【フリー台本】シンデレラがメンヘラすぎる
- 2022.06.22
- ボイスドラマ(10分)

■概要
人数:5人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、童話、コメディ
■キャスト
シンデレラ
姉
王子
魔女
女性
■台本
姉「シンデレラ。シンデレラ! どこにいるの! 出てらしゃい」
ギイとドアが開き、シンデレラが現れる。
シンデレラ「……なんですか、姉さん」
姉「ったく、呼ばれたらすぐ出て来なさい。何してたのよ?」
シンデレラ「部屋で姉さんのお人形を作ってました」
姉「あら。あんたが私の人形を作るなんて珍しいわね」
シンデレラ「……そんなことありませんよ。今までもたくさん作ってます」
姉「へえ。どんなのかしら? もちろん、可愛く作ってあるのよね?」
シンデレラ「……これです」
姉「わあ、すごく精巧に作られてるわね……って、一つ聞きたいんだけど」
シンデレラ「……なんですか?」
姉「なんで、顔はすごく精巧に作られてるのに、体の部分が藁で作ってあるのかしら?」
シンデレラ「……使いやすいようにです」
姉「……使うって、何に使うのよ?」
シンデレラ「……夜に、この人形を釘で木に打ち付けるんです。そうすれば、姉さんの胸も刺されたような痛みが走ります」
姉「……シンデレラ。今すぐ、作った人形、全部持って来なさい」
シンデレラ「……なんでですか?」
姉「いいから、今すぐ、持って来なさい!」
場面転換。
姉「……これで全部ね?」
シンデレラ「……はい」
姉「なんで不満そうな顔をしてるのよ。まあいいわ。それより、私、これから出かけるから、ドレスの洗濯と靴を磨いておいてちょうだい」
シンデレラ「……なんでですか?」
姉「来週、舞踏会があるのよ」
シンデレラ「……いえ、そうではなくて、どうして私が姉さんのドレスの洗濯と靴を磨かなければならないんですか?」
姉「口答えしないで、とにかくやればいいのよ! わかった!?」
シンデレラ「……はい」
姉「ふん!」
場面転換。
ガチャリとドアが開き、姉が入って来る。
姉「シンデレラ。シンデレラ!」
ガチャリと部屋のドアが開く。
シンデレラ「……はい」
姉「言いつけ通り、やったのかい?」
シンデレラ「……終わらせて、姉さんの部屋に置いておきました」
姉「ふん。それならいいわ」
姉が部屋に入って行く。
シンデレラ「……」
姉「ぎゃーーー!」
凄い勢いで部屋から出てくる姉。
姉「ちょっと、シンデレラ! なによこれ?」
シンデレラ「……なによと言われてましても」
姉「ドレスは灰だらけだし、靴の中にはムカデがいるじゃない!」
シンデレラ「……ああ、ドレスは洗った後、乾かすために暖炉にかけようと思ったら、落としてしまいました。靴もちゃんと磨いておきました。ムカデはサービスです」
姉「……あんた、ホント、いい度胸ね」
シンデレラ「言われた通り、やりましたけど、文句がありますか?」
姉「もういいわ! 自分でやるから!」
場面転換。
姉「それじゃ、シンデレラ。私は舞踏会に行って来るから、あんたは留守番ね。って言っても、どうせ、あんたは舞踏会に着ていけるドレスなんてないと思うけど」
シンデレラ「……」
姉「さてと。この機会に王子に接近して、玉の輿を狙うわよー!」
家から出ていく姉。
シンデレラ「……さてと。姉さんの人形でも作ろうかな」
そのとき、トントンとドアがノックされる。
シンデレラ「……はい」
ガチャリとドアを開くシンデレラ。
魔女「あんたがシンデレラかい?」
シンデレラ「……はい」
魔女「おや? なんか想像してたのと違うわね。まあ、いいわ。これからあんたに魔法を掛けて、舞踏会に参加させてあげる」
シンデレラ「……いや、いいです」
魔女「へ? なんでだい?」
シンデレラ「……人ごみ、嫌いなので」
