夢の世界

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■概要
人数:5人以上
時間:10分

■ジャンル
漫画原作・舞台、現代、コメディ

■キャスト
幸喜(こうき) 27歳 会社員※私服姿
ミーナ 17~20歳くらい
みかん 17~20歳くらい
ちー 17~20歳くらい
ミケ 17~20歳くらい
キツネ耳メイド 18~20歳くらい
犬耳メイド 18~20歳くらい
女の子 18~20歳くらい

■台本

〇街のビルの横
ケモ耳カフェ『アニマルガールズ』の看板が立っている。
店の入り口が開き、光喜が出てくる。
その後ろから犬耳を付けたメイドと、キツネの耳を付けたメイドが出てくる。

犬耳メイド「ありがとうございましたー」
キツネ耳メイド「また来てくださいね、ご主人様!」

幸喜がチラリと2人を見て、口を尖らせながらもぺこりと頭を下げる。
そして、スタスタと歩き出す。

後ろでメイドのところに駆け寄る、女の子。

犬耳メイド「あ、どうだった?」
女の子「ダメ。どこも売り切れ」
キツネ耳メイド「マジかー。はあ……。なんだって、あんなの盗んでくかな」

幸喜がチラリと後ろを見る。

女の子「ホント、マニアって怖いよね」
犬耳メイド「あ、そろそろ着替えないと遅刻になるよ」
女の子「そうだった! 仕方ない。今日はタヌキにするか……」

女の子が店の中に入って行くのを見て、再び歩き出す幸喜。

幸喜「……」

幸喜の顔が見る見る不機嫌になる。

幸喜「はあ……。なんなんだよ、あの店は。完璧に名前に騙された。もう二度と行かん!」

スタスタと歩いていく幸喜の前を一匹の白猫が横切る。

幸喜「あ、猫だ。可愛いなー」

白猫が一瞬、光喜の方を見て、すぐに歩き出す。
そして、曲がり角を曲がっていく。

幸喜「野良猫にしては綺麗な猫だったな。飼い猫かな?」

そう言いながらも、ふらふらと白猫が曲がっていった角の方に歩いていく。
曲がった先で幸喜が驚く。

幸喜「っ!?」

〇噴水のある広場
ビルに囲まれ、袋小路のような広場の中央に噴水が流れている。
その噴水の周りに、4人の猫耳の女の人がいる。
噴水の縁に腰掛けたり、ベンチに寝転がったり。
その光景を呆然と見る幸喜。

幸喜「……」

そこに全身白の服の、猫耳の女の子(ミーナ)がやってくる。

ミーナ「おまたせー」
ミケ「あ、遅かったじゃん」
ミーナ「えへへ。ちょっとねー」

幸喜(N)「あの女の人、もしかして、さっきの白猫?」

みかん「それにしてもさー、最近、ご飯少なくない?」
ちー「あー、わかるー。しかも、ケチったご飯だよね」
ミケ「しょうがないよー。不景気みたいだもん」

幸喜(N)「聞いたことがある。猫の噴水の伝説。そこでは猫が人間の姿でくつろいでるって。……ここがそうなんじゃないのか?」

ミーナ「そういえば、また仲間が増えたって聞いたよー?」
ミケ「うん。入りたいって話なんだけど、これがないんだってさー」

ミケが耳を手で触る。

みかん「あー、今、どこにもないってねー」
ちー「私、またとってこようか?」
ミーナ「もう、そういうのはやめなって」
ちー「ううー。ごめん」

幸喜(N)「うわ! なんだよ、この空間。まるで夢の世界じゃないか! あー、癒されるー」

みかん「そういえばさー、ももちゃんが、ここ卒業だってさー」
ちー「えー? もしかして、家猫になるとかー?」
みかん「そうみたいだよ」
ミケ「いいなーいいなー」
ミーナ「……家猫か―。憧れるよね」

幸喜「……っ!?」

幸喜(N)「憧れる? 飼われるのは、やっぱり猫にとっては憧れの存在なのか!?」

ミケ「そんなこと言って、いつもすぐにダメになるじゃん」
ミーナ「違うよー。あれは、あっちが悪いんだもん。私に寂しい思いをさせるから……」

幸喜(N)「お、俺は絶対に、寂しい思いはさせない!」

ミケ「あー、もうこんな時間だー。私、帰るね」
ちー「私もー」
みかん「じゃあ、今日は解散しよっか」
ミーナ「そうだねー」

その場にいるみんながそれぞれ違う方向へと散らばる。
幸喜はミーナの方をジッと見ていて、ミーナの後をつける。

幸喜(N)「よし、あの子にうちに来ないかって誘うぞ。ふふふ。俺は絶対に寂しい思いはさせない。可愛がってあげるからね」

ミーナが歩いていて、その後ろを幸喜が付いていっている。

ミーナが曲がり角を曲がる。

幸喜「あっ!」

見失わないように小走りで曲がり角を曲がる幸喜。
そして、叫ぶ。

幸喜「あの! 俺の飼い猫になりませんかっ!?」

そこには猫耳のカチューシャを外したミーナがキョトンとした顔をする。

ミーナ「……え?」
幸喜「へ? あれ? 付け耳?」
ミーナ「なんですか、あなたは?」

ミーナが不機嫌そうな顔をして去っていく。

幸喜「え? どういうこと? ……あっ!」

回想1

女の子「ダメ。どこも売り切れ」
キツネ耳メイド「マジかー。はあ……。なんだって、あんなの盗んでくかな」

回想2

ちー「私、またとってこようか?」
ミーナ「もう、そういうのはやめなって」

回想終わり。

幸喜(N)「ケモ耳カフェに、猫耳のメイドがいなかったのは、あの子たちが猫耳のカチューシャを取ってたからか」

幸喜「……はあ。せっかく夢の世界を見つけたと思ったのに」

終わり。

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