恋の必勝法

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■概要
人数:5人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
孝人(たかと)
みのりの母
みのり
男の子
女の子

■台本

孝人(N)「一目惚れだった。小学校の入学式。僕はみのりちゃんに恋をした。そして、なんとみのりちゃんと一緒のクラスになった。……これはチャンスだ! そう思ったんだけど……」

教室内。

女の子「みのりー、一緒に帰ろー」
男の子「あ、俺も一緒に帰るー」
みのり「うん、いいよー」
孝人「……」

孝人(N)「一緒のクラスになっても、全然、仲良くなれない。それどころか、みのりちゃんとほとんど話もできてない。……でも、僕には本で読んだ必勝法があるんだ」

場面転換。
ピンポーンというインターフォンの音。

みのりの母「はーい!」

ガチャリとドアが開く音。

孝人「こ、こんにちは。僕、みのりちゃんのクラスメイトで……」
みのりの母「あら、みのりのお友達?」

場面転換。
リビング。

孝人「……というわけなんです」
みのりの母「えーと……どういうこと?」
孝人「つまり、気に入られるためにはどうしたらいいか、教えてほしいんです」

孝人(N)「そう。必勝法とは親を味方にする……。つまりみのりちゃんのお母さんを味方にすることだ。そして、今、みのりちゃんのお母さんに、どうやったらみのりちゃんに気に入られるかを聞いているのだ」

みのりの母「そうね……。じゃあ……」

場面転換。
商店街。

みのりの母「ごめんなさいね。荷物持つの、手伝ってもらっちゃって」
孝人「い、いえ。大丈夫です」
みのりの母「助かっちゃうわ。いつも買い物、大変だったのよ」
孝人「あははは……。うう、重い……」

場面転換。
みのりの家。
掃除機の音。

みのりの母「廊下が終わったら、次はリビングをお願いねー」
孝人「はーい! ……はあ、家でもこんなに掃除したことないのに……」

場面転換。
リビング。
肩をもんでもらっているみのりの母。

みのりの母「ありがとうね、日曜日まで来てもらって」
孝人「あははは……。全然、大丈夫ですよ」
みのりの母「あ、もうちょっと強くしてくれない? 肩がガチガチで、ちょっとの力だと、全然ほぐれないのよ」
孝人「えい! えい!」
みのり「あー、いいわね。それそれ。その感じで続けて」
孝人「はあ、はあ、はあ……」

場面転換。
リビング。

みのりの母「あ、雨降って来そうだから、洗濯物を取り込んでくれる?」
孝人「わかりました」

場面転換。

みのりの母「いやー、孝人くんがいてくれてホント助かるわ」
孝人「あの……」
みのりの母「ん?」
孝人「これで、本当に気に入ってもらえるんですか?」
みのりの母「もちろんよ。おばさん、すっかり、孝人くんを気に入ったわ」
孝人「……ちがーう!」
みのりの母「へ?」

孝人(N)「こうして、僕の必勝法は失敗した。……みのりちゃんに気に入ってもらえないと意味ないんだよなぁ」

終わり。

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