魔女「いやいやいや。何を言ってんだい! 王子様に会えるチャンスなんだよ? 王子様と結婚出来れば、玉の輿なんだから」
シンデレラ「……興味ないです」
魔女「困ったねえ。このまま帰るわけにもいかないし……。ねえ、シンデレラ。あんたは、何か願い事とかないのかい?」
シンデレラ「願い事……。姉さんの泣いた顔が見たい、姉さんの困った顔が見たい、姉さんの土下座姿が見たい……くらいでしょうか」
魔女「……」
シンデレラ「……あれ? 待ってください。舞踏会に行けば、姉さんの邪魔ができるということですよね? 行きます」
魔女「……」
場面転換。
舞踏会会場。賑わっている。
シンデレラ「……さて、姉さんはどこでしょう? 足を引っかけて転ばせて、恥をかかせたいのですが……」
女性「あの、王子様。今度は私と踊ってください!」
王子「あー、いや、その……先客がいてですね」
女性「先客? 誰ですの?」
王子「えーっと、あ、そこの君」
シンデレラ「……はい? 私のことでしょうか?」
王子「お待たせしました。それじゃ、踊ろりましょうか」
シンデレラ「えっと……あの……」
王子「(小声で)すみません。話を合わせていただけないでしょうか」
シンデレラ「は、はあ……」
女性「そんな暗そうな女と……。ふん、もういいですわ!」
女性が行ってしまう。
王子「……ふう。助かりました。ありがとうございます」
シンデレラ「……随分とモテるんですね」
王子「……彼女たちは、みんな、僕が王子だから言い寄って来るんです。もし、僕が王子じゃなければ、きっと誰も言い寄ってきませんよ」
シンデレラ「……そうなんですか?」
王子「はあ……。王子になんて生まれなければよかったです。僕は根暗ですし、人見知りですし、ホントは引きこもっていたいタイプなんです」
シンデレラ「……ふふ」
王子「どうしたんですか?」
シンデレラ「……私と似てるなって思いまして。……私は、あなたが王子でなかったら言い寄っていたかもしれません」
王子「……」
そのとき、鐘が鳴り響く。
シンデレラ「……あ、いけない。帰らないと」
王子「あ、待って!」
走り出すシンデレラ。
シンデレラ「……走りづらいな。靴、脱いじゃおう」
靴を脱ぎ、裸足で走っていくシンデレラ。
場面転換。
姉「んー! もうちょっと! 入れー!」
王子「……入らないのはわかったので、もう止めていただけないですか?」
姉「待ってください! 今日の朝、シンデレラに足を踏まれたから、腫れてるだけなんです。腫れが収まれば、入るはず……。シンデレラ。シンデレラ! ちょっと来て」
ガチャリとドアが開く。
シンデレラ「……なんですか?」
姉「奥から薬草持ってきて。腫れがひくやつ」
王子「……あ、あなたは!」
シンデレラ「……あっ!」
王子「やっと見つけました。あなたが舞踏会にいた人ですね」
シンデレラ「……ええ、まあ」
姉「……あれ? 靴、関係なくない?」
王子「あの、僕と結婚して、女王になってください」
シンデレラ「……面倒くさいから嫌です」
王子「え?」
姉「は?」
場面転換。
王子「あ、シンデレラ。洗濯は僕がやりますよ」
シンデレラ「……ありがとうございます」
王子「終わったら、部屋でまた一緒に人形作りましょう」
シンデレラ「……はい」
姉「……ちょっと待って!」
王子「なんでしょう?」
姉「なんで、王子が家にいるの?」
王子「シンデレラが王女になるのが嫌ということで僕が婿養子に入ることにしました」
シンデレラ「……王宮に住むとか、面倒くさくて無理です」
王子「僕もです。王宮、嫌だったんですよね」
シンデレラ「よかったですね。WINWINです」
王子「はい」
姉「良くない!」
終わり。
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