後姿

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■概要
人数:2人
時間:3分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
蓮(れん)
飛馬(ひゅうま)

■台本

町の中を歩く、蓮と飛馬。

蓮「そういえばさ、3組の涼子ちゃんいるだろ?」

飛馬「ああ、あのショートカットの子ね」

蓮「その子が、もしかしたら、お前のこと好きかもしれないって噂だぞ」

飛馬「あー、知ってる。告白されたから」

蓮「ええええ! マジで?」

飛馬「あれ? 言ってなかったっけ?」

蓮「知らねえよ! え? じゃあ、お前、今、彼女もちなのか? 裏切者かよ!」

飛馬「あははは。いやいや。何? 裏切者って。もちろん、断ったよ」

蓮「はあ? なんでだよ?」

飛馬「好みじゃないから」

蓮「うわー。出たよ。イケメンの上から目線」

飛馬「ちょっと待てって。お前だって、西岡に告白されたら断るだろ?」

蓮「当たり前じゃん。男なんだから」

飛馬「だろ?」

蓮「いや、それとこれとは話が違うだろ」

飛馬「同じだって。好きになれない人と付き合っても、お互い、傷付くだけだろ」

蓮「うーん。まあ、そりゃそうだけどさ……。ホント、お前って変わってるよ」

飛馬「そうかな?」

蓮「普通さ。男子高校生なら、エロイことに興味津々だろ。告白されたら、とりあえず付き合わないか?」

飛馬「そりゃ、俺だってエロイことには興味あるよ。だからと言って、相手の気持ちを踏みにじるのは違うくないか?」

蓮「うっ! ……正論吐くなよ」

飛馬「エロイって言えばさ」

蓮「ん?」

飛馬「後姿を見て、うわー、エロイって思って、前を見るとガッカリ、なんてことないか?」

蓮「あー、あるある。あれは、なんか虚しい気持ちになるよな」

飛馬「俺さ、後姿を見れば、大体、好みかどうかわかるんだよ。だから、そういうがっかりすることはない」

蓮「えー、マジで? 嘘くせえ」

飛馬「例えば、あの女の人。たぶん、お前の好みの人だぞ」

蓮「……ホントかぁ? ちょっと見てくる」

蓮が走っていく。

そして、戻って来る。

蓮「マジだ! 超、俺のドストライク」

飛馬「だろ?」

蓮「いや、でもまぐれかもしれん」

飛馬「疑り深いな。じゃあ、あの子と、あの子、あの人もきっと、お前の好きそうな系統だぞ」

蓮「……ちょっと見てくる」

時間経過。

蓮「お前……本当にすげーな」

飛馬「だろ? まあ、だから、なんだって話なんだけどな」

蓮「ん? まあ、そりゃそうか。後姿で好みかどうかわかったところで、どうしようもないもんな」

飛馬「そういうこと……ん!?」

蓮「どうした?」

飛馬「あの人、俺の好みのドストライクだ」

蓮「マジか! ちょっと見てくる」

時間経過。

蓮「おいおいおい……。大外れだ。あの人、男だったぞ」

飛馬「ん? わかってるけど」

蓮「……」

飛馬「……」

蓮「……そういうことかよ!」

終わり。

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