「ああー」

幸弘「確かに、致命傷になりかねないな。魁人の一言は」

魁人「……どうしよう」

さくら「沈んでたってどうしようもないでしょ! 特訓するわよ、特訓!」

魁人「う、うん、ありがとう!」

場面転換。

街中。

魁人と三奈が並んで歩いている。

魁人「へー。そうなんだ」

三奈「そうなんですの。おかしですわよね」

魁人「でも……」

三奈「ん? なんですの?」

魁人「ううん。なんでもないよ。それより、あそこのペットショップ見ていかない?」

三奈「いいですわね。行きましょう!」

場面転換。

自動ドアが開き、中かから魁人と三奈が出てくる。

三奈「やっぱり、モフモフの生き物は癒されますわ」

魁人「うん、そうだね。もっと……」

三奈「……?」

魁人「あ、いや。その……大事な話があるんだけど」

三奈「なにかしら?」

魁人「その……僕と付き合ってくれないかな?」

三奈「え?」

魁人「……ダメ、かな?」

三奈「いいですわ。でも、まさか、初デートで告白されるとは思いませんでしたわ」

魁人「おっけーってこと?」

三奈「ええ。魁人さんと一緒にいると楽しいですもの。お付き合い、受けさせてください」

魁人「やったー!」

幸弘「うおおおー! やったな、魁人」

さくら「ちょ、幸弘、あんた、なにやってんのよ! 勝手に出てくんじゃないっての!」

三奈「……」

さくら「ご、ごめんなさい。すぐに退散しますのでー。ほら、幸弘行くよ」

魁人「さくらちゃん、ありがとう。おかけで上手くいったよ」

さくら「そういうのは、後でいいから、ね」

魁人「特訓がなかったら、きっと何回も悪口言ってたよ」

三奈「え?」

幸弘「いやあ、こいつってさー、いい奴なんだけど、一言多いのが玉に瑕なんだよ。だけど、今回、あんたのために、言わないように頑張ったんだから、評価してやれよな!」

さくら「二人とも、余計な一言、言い過ぎ―!」

終わり。

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