シチュエーションボイス台本(妹思いの兄)

■キャスト
男性

■時間
5分

■登場人物について
兄:妹とは血のつながりはないが、とても妹思いで、妹に対しては過保護。
妹:事故で、足が動かず、車椅子生活。

■台本

……ふう。まったく、こいつは最低だったな。精神的に幼過ぎる。この年でマザコンって頭がいかれてるのか? 話にならん。……おっと、そろそろ次の奴に会いに行く時間だな。

(人と会って話している状況)

……なるほど。趣味はない、と。ん? 二人で見つけていきたい? それは建設的な話だ。

じゃあ、次の質問だが、仕事と家庭はどちらが大事だと思う?

ふむ。そのときによる、か。いい答えだ。家庭を犠牲にするやつは最低だが、口先だけで家庭が大事だと簡単に言うやつはもっと最低だからな。そういうやつに限って家族を裏切ったりする。

最後の質問だ。正直に答えてほしい。女性経験は何人だ?

(美紗の部屋に入る)

美紗。そろそろ起きる時間だぞ?

おはよう。よく眠れたかい?

ん? まだ眠いのかい? 昨日は夜更かしでもしたんだろ? 生活のリズムは一度崩すと引きずってしまうぞ。

いや、説教じゃない。美沙が心配なだけだ。

ほら、早く起きてくれ。朝食の用意はできてるぞ。……といっても、もう昼に近いけどな。

なに? ベッドの上で食べる? まったく。あまり行儀がいいとは言えないな。

……食べさせてくれ? おいおい。上半身はなんともないんだから、一人で食べられるだろ。

……はあ。わかったよ。ほら、あーん。

……どうだ? 美味しいか? 駅前のシェフからレシピを聞いて作ってみたんだ。美沙が前に食べたいって言ってただろ?

口にクリームがついてるぞ。ぬぐってやるから、こっちを向け。

……よし、綺麗になった。

ん? どうした、美沙。ボーっとして。

どうして、こんなに親切にしてくれるのかって? そりゃ、俺は美沙の兄だからな。

血の繋がりなんか関係ない。たとえ、血がつながってなくても、俺は美沙の兄だよ。この先もずっと。

そうだ、美沙。聞いてくれ。良さそうな人を見つけたぞ。とても誠実そうな青年だ。きっと、美沙も気に入ってくれると思う。会うだけあってみないか?

露骨に嫌な顔をするな。お見合いっていっても、すぐに結婚するわけじゃないんだからさ。

……どうして、いつも俺と比べるんだ? 俺は美沙の兄で、恋人じゃないんだから。俺と比べるのは変だぞ?

とにかく、セッティングしておくからな。

……俺は美沙のお母さんと約束したんだ。美沙の幸せをちゃんと見届けるって。だから、美沙も自分の幸せのために頑張ってくれ。

うわっ! 危ないな! 物を投げるな。

……どうして、この話になると怒るんだ?

終わり。