【声劇台本】秘密の場所
- 2022.02.07
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:4人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
雅樹(まさき)
恭平(きょうへい)
美久(みく)
母親
■台本
雅樹(N)「人には必ず、隠したい物がある。もちろん、俺にもある。高校生であればそれは結構多いのではないだろうか。しかも、見つかってしまうと致命傷になるものも少なくない。そういう場合、人は秘密の場所を作っておくものだ」
恭平「なあ、雅樹。お前、エロ本ってどこに隠してるんだ?」
雅樹「……恭平くん。君は一体、何を言ってるのかな?」
恭平「いや、あるだろ。普通。高校生になったらエロ本の一冊くらいは」
美久「……そうなの?」
雅樹「あははは。そんなわけないよ、美久ちゃん。俺がそんなの持ってると思う?」
恭平「いやいや。あるだろー。美久ちゃんの前だからっていい格好するなよ」
雅樹(N)「恭平、後でぶっ殺す!」
雅樹「いやいや。ホント、無いって。なんあら調べて貰ってもいいよ」
恭平「ふん。バカが。後悔しやがれ」
ガサガサと部屋を探り出す恭平。
恭平「まずは、ベッドの下だ!」
ベッドの下を覗く音。
恭平「くっ! なら、机の中だ!」
ガラッと机を開ける恭平。
恭平「ちっ! それなら……」
美久「ねえ、恭平くん。人の部屋をあんまり荒らすのは止めなよ」
恭平「いや、待って、美久ちゃん。絶対あるはずなんだ。絶対見つけて見せるから」
雅樹「お好きにどーぞ」
恭平「わかった! 机が二重構造になってるんだ!」
雅樹「……死のノートじゃねーんだから」
美久「それにしても、雅樹くんの部屋のゴミ箱、おっきいんだね」
雅樹「ああ、俺、面倒くさがりでさ。こまめに捨てるのが面倒だから、大きいのにしてるんだよ」
恭平「ティッシュもいっぱい捨てないといけないからな」
雅樹「お前、マジで、ぶん殴るぞ」
恭平「くそ! ない! うう……。クローゼットだ! クローゼットの奥に違いない!」
雅樹「ったく……」
美久「……あ、この漫画……。雅樹くんも読んでるんだ?」
雅樹「ああ、それ、今はまってるんだ。面白くてさー」
美久「私も読んでるんだ! 偶然だね」
雅樹(N)「ふふふ。事前にリサーチして、買っておいたのだ。これで、美久ちゃんとの会話も弾むはず」
恭平「そ、そうだ! 本棚だ! 手前の本はカモフラージュでその後ろにエロ本がずらっとあるはず……」
本棚から本を出す音。
恭平「……」
雅樹「気が済んだか?」
恭平「バカな……。あ、わかった。辞典のカバーの中は実はエロ本なんだ!」
雅樹「だから、死のノートじゃねーんだから」
恭平「くそ! ない! そんなバカな!」
雅樹「それより、恭平。お前はもってるってことだよな?」
恭平「へ?」
雅樹「言っただろ? さっき。高校生になったら誰でも一冊はもってるって」
恭平「うっ!」
美久「そ、そうなの?」
恭平「な、ないよ! ないない! エロ本なんて持ってないから!」
雅樹「じゃあ、今からお前の家に行こうか。もちろん、俺もお前の部屋を調べていいんだよな? ベッドの下も、机の中も、クローゼットの中も」
恭平「くぅっ! きたねえぞ……」
雅樹「どっちがだよ。そもそも、お前が言いだしたことだろ?」
美久「恭平くん……」
恭平「お、俺が悪かった! 許してくれ!」
雅樹「ふん」
場面転換。
美久「それじゃ、お邪魔しました。また、雅樹くんの部屋で勉強会してもいいかな?」
雅樹「ああ。いつでも。恭平の部屋は都合悪そうだし。な?」
恭平「くっ!」
美久「じゃあね、バイバイ」
雅樹「バイバイ!」
恭平「覚えてろよ!」
雅樹「漫画の雑魚みたいな捨て台詞だな……」
場面転換。
ドアがパタンと閉まる音。
雅樹「ふう……」
歩いて、ゴミ箱をガサガサと漁る音。
雅樹(N)「俺の秘密の場所はゴミ箱だ。大抵、人の家のゴミ箱なんて見ようとする奴はいない。万が一、見られたとしても、俺はゴミ袋を二重構造にして、その間に隠したい物を入れておくのだ。今回もこの方法で難を逃れた。今日は恭平よりも大きく一歩近づいたと言ってもいいだろう」
雅樹「ふふふふ。あーっはっはっはっは!」
場面転換。
ドアが開き、雅樹が入って来る音。
雅樹「ただいまっと」
どさっとベッドに寝転がる音。
雅樹「あー、今日も疲れたな……って、え? ええ? えええええ!?」
場面転換。
ドタドタドタと廊下を走る音。
雅樹「ちょ! 母さん! 俺の部屋のゴミ箱のゴミ、どうしたんだよ!」
母親「え? 今日、ゴミの日だったからまとめて捨てたわよ」
雅樹「なっ! いや、俺の部屋のゴミは自分で捨てるって言ったじゃん!」
母親「そう言って、いつも溜めてるじゃない。人が親切で捨ててあげたんだから文句言わないでよ」
雅樹「くそーーーー! 俺のコレクションがああああああ!」
終わり。
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