【シチュエーションボイス台本】虹
- 2022.05.30
- シチュエーションボイス台本
■キャスト
男性
■時間
3分
■台本
いつも雨が降っていた。
友達と喧嘩した時。
先生に怒られた時。
挫折した時。
大切な人を失った時。
――そして、孤独になった時。
雨は僕にとって不幸を象徴していた。
降りしきる雨を受けながら、まるで世界の不幸が僕に向かって落ちてくるのを感じる。
そんなとき――僕は君に出会った。
君は雨という不幸でずぶ濡れになった僕を見下ろして、ニコリとほほ笑む。
もう大丈夫だよ、と。
君の笑顔が雨を遮ってくれたような気がした。
――大丈夫かもしれない。
君が僕に笑顔を向けてくれる限り。
雨の中でも僕は立ち上がることができる。
そんなことを考えていると、いつの間にか雨は上がっていた。
雨上がり。
透き通るような青空には、七色の橋が架かっている。
空に架かる橋を見て、君は言う。
雨が降って良かったね、と。
そこで僕は気づく。
――そう。
雨が降らなければ空に、虹が架かることはない。
もし、僕に不幸という雨が降らなければ、虹のような君に出会うこともなかったのだろう。
そう思ったら、雨も悪くない。
君が隣にいてくれるなら、雨上がりには素敵な虹が架かるのだから。
終わり。
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