クラスの嫌われ者

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■概要
人数:5人以上
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、ファンタジー、コメディ

■キャスト
シーラ 17歳
アスマ 17歳 シーラのクラスメイト
女子1~3 17歳 シーラのクラスメイト
男 17歳

■台本

シーラ(N)「私と同じクラスに、学園内で物凄く嫌われている男の子がいる。名前はアスマ。その名前は同学年はもちろん、下級生や上級生たちにも知れ渡っている。主に、女子に。……その理由はというと……」

場面転換。

更衣室。

女子1「あれ? シーラ、また胸大きくなったんじゃない?」

シーラ「え? そ、そんなことないよ」

女子2「いやいや、育ってる育ってる」

女子3「ねえ、ちょっと触らしてよ」

女子1「あ、私も触りたい―」

シーラ「ちょ、ちょっと~!」

ポタっと何かが落ちる音。

女子2「ん? なにこれ? ……血?」

女子3「あ、見て! 天井にアスマが張り付いてる!」

アスマ「げっ! バレた!」

女子2「逃げた!」

女子3「捕まえて、今度こそ憲兵に引き渡してやるわよ!」

アスマ「わははははは! 俺に追いつけるかな」

女子たち「待て―!」

シーラ「ちょっと、みんな! 下着のままだよ……って、あーあ、行っちゃった」

アスマが走って行って、女子たちが追いかけていく。

シーラ(N)「そう。アスマは覗きの常習犯なのである。どんなに対策を練っても、潜り抜けて覗きをしてくるのだ。男子の中ではアスマを覗きの天才と言って、崇める人もいるそうだ」

