【フリー台本】トレジャーハンター
- 2022.04.30
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人以上
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、中世ファンタジー、シリアス
■キャスト
ジーク
ロイド
ゼフ
ルイ
ルーク
その他
■台本
ジーク(N)「世界には様々なお宝が眠っている。そのお宝を手に入れるのを夢見て、海に繰り出す。……それを人々はトレジャーハンターと呼んでいる」
ロンド「ジーク。ホントにいいんだな? 生きて帰れないかもしれないぞ」
ジーク「こっちの台詞だ、ロンド。ミーナちゃんのことはいいのか? 誰かに取られちまうぞ」
ロンド「……ミーナの為に、俺は海に出るんだ。ガッツリお宝を見つけて、帰って来る!」
ジーク「はいはい。じゃあ、行くぞ!」
ジーク(N)「こうして、俺とロンドの2人旅が始まった」
場面転換。
獣の咆哮と、逃げるジークとロンド。
ジーク「くそ、こんなところに、なんであんな化物がいるんだよ!」
ロンド「知るかよ! にしても、化物はいるのに、お宝は無しか。踏んだり蹴ったりだな」
獣の咆哮。
ジーク「うわーーー!」
ロンド「ジーク!」
ドンという銃声と獣が倒れる音。
ジーク「え? あれ? なんだ?」
ロンド「……化物が倒れた?」
ゼフ「へへっ! 危ない所だったな」
ジーク「お前が撃ってくれたのか。ありがとう。助かったよ」
ゼフ「じゃあ、金」
ジーク「へ?」
ゼフ「金だよ、金。タダで命を救う訳ないだろ」
ロンド「実は、俺達、文無しなんだ」
ゼフ「へ?」
ジーク「俺達、トレジャーハンターなんだ。お宝を見つけたら、払いに戻って来るよ」
ゼフ「そんなの、信じるわけないだろ。……よし、わかった。俺も付いてく」
ジーク「へ?」
ゼフ「お前らを助けた分はもちろん、見つけたお宝の分け前も寄越せよ」
ジーク「……べ、別にいいけどさ」
ジーク(N)「この件をきっかけに、俺たちの船には、様々な人間が30人以上集まってきた」
場面転換。
嵐の音。
ジーク「野郎ども! 絶対にこの堤防は死守しろよ! ここが決壊したら、町が飲み込まれるぞ」
男達の声「おう!」
場面転換。
女性1「本当にありがとうございました。おかげで町は助かりました」
ジーク「いえいえ、こっちこそ、宿を貸してくれて助かりました」
女性1「なにか、お礼をさせてください」
ジーク「いやあ、気にしないでください」
女性1「あの、どうか、この織物をもらってくれませんか? 町でできるお礼はこれくらいしかできないので……」
ジーク「いや、でも……」
ロンド「おい、ジーク。ここまでされて断る方が失礼だぞ」
ジーク「そ、そうか。ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきますね」
場面転換。
賑やかな町。
男性1「よお、旦那! 随分と変わった織物の服だな」
ジーク「ん? ああ、これはずーっと東の方にある島の村でもらったんだ」
男性1「なあ、もっとその織物ないかい? 金貨1枚で売ってくれないか?」
ジーク「ええ? そ、そんなに?」
場面転換。
ジーク「……すまんな、ルーク。こんなことを頼むなんて」
ルーク「いいんですよ。というより、元々、商人を目指してたんですから。お礼を言いたいくらいです」
ロイド「じゃあ、あの町との交易、お前に任せたぞ」
ロイ「任せてください」
場面転換。
海の上での嵐。
ジーク「みんな! 町だ! 町が見えたぞ! もう少しだ、頑張れ!」
場面転換。
町中。
ロイド「ふう。今回の航海もヤバかったな」
ジーク「ああ。しばらく、この町で休もう。今回も目ぼしい宝も見当たらなかったし、みんなのモチベーションの低くなってる」
