リップクリーム
- 2023.03.21
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:3人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
アオイ
マコト
母親
■台本
アオイが走ってくる。
アオイ「マコトー! お待たせ」
マコト「アオイ、遅かったね」
アオイ「ごめん。着替えに手間取っちゃって」
マコト「ん? 制服のままじゃん」
アオイ「え? あ、違う違う。5限目、体育だったから」
マコト「そうだったんだ。じゃあ、買い物行こうか」
アオイ「うん」
場面転換。
店内を見て回っているアオイとマコト。
マコト「アオイ、見て見て。これ、可愛いよ」
アオイ「あ、ホントだー」
マコト「……お揃いで買っちゃおうか?」
アオイ「うん、いいね」
マコト「ふふ」
アオイ「どうかした?」
マコト「なんか嬉しいなーって。アオイとお揃いの物が持てるなんてさ」
アオイ「ふふふ。私もだよ」
場面転換。
ガチャリとドアが開く音。
母親「蒼。あんた、母さんのカミソリ使ったでしょ?」
アオイ「え? いいじゃん、別に」
母親「あれはお母さんのムダ毛処理用なんだから、使わないで。あんたのは毛が太いんだから」
アオイ「……こっちだって色々毛の処理が必要なの」
母親「まあ、年頃だからわかるけど……。あれ? その制服、誰の?」
アオイ「ちょっと。用事終わったなら、出てってよ」
母親「はいはい」
ガチャリとドアが閉まる音。
アオイ「……ったく」
場面転換。
アオイが歩いてくる。
アオイ「マコト、待った?」
マコト「ううん。今、来たところ」
アオイ「そっか。じゃあ、今日はどこに行く?」
マコト「駅の近くにお洒落な喫茶店で来たんだって。そこに行かない?」
アオイ「うん、いいね。ちょうど、喉渇いたし」
マコト「……」
アオイ「え? どうかした?」
マコト「……もしかして、アオイ、化粧してる?」
アオイ「……バレた?」
マコト「わかるよ。それくらい」
アオイ「そっか……」
マコト「私と会うのに、そんな気合入れなくていいのに」
アオイ「私はね……。マコトには一番良い顔を見せたいの」
マコト「……アオイ」
アオイ「……って、やっぱ、変だよね。女の子同士でこんなこと言うなんて」
マコト「……そんなことない。私は凄く嬉しいよ。でも……私は、怖いな」
アオイ「え?」
マコト「……アオイに嫌われたらって思ったらさ」
アオイ「マコト……。私ね、どんなことがあっても、マコトのこと嫌いにならないよ」
マコト「ホント?」
アオイ「うん。絶対。……マコトは?」
マコト「私もだよ。絶対、アオイのこと、嫌いになったりしない」
アオイ「嬉しい……」
場面転換。
リビングのドアを開くアオイ。
アオイ「お母さん! 部屋、入ったでしょ!」
母親「ああ、ちょっと化粧品借りたのよ」
アオイ「勝手なことしないでよ」
母親「いいじゃない。あんた、使わないんだから」
アオイ「……自分は人のを使うなって言うくせに」
母親「はいはい。ごめんごめん」
アオイ「……ったく」
場面転換。
アオイが歩いてくる。
アオイ「お待たせ」
マコト「今日は寒いね」
アオイ「うん。冬は寒いのもあるけど、乾燥も嫌だよね。唇、カサカサだよ」
マコト「あ、ちょっと待って」
マコトがカバンをガサゴソする音。
マコト「これ、新作のリップクリーム」
アオイ「へー。可愛いデザインだね」
マコト「ふふっ」
マコトがリップクリームを自分の唇に塗る。
マコト「どう?」
アオイ「すごい、プルプルになったね」
マコト「アオイ、もう少し顔を寄せて」
アオイ「なに?」
チュッとキスをするマコト。
アオイ「……マコト」
マコト「へへ。リップクリームのおすそ分け」
アオイ「……も、もう一回、いいかな?」
マコト「もう、アオイったら……」
そのとき、ビューと風が吹く。
アオイ「あっ!」
ドサッとカツラが落ちる。
アオイ「やばっ!」
マコト「アオイ……お前……」
アオイ「違うの、マコト……って、え?」
マコトもカツラを取る。
アオイ「……マコトもカツラ?」
マコト「お前、男かよ!」
アオイ「マコトこそ!」
マコト「なんで、女装なんて……」
アオイ「うるさいな。彼女が欲しかったんだよ! 女装すれば、女に近づきやすくなるだろ」
マコト「……まさか、同じこと考えてるやつがいるなんて……」
アオイ「もしかして、好きにさせちゃえば、男だって言っても付き合い続けてくれると思ったとか?」
マコト「……そうだよ」
アオイ「うっそ……。同じかよ。って、ちょっと待って。俺、男に必死にアプローチしてたってこと?」
マコト「いや、こっちの台詞だよ」
アオイ「……てか、さっき」
マコト「あっ……」
アオイ「俺、ファーストキスだったんだけど」
マコト「俺だって……」
アオイ・マコト「……」
アオイ・マコト「うわーーーーーー!」
終わり。
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