モテ期到来
- 2022.11.02
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人以上
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、ラブコメ
■キャスト
猛(たける)
和葉(かずは)
男子生徒1~2
女子生徒1~2
■台本
女生徒1「ねえねえ、猛くん。私と一緒に帰らない?」
女生徒2「何言ってるのよ。猛くんは私と一緒に帰るの!」
猛「あ、あの……。3人で帰るっていうのは……」
女生徒1・2「猛くんは黙ってて!」
猛「は、はい……」
猛(N)「ついに来た。生まれ落ちてから早17年。ついに俺はモテ期を迎えたのだ!」
場面転換。
教室内。
男子生徒1「くそー! まさか、猛にモテ期が来るなんてなー」
猛「がははははは」
男子生徒2「猛ならあと80年は来ないと思ってたのに」
猛「いや、それ、ジジイじゃねーか! そんな頃にモテ期きても嬉しくねーよ!」
男子生徒1「なあなあ、昨日も、知らない奴からメール来たんだろ?」
猛「ああ。他の人から聞いたって書いてた。まずは友達からお願いだってさ」
男子生徒2「おおー!」
男子生徒1「それにしてもアレだよな。猛でさえ、モテ期が来ればこんなにモテるんだもんな」
男子生徒2「そうそう。ある意味、希望の光だよね」
猛「……なんか、イラっとするな」
男子生徒1「で、どうするんだ?」
猛「なにが?」
男子生徒2「モテ期なんて、いつ終わるかわからないでしょ?」
猛「まあ、そうだな」
男子生徒1「なら、今のうちに、本命と付き合っておいた方がいいんじゃねーか?」
猛「……うーん」
男子生徒2「そうだよ。モテ期が終わったら、見向きもされなくなるんだからさ」
猛「うっせーよ」
猛(N)「だけど、こいつらの言うとおりだ。モテるからって調子に乗ってて、モテ期が終わって周りに誰も女の子がいない、なんて状況も十分あり得る。……本命か」
場面転換。
和葉が歩いているところに、猛が駆け寄ってくる。
猛「よお、和葉。今、帰りか?」
和葉「見ればわかるでしょ」
猛「……相変わらず、キツイな。ただの挨拶みたいなもんじゃねーか」
和葉「それより、なに?」
猛「いや、その、久しぶりに一緒に帰ろうって思ってさ」
和葉「……昨日の女の子たちは放っておいていいの?」
猛「げっ! 見てたのか?」
和葉「……」
猛「いいんだよ。あの子たちには、今日は用事があるって言ってきたから」
和葉「用事?」
猛「あー、ほら、今日は和葉と帰りたいなーって思って」
和葉「……ふーん」
猛「……」
和葉「……」
二人の足音だけが響く。
猛「あ、あのさ。最近の俺、どうよ?」
和葉「……は?」
猛「いや、ほら、えーっと、なんかイケてないか?」
和葉「自分でそういうことを言うのはやめた方がいいと思うけど」
猛「うっ!」
和葉「別に私はいつもと変わらないと思うけど」
猛「そ、そっか……」
和葉「なに? 最近、女の子に声をかけられるから、いい気になってるの?」
猛「違うって!」
和葉「……ホントに?」
猛「俺自身、なんで、こんなにモテるかわからないんだよな」
和葉「やっぱり、調子に乗ってるじゃない」
猛「だから、違うって……」
猛(N)「うう……。なんで、こんなにギスギスするんだ? 今、俺、モテ期のはずだろ? まさか、モテ期が終わりかけてるのか? それなら、ヤバい……」
猛「なあ、和葉」
和葉「なに?」
猛「俺と付き合ってくれよ」
ピタリと和葉が立ち止まり、猛も止まる。
和葉「……」
猛(N)「さあ、はいって言え! はい、はい、はい、はい!」
和葉「はあ?」
猛(N)「あー、惜しい! 二文字目は『い』だよ!」
和葉「なんで、私が猛と付き合わないとならないのよ?」
猛「ええー……。断られた。モテ期のはずなのに……」
和葉「あのさあ、モテ期って言っても、魔法じゃないんだから、誰にでも効くってわけないじゃない」
猛「がーん!」
猛(N)「そんなバカなー! 本命には効かないって意味ねー! ダメじゃん、モテ期」
和葉「……それに、前から好きなら変わらないんじゃない? モテ期でも」
猛「……え? なに? 今、何か言った?」
和葉「っ!? ……バカって言ったの!」
ズカズカと歩き出す和葉。
猛「ちょ、待ってくれって、和葉!?」
猛(N)「この後、間もなくして、俺のモテ期は終了した。あれだけ言い寄られてきた女の子は、周りからいなくなった」
場面転換。
トボトボと歩いている猛。
猛「……」
そこに和葉が歩いて来る。
和葉「ボッチに逆戻りしたみたいね」
猛「……和葉」
和葉「はあ……。仕方ないわね。あんたの背中があまりにも惨めだから、一緒に帰ってあげるわよ」
猛「……」
猛(N)「モテ期が終わって、結局、俺の周りに残ったのは、和葉だけだった……」
終わり。
-
前の記事
私はお父さんのお母さん 2022.11.01
-
次の記事
あの星を見上げて 2022.11.03