ロイド「……そんなこと言って、お前、ここで少し働くつもりだろ?」
ジーク「しょうがないだろ。宝が見当たらなかったんだから」
ロイド「ったく。お前は何でもかんでも一人で背負い過ぎだ。俺も、働くよ」
ジーク「ロイド……」
場面転換。
ルイ「……船長。すいません。俺、この町に残ろうと思います」
ジーク「うん。ジーナさんを幸せにしろよ」
ルイ「え? なんで、それを?」
ロイド「気づいてないと思ったのか? ま、気にすんな。お前の分の夢もしっかり背負ってやるよ」
ルイ「……ありがとうざいます。お世話になりました」
場面転換。
ジーク「……お宝を探すために海に出て、15年か……」
ロイド「長いようで、短いよな」
ジーク「お前と2人で始めて、一時期は30人になって……気づいたら、結局、またお前と二人になっちまったな」
ロイド「……」
ジーク「15年で見つけた宝は、ほんの一握り程度だ。けどさ、俺はまだまだ諦めないぜ。絶対、すげえ宝を見つけてみせる」
ロイド「なあ、ジーク」
ジーク「ん?」
ロイド「……すまねえ」
ジーク「……。そろそろ、ちゃんとミーナちゃんを幸せにしてやれ」
ロイド「本当に、すまん」
ジーク「はは。すぐにすげえ宝見つけて、後悔させてやるよ」
ロイド「……ジーク。元気でな」
ジーク「ああ」
ジーク(N)「こうして、俺は一人になった」
場面転換。
ジークが歩く音。そして、立ち止まる。
ジーク「……ここも外れだったか」
場面転換。
町中。
親「おい、走るなよ、危ないぞ」
子供「パパ! 早く早くー!」
ジーク「……」
老人「なんだい、羨ましそうな顔をして。子供の顔でも見たくなったかい?」
ジーク「……いや、俺には子供はいないんだ。海が恋人だったんでね」
ジーク(N)「海に出てもう、30年。俺も随分と年を取った。でも、俺の手には何も残っていない。……この30年を無駄にしないためにも、絶対に宝を見つけてみせる」
場面転換。
海の上の嵐。
ジーク「くそ! もてよ! 沈むな!」
波が船を飲み込む。
ジーク「うわあああああ!」
場面転換。
病室。
ジーク「先生。俺の船は?」
医師「ジークさん。命が助かっただけでも幸運ですよ」
ジーク「……」
ジーク(N)「俺に残された最後のものも、無くなった……。結局、俺の30年は無駄だった。なにも手に入れることができなかった」
ジーク「……なんか、もう、疲れたな」
そのとき、病室に大勢の人たちが入って来る。
ロイド「よお、ジーク。やっぱり生きてたか」
ルイ「船長! 大丈夫ですか?」
ルーク「船長、心配しましたよ!」
ゼフ「ったく、俺がいないとやっぱり駄目だな、お前は」
ジーク「お前ら、どうしてここに……?」
ロイド「まあ、一応、お前の動向が気になっててな、情報を集めてたんだ」
ジーク「そうか……」
ロイド「なんだよ、落ち込んだ顔をして」
ジーク「今回の航海で船も失った。すまん。みんなの夢、もう背負う事ができなくなった」
ロイド「……なんだ、そんなことか」
ルーク「逆に、ちょうどいいんじゃないんですか?」
ゼフ「そうだな」
ジーク「え? ど、どういうことだ?」
ロイド「もう、海に出ないつもりなら、俺たちの会社を手伝え」
ジーク「会社?」
ロイド「ああ。俺達、元船員同士で集まって、運送会社を建てたんだ。お前と一緒に公開したルートを使ってな」
ジーク「……」
ロイド「けど、仕切る奴がいないんだ。だから、お前が社長として仕切れ」
ルーク「お願いします、船長」
ゼフ「お前しかできない」
ルイ「お願いします」
ロイド「……頼むよ、ジーク」
ジーク「……ありがとう」
ジーク(N)「俺の30年は無駄ではなかった。……宝を見つけることはできなかったけど……。仲間という宝以上の物を、俺は手に入れることができたんだ」
終わり。
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