【声劇台本】半信半疑

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■概要
人数:4人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
沙奈(さな)
御門 遊星(みかど ゆうせい)
ひまり
仁(じん)

■台本

沙奈「……ということで、よろしくお願いいたします」

遊星「ご安心ください! 業界ナンバーワン除霊師、御門(みかど)遊星(ゆうせい)に任せていただければ、悪霊なんて、すぐに祓ってみせますよ!」

沙奈「ありがとうございます。本当に困っていて……」

遊星「わかります。自分ではどうしようもないことは、どうしていいかわからなくなりますよね。……では、現場の方へ案内をお願いします」

沙奈「はい、こちらです」

場面転換。

沙奈とひまりが先に歩き、後ろから遊星と仁が着いて来ている。

遊星と仁が小声で話す。

仁「大丈夫っすか、アニキ。あんな見え切っちゃって。ホントにヤバかったら、どうするんすか? ちゃんと祓えるんすか?」

遊星「バーカ。祓えるわけねーだろ」

仁「ええっ! じゃあ、なんで業界ナンバーワン除霊師なんて、言っちゃったんすか」

遊星「ああ言っておけば箔がつくだろ。料金だって値上げしやすいしな」

仁「けど、本当に悪霊がいたら、どうするんっすか?」

遊星「あのなあ、この世に幽霊なんているわけねーだろ。本人の思い込みだよ、思い込み。祓ったフリしてやれば、解決するってもんだ」

仁「……ホントに大丈夫っすかね」

沙奈とひまりが小声で話す。

ひまり「ねえ、お姉ちゃん。本当に大丈夫なの? ものすごく胡散臭い人なんだけど」

沙奈「そんなこと言ったって、あんな人しかいなかったのよ。この辺の神主さんや、自称霊能力者に頼んでも、解決しなかったんだから。今はあんな藁でも掴むしかないわ」

ひまり「けど、なんか、ぼったくられそう……」

沙奈「平気よ。解決しなかったら、全額返済するって言ってるんだし」

ひまり「うーん。自分でナンバーワンなんて堂々と言う人は、あんまり信用できないんだけどなぁ」

沙奈「別に信用しなくたって、解決すればいいじゃない。やるだけやってみましょ」

ひまり「本当に大丈夫かなぁ……」

場面転換。

沙奈たちが立ち止まり、遊星たちも立ち止まる。

沙奈「ここです……。元々は祖母の家だったのですが、祖母が亡くなった後に、悪霊が渦巻くように集まってきてしまって……」

遊星「なるほど……。これは確かに、強力な邪気が集まり、膨張を続けている状態ですね」

沙奈「そうなんです。……何とか、なりそうでしょうか?」

遊星「……正直、ここまで不吉な悪霊のたまり場を見たのは初めてです。これは命がけになるでしょう」

沙奈「そ、そこまで……ですか」

遊星「今まで、死人が出なかったのが奇跡的と言っていいでしょう。これを祓うとなると、追加で料金をいただくことになります。プラス10万になります」

仁が小声で話しかけてくる。

仁「いーんすか、そんな適当なこと言って!」

遊星「バーカ、せっかく相手が煽ってきたんだぞ。値を吊り上げるチャンスじゃねーか」

仁「どうなっても、知りませんよ」

沙奈「あの……」

遊星「え? ああ、はい。……いかがなさいますか?」

沙奈「払います」

ひまりが小声で話しかけてくる。

ひまり「ちょっと、お姉ちゃん、いいの?」

沙奈「仕方ないでしょ」

ひまり「どうなっても知らないからね」

遊星「ありがとうございます。もちろん、祓うことが出来なかったら、全額返金さえていただくので、ご安心を」

沙奈「はい。よろしくお願いいたします」

仁が小声で話しかけてくる。

仁「ちょっと、いいんすか、返金するなんて言っちゃって」

遊星「平気平気。金貰ったらとんずらすりゃいいだろ。このくらいの金額なら、追ってきたりはしねーよ」

仁「……」

遊星「それではお祓いの儀式を開始させていただきます。……ただ、この儀式は大変危険なものになってます。失礼ですが、あなた達は離れた場所で待機していてください」

沙奈「わかりました」

ひまり「……」

場面転換。

遊星「あー、疲れた。張り詰めた空気出すのってしんどいよなー」

仁「アニキ、何座ってんすか。早く、儀式の準備しないと」

遊星「うっせーな。はいはい」

遊星が立ち上がって、何かを巻く音。

仁「アニキ、何撒いてんすか?」

遊星「塩だよ」

仁「……まさか、それで終わりってことはないっすよね?」

遊星「あん? 終わりに決まってんだろ」

仁「じゃあ、あの子たちに離れてろって言ったのは……?」

遊星「さすがに塩撒いて終わりじゃ、金返せってなるだろ? だから、なんかすごいことをやってるって思わせる作戦だ。あとは、30分くらい時間潰して終わりさ」

仁「そんな適当な……」

場面転換。

ひまり「儀式を見せないって、なんか怪しいと思わない?」

沙奈「まあ、やり方は人それぞれだと思うし、そこを見せろって言って、依頼を降りられた方が困るわ」

ひまり「ねえ、お姉ちゃん。やっぱり、偽物だよ、あの人。全然、力感じないし、すごい儀式やるって割には、全然、道具持ってなかったじゃない」

沙奈「とにかく、終わるまで待ちましょ。もしかしたら、ああ見えてやり手で、解決してくれてるかもしれないでしょ」

ひまり「そんな適当な……」

場面転換。

遊星「ふう。かなり手こずりましたが、何とか全て除霊できました」

沙奈「……ありがとうございます!」

遊星「では、さっそくで悪いのですが、料金の方を……」

沙奈「はい、こちらになります」

沙奈が遊星に袋を渡す。

遊星が中身を見る。

遊星「確かに。では、私たちはこれで」

沙奈「はい、本当にありがとうございました」

場面転換。

遊星「はっはっは。どうだ? こんなのチョロいもんだろ?」

仁「はい、余裕だったっすね」

遊星「やっぱ、こういう目に見えないものを商売にするって、楽だなー。こりゃ止められん」

仁「いやー、ホント、上手くいってよかったっすー」

場面転換。

ひまり「ビックリした……。本当に解決しちゃったわね」

沙奈「だから言ったでしょ。やるだけやってみせればいいって」

ひまり「……でも、大丈夫かな、あの人たち。ここの悪霊、全部引き連れて行っちゃったけど」

沙奈「いいんじゃない? もしかしたら、それがあの人たちの除霊方法なのかもしれないわよ」

ひまり「いやー、本当に上手くいってよかったね」

終わり。

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