男「……」

シーラ「ん? ……あれ? 気のせいかな? 誰かいたような気がしたんだけど」

場面転換。

縛られたアスマを取り囲む女子たち。

アスマの顔はボコボコ。

アスマ「すびばぜん(すみません)。もぶしばせん(もうしません)」

女子2「その台詞、もう325回目なんだけど」

女子1「もう、玉潰しちゃった方がいいんじゃない? 世界中の女の子のために」

アスマ「やめてー!」

シーラ「……」

女子3「ん? シーラ、どうかしたの? 後ろなんて見て」

シーラ「え? ううん……なんでもない」

女子2「竿も折っちゃえばいいよ」

アスマ「ホント、それだけは勘弁して! ……あ、でも、ちょっと興味あるかも。優しくして」

女子1「この変態がー!」

アスマ「うげーー!」

ボコボコにされているアスマ。

シーラ(N)「うーん。アスマはなんで、ここまでされて懲りないんだろ。ある意味、凄いと思う」

場面転換。

通学路。夕方(やや日が沈み始めた頃)。

女子2「ホンッと、最悪」

シーラ「あははは。いいじゃない。見られた分は仕返しできたんでしょ?」

女子2「そういうことじゃないの」

シーラ「まあ、そうだよね」

女子2「……ねえ、シーラ」

シーラ「なに?」

女子2「あいつのこと、どう思う?」

シーラ「アスマのこと? んー。どうって言われても、スケベな変態?」

女子2「ぷっ! まあ、普通ならそうなるか」

シーラ「普通ならって?」

女子2「あー、いや。その……」

シーラ「ん?」

女子2「あのさ。もし、もしもだけどさ。あいつのこと好きな奴がいるってなったらどう思う?」

シーラ「あははははは! いないって、そんな人。よっぽどの変わり者だよ」

女子2「そ、そうだよね。いくら、変なやつが多い学校でも、あいつを好きになる変わり者なんていないか」

シーラ「うん。いないいない」

女子2「……実はあいつ、女子に人気っていう噂があるんだけど、知らない?」

シーラ「ええー? それ、アスマが自分で流してるんじゃないの?」

女子2「ああ……。そっか。そういうこともあるか」

シーラ「絶対そうだよ」

女子2「そっか。安心した。じゃあ、私、こっちだから」

シーラ「うん。じゃあ、また明日ね」

女子2と別れるシーラ。

シーラ一人で歩く。

シーラ「……安心したって、なんだったんだろ? って、もうこんな時間。ちょっと教室でおしゃべりしすぎたかな」

小走りになるシーラ。

が、ピタリと立ち止まる。

シーラ「……どうしよう? もう暗くなってるけど……」

シーラ(N)「街灯の無い路地裏。特に日が沈んでからはここを通る女の人は少ない。でも、ここを通れば近道なのだ」

シーラ「……大丈夫だよね。ちょっと通るくらいだし」

シーラが小走りで路地裏に入って行く。

場面転換。

小走りするシーラ。

シーラ「ほっ。もう少しで大通りだ」

そこに男が現れる。

男「シーラさん!」

シーラ「きゃっ!」

男「ぼ、僕と結婚してください!」

シーラ「え? えっと……。その、急に言われても」

男「……じゃあ、とりあえず、一緒に住もうよ。そしたら、僕の魅力もわかるからさぁ」

男がナイフを出して構える。

シーラ「あ、あの……」

男「お、大声出したら刺すからな!」

シーラ「きゃああああ!」

男「っ! このお!」

男がシーラを刺そうと走ってくる。

アスマ「おらああ!」

男「うわああ!」

アスマが男にタックルを仕掛ける。

男とアスマがゴロゴロと転がる。

アスマ「ぎゃあーー! ナイフが刺さったー」

男「ぼ、僕のせいじゃないぞ! 僕は関係ないからなっ!」

男が逃げていく。

アスマ「……ふう」

シーラ「あ、あの……」

アスマ「ん? ああ、怪我はなかった? シーラさん」

シーラ「え? あ、うん。大丈夫」

アスマ「あいつ、2組のやつだな。前々からシーラさんのこと付け回してたんだよ」

シーラ「そ、そうなの?」

アスマ「ああ。今日だって、着替えの時とか、教室でも視線感じてただろ?」

シーラ「あ……」

アスマ「さてと。じゃあ、行こうか」

シーラ「え?」

アスマ「憲兵のとこ。あいつ、捕まえて貰わなくっちゃ。証拠のナイフもこっちにあるしね」

シーラ「あ、でも怪我してるんじゃ?」

アスマ「ん? ああ、こんなのかすり傷だよ」

シーラ「でも、血が出てるよ」

アスマ「はははは。今日、教室で女子にやられたことを考えれば、全然大した来ないって」

シーラ「ぷっ! あはははは! そうだね」

アスマ「だろ? じゃ、行こうぜ」

シーラ「うん」

場面転換。

早朝の教室。

ガラガラとドアを開けてシーラが入ってくる。

アスマ「おはよー。昨日は眠れた?」

シーラ「ありがとう。うん、大丈夫」

アスマ「なんにしても、学園から1人、変態を排除できてよかったよ。これでシーラさんも安心だね」

シーラ「目の前に学園で一番の変態がいるけどね」

アスマ「ひどっ!」

シーラ「あははは。……ねえ、アスマ」

アスマ「ん?」

シーラ「なにか、お礼させてくれない? 助けて貰っちゃったし……」

アスマ「ああー。いいよ、別に」

シーラ「でも……」

アスマ「もう貰ってるし」

シーラ「え?」

アスマ「昨日、たっぷりシーラさんのおっぱい拝ませてもらったし」

シーラ「も、もう!」

アスマ「ご馳走様でした」

シーラ「バカ!」

アスマ「あはははは」

そのとき、ドアが開く。

女子2「おはよー。って、シーラ早いね」

シーラ「おはよう。うん。ちょっとね」

アスマ「あれー? 俺におはようは?」

女子2「死ね!」

アスマ「ひどっ!

女子2「ふん」

女子2が席に座る。

女子2「(小声で)ねえ、アスマと何話してたの?」

シーラ「あ、うん。ちょっとね」

女子2「……」

シーラ「そうだ、昨日言ってた件なんだけど」

女子2「昨日?」

シーラ「アスマがモテてるって話」

女子2「それがどうしたの?」

シーラ「案外ホントかも」

女子2「え?」

シーラ(N)「私と同じクラスに、学園内で物凄く嫌われている男の子がいる。名前はアスマ。でも、私はそんなアスマのことが好きになってしまったかもしれない」

終わり。

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