推しのために異世界攻略100日RTA
- 2022.12.06
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人以上
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、ファンタジー、コメディ
■キャスト
梨奈(りな)
ソフィー
ゾディック
友人
魔王
王様
大臣
皇帝
■台本
梨奈と友人が通学路を歩いている。
梨奈「うふふふふふ」
友人「……梨奈。何かいいことでもあったの?」
梨奈「え? わかる? わかっちゃう?」
友人「まあ、それだけ浮かれてればね」
梨奈「いやあ、実はね! ドリームズのライブチケット、取れたのー!」
友人「おおー。そりゃ凄いね」
梨奈「ああ……。なかなか地方に来てくれない上に、超人気だから、ほんっっっっとに、取れなかったんだよねー」
友人「なるほどー」
梨奈「推しはね、冬弥くん。あんたは?」
友人「聞いてないし、私も当然のようにドリームズファンにしないでくれる?」
梨奈「ああー! 楽しみ! もう寝れない!」
友人「ちなみに、いつなの?」
梨奈「3月3日」
友人「……3ヶ月以上、先じゃない」
梨奈「正確にはあと100日! ここから1日1日カウントダウンしていくのがいいんだよね」
友人「ふーん」
梨奈「もっと興味持ってよ!」
そのとき、周りの景色にノイズが走る。
梨奈「へ? なになに?」
ブンと音がしたと同時に辺りは真っ暗に。
梨奈「ちょちょちょ! なんなの!?」
すると今度は城の中へ移動する。
王様「おお! 勇者様の召喚に成功したぞ!」
梨奈「へ?」
大臣「早速だが勇者よ。魔王を倒しに行ってくれ」
梨奈「よくわからんが、断る!」
大臣「なぜだ!?」
梨奈「てか、なんで私がそんなことしないとならないわけ? 私、か弱いjkよjk!」
王様「じぇいけい? よくわからんが、そなたは異世界より転生された勇者だ。つまり特殊な能力を持つことになっている」
梨奈「いや、どうでもいいから、早く家に帰してくれない?」
王様「残念だが、それは無理だ」
梨奈「は?」
大臣「召喚者は魔王を倒さないと、元の世界に戻れないということになっているのだ」
梨奈「ふっ……」
王様「勇者よ、どうしたのだ?」
梨奈「ふざけんなー!」
王様「ぎゃああああ!」
大臣「王様ぁ―!」
場面転換。
森をガシガシと力強く歩く梨奈。
後に続くソフィー。
ソフィー「あの、勇者様。少し歩くペースが速すぎませんか?」
梨奈「だから、ソフィーは森の外で待ってなさいって言ってるじゃない」
ソフィー「そんなことできません! 勇者様を守るのが私の使命なんですから」
梨奈「(つぶやくように)もう、だから護衛なんていらないって言ったのに……」
梨奈(N)「私が特殊な力を持っているというのは本当だった。あの後、怒りで暴れていたら、いつの間にか城があった場所を更地にしてしまっていた」
ソフィー「あ、勇者様、見えてきましたよ。魔王軍四天王の一人、ゾディックの城です」
梨奈「ふう。やっと着いた。じゃあ、ちゃちゃっと言ってくるから、ソフィーはここにいて」
ソフィー「あ、待ってくださいよ、勇者様」
梨奈が走り出す。
四天王の部屋。
ゾディック「ほほう。貴様が噂の勇者とやらか」
梨奈「悪いけど、ちゃちゃっと終わらせるから」
ゾディック「小娘が! 調子に乗るなよ。四天王の恐ろしさを思い知らせてくれる!」
梨奈「……前に戦った四天王も同じこと言ってたけど」
ゾディック「ふん。あいつのことか。あいつは四天王の中でも最弱よ。俺は簡単にはいかんぞ」
梨奈「御託はいいから、行くわよ!」
ゾディック「ふふふふ。返り討ちにしてくれる!」
梨奈「はああああああ!」
梨奈が走り出し、ゾディックの懐に潜り込む。
ゾディック「なっ! 早い!」
梨奈「どりゃー!」
ゾディック「がはっ!」
梨奈の一撃がゾディックの腹にめり込む。
ゾディック「かは……ああ……」
梨奈「やっぱ、あんたも大したことないわね」
ゾディック「ちょちょ、ちょっと待ってくれ! 今日は調子が悪いんだ。明日! 明日もう一回、勝負ってことで……」
梨奈「問答無用!」
とどめの一撃を放つ梨奈。
ゾディック「ぐは……」
ゾディックが気絶する。
梨奈「よし! 四天王の半分、倒したわね」
場面転換。
森の中で野営をしている梨奈とソフィー。
ソフィー「……あの、勇者様。質問してもいいでしょうか?」
梨奈「なに?」
ソフィー「その……勇者様は旅を急いでいるように見えるのですが……」
梨奈「うん。急いでるわ。あと、53日で魔王を倒さないといけないからね」
ソフィー「えええ!? な、なんでですか!? もっとこう、時間をかけて進みましょうよ!」
梨奈「駄目よ! ライブまでに絶対に帰るんだから!」
ソフィー「ライブ……ですか?」
梨奈「ああ……冬弥くん、待っててね。速攻で魔王をぶちのめして、ライブに駆け込むから!」
場面転換。
魔王の城。
魔王「……ふふふふ。勇者とやら。我と戦う前に、既に満身創痍ではないか」
梨奈「はあ、はあ、はあ……。もう、なんなのよ、あの迷宮は!?」
ソフィー「やっぱり、休憩してから戦った方がよかったですよ!」
梨奈「うるさいわね。残り1日。今日中に魔王を倒さないとならないのよ!」
魔王「ふん。怒涛の勢いで四天王を倒し、調子に乗っているようだが、我は違うぞ。魔王の恐ろしさを思い知らせてやる!」
梨奈「はあああ!」
梨奈が魔王に突っ込んでいく。
魔王「遅い!」
梨奈「きゃあ!」
魔王に攻撃をはじかれ、反撃される。
梨奈「うう……」
ソフィー「勇者様!」
梨奈「くっ! さすが魔王ね。今までのやつらとは桁が違う……」
魔王「ふはははははは!」
梨奈「うう……100日間、無理してきたせいで、体もガタガタ……」
魔王「我の勝ちだな。さらばだ、勇者よ」
梨奈「……冬弥くん」
魔王「死ねえーー!」
梨奈「いや、死ねない! 冬弥くんに生で会うまで死ねるかぁーーー!」
魔王「はああああ!」
梨奈「うりゃあああ!」
魔王の攻撃を弾く梨奈。
魔王「な、なにっ! 我の攻撃を弾いただと!」
梨奈「てりゃーーーー!」
魔王「ぐああああああ!」
梨奈(N)「こうして、私の異世界攻略はギリギリではあったが、達成できた」
場面転換。
梨奈が走っている。
梨奈「はあ、はあ、はあ……。しくったわ。せっかく元の世界に戻れたのに、ライブの当日に寝坊するなんて……。ライブ開始まであと30分! 急げーー!」
梨奈が猛ダッシュする。
そのとき、周りの景色にノイズが走る。
梨奈「へ?」
ブンと音がしたと同時に辺りは真っ暗に。
梨奈「まさか……」
すると今度は城の中へ移動する。
梨奈「……」
皇帝「おお! 勇者の召喚に成功したぞ!」
梨奈「……ふっ」
皇帝「む? どうした、勇者よ?」
梨奈「ふざけんなー!」
皇帝「ぎゃああああ!」
梨奈が暴れる音が響き渡る。
終わり。
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