二重スパイ

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■概要
人数:4人
時間:10分

■ジャンル
ドラマ・漫画原作、現代、シリアス

■キャスト
コナー 32歳 エージェント
レイチェル 28歳 エージェント
ジョン 45歳 本部のエージェント
男 40歳程度

■台本

〇暗い部屋(機関内にある部屋)
結構広めな部屋だが、ほとんど明かりはなく、周りに人が十数人いるくらいしかわからない。
それぞれの顔は見えない。壁に寄りかかっているコナー。

コナー「……」

パッと空中に3D映像が映し出される。
写し出されたのはジョン。

ジョン「エージェントの諸君。数々の命がけの任務の成功、誠に感謝する。……まあ、前置きはこれくらいにして、さっそく、本題だ。最近、我が国の情報が敵国に漏れている。当然のことだが、情報の扱いにはくれぐれも慎重に行うように」

パッと映像が消える。

コナー「……」

〇公園
ベンチに座って、スマホを見ているコナー。
そこにレイチェルがやってきて、隣に座る。
レイチェルもスマホを取り出して操作する。
以降、お互いを見ずに、スマホの操作をしながらの会話。

レイチェル「本部の見解、どう思う?」
コナー「内部に二重スパイがいるな」
レイチェル「根拠は?」
コナー「素人じゃないんだから、わざわざエージェントを集めて、情報の扱いに気を付けろ、はないだろ」
レイチェル「……」
コナー「あれは脅しだ。目星は付いてるぞ、ってな」
レイチェル「でもそれは……」
コナー「ハッタリだ。目星がついてるなら、脅しなんかしないで、即拘束するだろ」
レイチェル「あんた、上に行きたいんでしょ?」

コナーのスマホを操作する手が止まる。

レイチェル「任務数と危険度。上に気に入れられたいのを選んでるんじゃない?」

コナーが再び操作をし始める。

コナー「だからなんだ?」
レイチェル「協力しない?」
コナー「協力?」
レイチェル「二重スパイを見つけるの」
コナー「……」

コナーがスマホをポケットに入れて立ち上がり、歩き出す。
コナーが座っていたところに小さく丸い通信機が置いてある。
レイチェルが笑みを浮かべて、通信機を手に取る。

〇お洒落なカフェ
店の正面には大きな窓があり、その前の席に一人座って、コーヒーを飲んでいるコナー。
窓からレイチェルがこちらに歩いてくるのが見える。
レイチェルは店の外の窓のところに寄りかかり、スマホを操作している。(待ち合わせしているような雰囲気)
コナーは店内、レイチェルは店外という配置。
コナーの襟のところには小さく丸い通信機のようなものが付いている。

コナー「どうやって調べる?」
レイチェル「まずはエージェントのリストを手に入れる」
コナー「本部に……いや、貰えるわけないか」
レイチェル「エージェントの情報はS級の機密よ」
コナー「二重スパイがいるって中で、渡すわけないか」
レイチェル「自分がスパイじゃないって証明できればいいけど……」
コナー「不可能だな」
レイチェル「だから、こっちで奪い取る」
コナー「……そんなことして、平気か?」
レイチェル「逆に腕を見込まれるんじゃない?」
コナー「なるほど」
レイチェル「私が場所の情報を入手するから、あんたが取ってくる。それでどう?」
コナー「……俺の方がリスク高くないか?」
レイチェル「だからあんたと組んだんだけど」
コナー「失敗したら、お互い見捨てる。それでいいな?」

レイチェルが手を振って、歩き出す。

コナー「……」

カップに入ったコーヒーを飲み干し、立ち上がる。

〇路地裏。
レイチェルが歩いてくる。
その手には封筒。
ゴミ箱の前で立ち止まるレイチェル。

レイチェル「あー、もう!」

手に持っている封筒をぐしゃぐしゃに潰して、ゴミ箱に投げ捨て、スタスタと歩き出す。
しばらくして、コナーがやってくる。
ゴミ箱の前で立ち止まり、素早く、ゴミ箱の縁に張り付いている、小型のUSBを取る。
そして、スタスタと歩き出す。

〇コナーの家・部屋
パソコンを立ち上げ、USBをはめる。
パソコンを操作すると、建物の見取り図が出てくる。
ニヤリと笑うコナー。

〇古びたビルの外観(夜)
ビルを見上げるコナー。潜入用のピッタリとしたスーツを着ている。

〇ビル内
コナーが潜入する。
一見すると使われていないオフィスに見える。
コナーが暗視ゴールを付けると、部屋中にセンサーの赤いレーザーが飛び交っている。
コナーがニヤリと笑う。
華麗にレーザーを潜り抜けていくコナー。

〇ビル内・部屋
ドアを開けて部屋に入ってくるコナー。
目の前には厳重な扉があり、その横にはカードを読みこむ機器と番号を押す機械がある。
コナーがポケットからカードを取り出し、機械を通し、暗証番号を入力する。
するとドアが開く。

コナー「随分と杜撰なセキュリティだな」

〇部屋の中
パソコンが置いてあり、コナーが操作する。
USBを差し込み、そこにデーターを移していく。

〇町中
人が行き交っている。
コナーとレイチェルがすれ違う。
その一瞬で、コナーがレイチェルにUSBを渡す。
そして、2人はお互い違う方向へ歩ていく。

〇路地裏。
人気のない路地裏には、ポツンとタバコの灰皿が置いてある。
そこでコナーがタバコを吸っている。
そこに男が現れ、タバコを出して吸い始める。
コナーは吸っていたタバコを灰皿に押し付け、歩き去っていく。
男は灰皿の中にある小さなUSBを回収して、歩き出す。

〇コナーの部屋
コナーが部屋の中を整理している。
最低限のものだけ、カバンに詰めて、部屋を出る。

〇家の外観
ドアが開いて、コナーが出てくる。
その後頭部に銃が付きつけられる。

コナー「……」

コナーが手を上げる。
銃を突きつけたのはレイチェル。

コナー「……手柄を横取りか?」
レイチェル「やっぱりあなたが二重スパイだったのね」
コナー「……」
レイチェル「私は本部から派遣されたエージェント。二重スパイを炙り出す任務だったの」
コナー「じゃあ、あの、エージェントについての情報は?」
レイチェル「もちろん、偽物。今頃、あなたの仲間を待ち伏せしてると思うわ」
コナー「なるほど。二重スパイの、二重スパイってことか」
レイチェル「そういうこと」
コナー「負けたよ」

〇パトカーの中。
コーナーが手錠されて、連行されている。

終わり。

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