阿吽の呼吸

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■概要
人数:4人
時間:8分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
大智(だいち)
壮馬(そうま)
治樹(はるき)
心音(ここね)

■台本

大智、壮馬、治樹が道を歩いている。

大智「あー、くそ。学校だりー」

壮馬「でも、今日、フォークダンスの練習あるじゃん」

大智「それが?」

治樹「いやいや。女子と手を繋げる唯一のチャンスじゃん」

大智「くだらねー。別にいいよ、そんなの」

壮馬「うわー、ムカつく。上から目線」

治樹「ほら、大智って心音ちゃんっていう彼女がいるからさ。だから余裕でいられるんだよ」

大智「はあ? なんで、心音が出てくるんだよ! あいつはただの幼馴染って言ってるだろ」

壮馬「はいはい」

治樹「わかったわかった」

大智「お前らなー」

壮馬「あーあ。俺も心音ちゃんみたいな可愛い幼馴染がいたらなー」

治樹「人生、勝ち組だよねー」

大智「はあ? あんな口うるさい奴のどこがいいんだよ」

壮馬「……は?」

治樹「……何言ってんの?」

大智「え? 俺、なんか変なこと言ったか?」

壮馬「心音ちゃんは物静かだろ」

治樹「っていうか、声を聞けるのもレアだろ」

大智「はあ? そうかぁ?」

壮馬「この前なんだけどさぁ」

壮馬の回想。

教室。

壮馬「心音ちゃん。俺、今日、日直なんだけど、先生から昨日のアンケートを集めてくれって言われたんだけど」

心音「……」

カサっと、紙を出す音。

壮馬「あ、ありがとう。……えーっと、あと、大智が探してたぞ」

心音「……」

立ち上がって、歩き出す。

壮馬「……」

壮馬の回想終わり。

壮馬「ってことがあってさー」

治樹「それくらいなら普通だよ。僕なんてさー」

治樹の回想。

教室。

治樹「えっと、心音ちゃん。協力してポスターを作るってことになったんだけど、どうしよっか?」

心音「……」

治樹「……えっと、じゃあ、僕が決めていい?」

心音「……」

治樹「……交通安全のポスターにしよっか?」

心音「……」

治樹「あれ? いや? じゃあ、ゲームのやりすぎ注意のポスターは?」

心音「……」

治樹「……それじゃ、それにするね」

心音「……」

治樹の回想終わり。

治樹「ってことがあってさー。全部、頷いたり、首を横に振ったりだけで、声なんて一回も出さなかったんだよ。あれは苦労したなぁ」

壮馬「……だよなぁ」

大智「うーん。そうかぁ? 俺のときは……」

大智の回想。

教室。

大智「なあ、心音。宿題やった?」

心音「……」

ノートを出す心音。

大智「サンキュー。じゃあ、写させてもらうな」

心音「……」

大智「いや、わかってるって。次はちゃんと自分でやるから」

心音「……」

大智「うるさいなあ。昨日は遅くまでゲームしてて、時間なかったんだよ」

心音「……」

大智「わかってるって。ゲームは2時間って約束だけどさ、なかなか止めれないんだよ。止め時がわからないっていうかさ」

心音「……」

大智「……わかったわかった。今度はちゃんとタイマーでアラームかけとくからさ」

心音「……」

大智「ん? なんだ? ……ああ、土曜の話か? 別に予定ないから買い物付き合ってやるぞ」

心音「……」

大智「別にお礼なんていいって。それよりさ、帰りに、ハンバーガー屋寄ってこうぜ」

心音「……」

大智「そんな固いこと言うなよ。奢ってやるからさ」

心音「……」

大智「よし、じゃあ、土曜日な」

心音「……」

大智「わかってるって。ちゃんと目覚ましかけるから、遅刻なんかしねーって」

心音「……」

大智「おう、楽しみだな」

大智の回想終わり。

大智「な? 口うるさいだろ?」

壮馬「……」

治樹「……」

大智「ホント、あいつは何かと、文句ばっかり言うんだよ」

壮馬「……これはもう、他人は入れないよな」

治樹「……だね。言葉にしなくても、通じるんだもん」

壮馬「彼女って言うより夫婦レベルだよな」

治樹「阿吽の呼吸だね」

大智「はあ? 何言ってんだよ、お前ら! んなわけねーだろ」

壮馬「……はあ」

治樹「やれやれだね」

終わり。

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